夢は将来のオリンピック出場…圧巻パフォーマンスでブレイキン界注目の少女（8）が根室に

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今月26日に開幕するパリオリンピック。新種目に「ブレイキン」が追加されました。

根室市で将来のオリンピックを目指す、ブレイキン界注目の少女を取材しました。

ブレイキン。

はじまりは1970年代のニューヨーク、ギャングたちが「殺し合いをせず音楽で勝負」と向き合いながら踊りを競ったことがルーツとも言われる、いま最も注目のダンス競技です。このブレイキンで将来のオリンピックを目指す少女が根室市にいました。

■武田栞奈ちゃん：

「ただいまー！」

武田栞奈（たけだ・かんな）ちゃん（8）小学3年生。

Q学校どうだった？

「楽しかった」

帰ったらまず机に向かい宿題をするのが日課の栞奈ちゃん。

一見、真面目でおとなしそうな子にも見えますが…圧巻のヘッドスピンに…迫力のパフォーマンス！実は栞奈ちゃん、同年代では全国トップレベルの実力をもつ女の子。今年3月には大阪で開かれた全国大会で見事、道内トップ・ベスト4の成績を収めました。

■司会：

「3対2でカンナー！おめでとう！」

ブレイキンに目覚めたのは5歳のとき、脇腹をひじで押さえて逆立ちする、「チェア」という技を両親に見せたことがきっかけでした。

■父・圭一さん：

「はじめはこんなにブレイクダンス踊ると思っていなかった。単純にみんなの前で踊るだけだと思ってた。」

いまや家族で全力サポート、練習スペースを確保すべくリビングからはどんどん物がなくなっていったそうです。

■母・江里子さん：

「まぁ邪魔になっておけなくなったソファーもあるので、けがしないように、それでもやっぱり…。」

■武田栞奈ちゃん：

「カーテンにぶつかる！」

Q家狭い？

■武田栞奈ちゃん：

「家狭いね！」（笑）

そもそも、ブレイキンとはどんな競技なのでしょうか？

■武田栞奈ちゃん：

「トップロック、フットワーク、フリーズとパワームーブ。大雑把に4つに分かれてる。」

ブレイキンは基本1体1のバトル形式で、主に4つの動きでできています。

立ちながらリズミカルなステップに腕の動きで表現する“トップロック“に…床を手で支え、素早い足技を見せる“フットワーク“さらに動きをピタリと止める美しさがキモの“フリーズ”そしてダイナミックに体を回転させるパワームーブ！これらをその場で初めて聞く音楽に合わせて即興で披露、技術や完成度、独創性などを競います。

すでに10周以上のヘッドスピンも軽々こなすかんなちゃんですが、一つ気になることが…Q頭とかいたくならないの？

■武田栞奈ちゃん：

「ここがヘッドスピン専用の素材になってる。」

頭があたるところは固く滑りやすい素材になっていて、あまり痛みはないそうです。

そんな全国でもトップレベルの実力者の栞奈ちゃん、耳には常に補聴器をつけています。

■父・圭一さん：

「（生まれつき）聞こえないわけではないが、感音性難聴で耳で聞こえる情報量が少ない分、目で見て彼女なりに覚えるというのが長けているとは思う。」

日常生活に支障はないものの、そんなハンデを逆手に、振りを覚えるのは人一倍早いといいます。先月、国内外のダンサーが集まった北見市の大会に出場この大会の対戦相手は体格の全く異なる上級生や中学生、さらに男女混合で、ブレイキン以外のダンスも含むという厳しい状況のなか見事ベスト8の成績を収めました。

当日、審査員をつとめたプロのブレイキンダンサーに聞いたところカンナちゃんの強みはなんでもこなす“万能性”だといいます。

■DS・BGSK・KeepItRealメンバーMimzさん：

「音楽を聴きながらパワームーブやフットワークなどいろんなスキルを上手に交えて表現しているところがびっくりして9歳（の学年）でそのクオリティを出せるのかといい意味でショック」

Q今後（五輪出場の）可能性はある？

「絶対に可能性はあります。」

毎日の家での練習に加えて週3、4回は根室市内のダンススタジオでレッスンです。

実はこのスタジオ、栞奈ちゃんのほかにも全国レベルの実力者が通っています。

滝澤きらりさん（12）全国大会での準優勝経験もあり、同じくブレイキン界注目の少女の一人です。

栞奈ちゃんのお姉さん的な存在で、一番身近な目標でもあります。

■滝澤きらりさん：

「うちもできないわざも持ってたり、ちょっと困りますね。」

さらにもう一人、ところ変わってここは根室名産・昆布の作業場。

2階へ上がってみると…本田悠晋さん（15）が。

道内では大人も参加する大会も含めて10回以上の優勝経験を誇ります。

漁師の父親が4年前に作ってくれたこの練習場は1階の作業場含めて総額700万円！

■本田悠晋さん：

Q将来の夢は？

「将来の目標は…（お父さんをちらりと見て）…漁師ですね、いまのところ」

■父・良太さん：

Q将来の夢を漁師と言っていますが？「（少し笑って）別にやれと言ったわけではないけど。」

全国レベルが多く通うこちらのスタジオ。

10年前までは根室にブレイキンを習える場所はありませんでしたが、代表の奈良さんは大学卒業後、地元・根室に戻りこのスタジオを設立。

いまや「根室にブレイキンあり！」といえるほど、実力者が続々生まれています。

■アワービート代表奈良匠さん：

「なんで出てきてるんですかね（笑）それぞれ自分で考えて練習してるというのも全国区レベルが出る要因になってると思います。ダンス全般、根室の新しい文化みたいに残せたらうれしいです。」

■武田栞奈ちゃん：

Qオリンピックに出たい？

「絶対出たい。どうしても出たい！」

将来のオリンピック出場に意欲満々の栞奈ちゃん、想像がつかない大きな目標に、父親もどのように応援をしたらいいのか手探りです。

■父・圭一さん」：

Qどういうサポートしてあげたいですか

「…」

■武田栞奈ちゃん：

「栞奈に目を合わされても困る！」

■父・圭一さん」：

「むずかしいなー」

根室からブレイキンでオリンピックに。栞奈さんの夢への挑戦は、まだ始まったばかりです。