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「街が沈んでいる…」北海道から戦地へ 札幌の医師がパレスチナで見た「日常」

HTB北海道ニュース / 2024年7月11日 12時45分

(c)HTB

去年10月以来、激しい攻撃が続くパレスチナのガザ地区。

もう1つの自治区・ヨルダン川西岸地区も命の危機に晒される状況が続いています。

■猫塚義夫医師:

「パレスチナの街が沈んでいると感じました。」

先月、札幌の医師らが現地を訪問。

彼らが見た、戦地の日常とは…。

札幌の整形外科医、猫塚義夫さん。

14年前からパレスチナでの医療支援を続けていて、去年10月にもガザ地区で活動する予定でした。

ところがその直前、ガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」がイスラエルへの大規模攻撃を開始。イスラエル軍は報復としてガザ地区への空爆を行い今に至るまで激しい戦闘が続いています。

■猫塚義夫医師(去年10月):

「本当に胸が切り裂かれる思い。我々が人道支援を再開したらすぐ行くつもりなのでその時までは元気でいてほしい」

そもそも、イスラエルとパレスチナをめぐる問題とは何なのか、おさらいします。

地中海の東側にあるパレスチナ。第二次世界大戦前はイギリスが統治していました。

そこにさまざまな迫害を逃れたユダヤ人たちが「先祖の土地に自分たちの国を建国しよう」と入ります。

大戦後の1947年、パレスチナの地をユダヤ国家とアラブ国家の2つに分けることが国連で採択されます。翌年、ユダヤ国家のイスラエルが建国。

その後、4度にわたる中東戦争やさまざまな争いを経て現在、パレスチナはガザ地区とヨルダン川西岸地区に分断されています。

■猫塚義夫医師(去年10月):

「ガザの人と私たちはともにあるということをいつも肝に銘じて活動しています。」

猫塚さんらは去年10月以降、札幌で集会やデモ行進を開き現地の状況を訴え続けてきました。

■猫塚義夫医師(先月5日):

「イスラエルの軍事行為に反対する運動をすることが今大事だということに(戦闘開始後)3日か4日ぐらいの間で切り替えて今に至っています」戦闘の開始からおよそ8カ月。ガザ地区への渡航は見送りましたがヨルダン川西岸地区での支援活動を決断しました。

■猫塚義夫医師(先月5日):「ガザに行けないから駄目だから行かないのではなく行けるところからやる。北海道からあなた方のことを忘れないで、我々がこれからも支援を続けるということを現地に伝えていきたいなと思っています」。

札幌から、戦地へ。

成田空港では札幌出身でパレスチナ問題を研究する大学院生・西藤陸さんらも合流し4人で現地へ向かいます。

15時間かけて到着したイスラエル・ベングリオン空港。

■猫塚義夫医師:

「人質になっている人の顔を映しています」

空港の通路に掲げられているのはハマスの人質となったイスラエルの市民たちの写真です。イスラエル側の発表によりますと去年10月の戦闘開始以来200人以上が人質にとられたといいます。そして、パレスチナ自治区・ヨルダン川西岸地区へ。

■猫塚義夫医師:

「ここが分離壁です」。

イスラエルとパレスチナを隔てる分離壁。

■西藤陸さん:

「壁の上にさらにフェンスが1m半くらい。(全体で)9mくらい…すごいな。」

全長700km以上に及び、これがイスラエルとパレスチナの分断を加速させていると言われています。

現地の診療所につくと待合室には溢れんばかりの人たちが。

猫塚さんによりますと、パレスチナではまず救命医が必要とされ整形外科医が足りていないといいます。

■猫塚義夫医師:

「外反母趾ですね。」

猫塚さんは4日間でおよそ180人を診察しました。

難民キャンプを歩くとこれまでとのある変化に気が付きました。

■猫塚義夫医師:

「なかなか難民キャンプの子どもが家から出たがらない状況なんですね。難民キャンプへ行っていろいろお話を聞くと、今まで不登校の子は5%ぐらいいたんですけど、今だと20%が家から出てこない。」

そして目に飛び込んできたのは生々しい攻撃の痕跡です。

■西藤陸さん:

「あの階だけくり抜かれたように破壊されています。」

Qいつ破壊された?

「先月です」

Q突然?

「突然です。」

国連によりますと去年の戦闘開始以降ヨルダン川西岸地区でも500人以上が犠牲となっているといいます。

そして緊迫した状況は観光客が集う場所でも。

■猫塚義夫医師:

「今日はずいぶん軍隊が多いと思います。あちこちに軍隊の集団がいます。」

ユダヤ教徒の聖地「嘆きの壁」の周辺には多くのイスラエルの治安部隊が。

そして…。

■西藤陸さん:

「いま旧市街に入ろうとしたら旧市街で入植者がパレスチナ人を撃ったということで今、めちゃくちゃイスラエル兵がいます。」

自動小銃を持つイスラエル人。すぐそばで腕を抑え倒れるパレスチナ人。

市民の間での対立も頻繁に起きている戦地の日常が、そこにはありました。

■猫塚義夫医師(帰国後):「元気がないですね。元気がないというか、押しつけられている感じ。ガザだけでなくて、ヨルダン川西岸自体がこうなっていると。逮捕されたり虐殺されたりしている人がどんどん増えているということを札幌、北海道の皆様にお知らせしたいです。」

帰国後の先月29日、猫塚さんらは札幌で報告会を開きました。

■猫塚義夫医師:

「パレスチナの街が沈んでいると感じました。家から出たがらない、学校にも行きたがらない子どもが増えている。それほど抑圧されている。」

■報告会の参加者:

「パレスチナの子どもたちの現状を知れて、悲しい部分はあるんですけれど自分も何かできることがあったらなと思いました。」

「心に響きましたし私のできる形で支援していきたいと思っています。」

■猫塚義夫医師:

「依然として街頭で声をあげますし、もしガザ地区に入れるようになれば早速すぐガザに行きたいと思います。」

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