1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

2人に1人が再犯者の現実 刑務所に10回以上入った男性「二度と戻らない」 就労支援で立ち直れるか?

HTB北海道ニュース / 2024年7月23日 20時9分

(c)HTB

犯罪に繰り返し手を染めてしまう。日本の再犯率はおよそ5割と社会問題にもなっています。刑務所を出たばかりの男性と、出所者の立ち直りを支援する企業の取り組みを取材しました。

鈴木さん(仮名・57):「三重、横浜、府中2回、網走、旭川、網走、月形、網走、札幌ですね…」。

これまで収監された刑務所は、数知れず。関東出身の鈴木さん57歳。数日前に、札幌刑務所から仮釈放されたばかりです。最後に逮捕されたのは、3年前。道内の飲食店で代金を支払わず、詐欺の罪で実刑判決を受けました。それ以前も同じような犯罪を繰り返し、10回以上刑務所に入ったと言います。

鈴木さん(仮名・57):「数えたことは無いですけれど(合計)20年ぐらいは入っているんじゃないですか」。

記者:「どうして同じことをしてしまったと思います?」

鈴木さん:「平凡になるかもしれないですけれど、意志が弱かった。あと刑務所を出ちゃうと、刑務所の生活って結局忘れちゃうんです。もう二度と入らないぞって、思うんですけれど」。

刑務所から出て2日後、鈴木さんが訪れたのは出所者を積極的に雇用している札幌市内の会社です。

社長・釜澤剛璽さん:「何かしこまってるの(笑)」。

鈴木さん(仮名・57):「いえいえ(笑)」。

鈴木さんは、刑務所内での就労支援プログラムで面接を受け、この会社に採用されました。面接をしたのは、社長の釜澤剛璽さんです。

釜澤さん:「『過去と他人は変えられない』というけれど自分は違っていて、『未来が変わったら過去も変えられる』と思っている。10人ぐらい採用して1人ぐらいしかうまくいかない。だから頑張ってほしい。24時間付き合うので」。

鈴木さん(仮名・57):「『これからどうしたい』と言われて、『平凡に生きたい』と言ったら『まだまだ夢は持てるよ』と言ってくれたじゃないですか。それがすごい響いていて。他の土地に行って(罪を)忘れるというのは自分も違うと思っていて…。(涙声)すみません、なんか、うん…。これだけ親身になって言ってくれた人はそんなにいなくて」。

釜澤さんが代表を務める「フューチャーフライトグループ」は、出所者の雇用のほか、障害者の就労支援やフードバンクなどにも取り組んでいます。元々、自治体から図書館や動物園などの受付・管理を請け負う会社としてスタートしたフューチャーフライト。困難に直面する人たちの支援を始めたきっかけは、会社設立から3年後、2015年に起きたある出来事でした。

フューチャーフライトグループ・釜澤剛璽代表:「交通事故で障害を負った社員が出たので、急ぎで障害者施設を作りました。(施設で)障害者を見ていたら出所者がいて、出所者を見ていたら貧困者がいて、っていう風につながっていったんです」。

2017年に初めて出所者を受け入れて以降、これまでに刑務所を出たおよそ50人を雇用してきました。

釜澤剛璽代表:「もしその方(出所者)に仕事があれば、何かのきっかけで変わる人っていると思うんです。思いとか夢に大小はあったとしても、そういうことを叶えられる、叶えてもいいんじゃないかと思います」。

国の最新の調査データによりますと、検挙された刑法犯のうち、再犯者が占める割合は47.9%。およそ2人に1人が再犯者です。また、刑務所に再び入所した人のうち、およそ7割が再犯時に無職だったというデータもあります。10回以上刑務所に入っていた鈴木さんにも、服役後に仕事が見つからず、再び犯罪に手を染めてしまった過去がありました。

鈴木さん(仮名・57):「自分みたいに年いったら、なかなか仕事が無いというのが現実で。出たときにもお金が無くて、結局、犯罪しちゃう」。

今度こそ、戻りたくない…。

釜澤代表:「せっかくだから入口を清掃しましょうか」。

フューチャーフライトに採用された鈴木さん。来月から札幌市内の施設に派遣され、清掃業務を担当します。月収は18万円です。

次の日、鈴木さんは釜澤さんに付き添われ、会社近くの銀行へ。新たに自分の口座を作るためです。申請から待つことおよそ30分。

釜澤代表:「やった~!」

鈴木さん(仮名・57):「濡れてますよ手。汗でびしょびしょです。できましたね」。

釜澤代表:「できた!良かったねぇ!」。

無事、口座を開設できました。

鈴木さん(仮名・57):「うれしいですね。(口座が無くなって)5年は経っているかな。自分が自立するお金も貯めなくてはいけないので」。

釜澤代表:「家賃・水道・光熱費の引き落としとかに使ってもらえるのではないか」。

鈴木さんに、これからの夢を聞いてみました。

鈴木さん(仮名・57):「理髪の技術がありますので、ゆくゆくはそういう仕事もあるよと言ってもらったので、それを生かしながら仕事ができたらなと思っています。これで僕戻ったら、おそらく刑務所で死ぬようになると思うんですよね。年齢も年齢ですし。自分自身に立ち向かって、もう二度と入りませんと誓いますね」。

「もう二度と刑務所に戻らない」。強い決意を胸に、鈴木さんは自立を目指します。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください