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「障害者だし…」19歳で強いられた強制不妊手術 旧優生保護法訴訟 札幌の男性 6年の闘い

HTB北海道ニュース / 2024年7月27日 15時11分

(c)HTB

旧優生保護法による不妊手術を強制された札幌に住む男性。

「国を許することができない」と妻と二人三脚で闘い続けた6年間を取材しました。

札幌市北区に住む小島喜久夫さん83歳。

19歳のころ、素行不良などを理由に義理の父に札幌市内の精神科病院に入院させられ、当時、国が進めた「命の選別」を強制されられたといいます。

■小島喜久夫さん:

「(病院から)あなたは精神分裂病、障害者だしそれから小島さん、あんたも「優勢手術」しますと」

1948年に施行された優生保護法。

「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ため、本人の同意のないまま不妊手術が強制されました。小島さんも、その1人です。

■小島喜久夫さん:

「不幸か幸せというのは自分で作るものであって、私はそういうこと(強制不妊手術)を国にされて、やっぱり一生(子どもが)できないってことは本当に悔しく思っています」

小島さんは手術後、病院を抜け出し就職。その後、妻の麗子さんと出会い結婚しましたが子どもができない理由は「おたふくかぜにかかったから」とごまかしてきました。

麗子さんに事実を打ち明けたのは6年前でした。

■小島麗子さん:

「悲しかったよ、子どももできないものね」「いままでつらい思いしたんだからね、人にも言えないでね。」

2018年、小島さんの両足の付け根に不妊手術を受けた痕があるとする診断書が医師から示されました。

■小島喜久夫さん:

「やっぱりこういう傷が残ってたということは証明になると思いますよ」

体に刻まれた「傷跡」とともに国を訴えることを決意しました。

■小島喜久夫さん:

「やっぱり自分の子どもも欲しかったしさ」

「国と道がこういうことやってきてね、遺憾に思ってますよ」

「新聞見るだけで。きょうが一番つらい。」

小島さんは不妊手術を強制され子どもを産む選択の自由を奪われたなどとして全国で初めて顔も実名も出して札幌地裁に提訴。

■小島喜久夫さん:

「私も戦っていくからみんなそういう人は出てきて欲しいなと思います」

■小島麗子さん:

「私はお父さんが実名を名乗るといったときに反対しませんでした。お父さん実名を出して声の出せない人がいっぱい出てきてくれるといいねと心からそう思った。」

しかし…「時の壁」が小島さんの前に立ちはだかりました。

一審の札幌地裁では、旧優生保護法が憲法違反だと認めました。しかし、手術から20年が経過したことから賠償請求できる権利が消滅する「除斥期間」が適用され小島さんの訴えは退けられました。

■小島喜久夫さん:

「負けたということに関しては非常に悔しいと思います。頑張って戦い続けるつもりです。」

戦い続けて6年ー今月3日、ようやく最高裁判決が言い渡される日を迎えました。

札幌と東京の往復は体に負荷がかかりますが、「2人で助け合ってきたから」とこの日は妻・麗子さんも駆けつけました。

■小島喜久夫さん:

「いややっぱり最後だから、6年間頑張ったんだからやっぱり勝って帰りたい」

そして、憲法の番人による最終判断へ。

■須藤真之介記者:

「いま小島さんが『勝訴』と出しました。最高裁が国の賠償責任を認めました。」

最高裁は最大の争点になっていた手術から20年が経つと賠償を請求できなくなる「除斥期間」の適用は認めず、国に賠償を命じる判決を下しました。

■小島喜久夫さん:「長かった6年間。私83歳になるけどこれからもこういう活動を続けていきたい。本当に嬉しいです。」

「一番頑張ってくれたのはうちの麗子さん。頑張ってくれたからここまで来れた一人だったら全然絶対できない。」

戦いから6年。ようやく勝訴が確定しました。

小島さんの戦いは終わりましたが道内では、全国の都道府県で最も多い2593人に旧優生保護法に基づく強制的な不妊手術が行われました。

しかし、他人に知られることを恐れ未だに被害を訴えられない人が多いといいます。

被害者の多くは高齢で国による早急な救済が求められていると弁護団は指摘しています。

■優生保護法札幌弁護団小野寺信勝弁護士:

「皆さんご高齢ですし裁判原告も多くの方が亡くなってしまっていますので、一刻も早い(救済に向けた)法律を作ってほしいということと、時間の経過によって手術の記録がなくなっていると問題もあるんですね」「そのときに新しい法律の中では、裁判の用に厳格な立証を求めるのではなくて、ある程度この立証基準を緩めて救済の範囲を広めるような法律を作っていただく必要があるかなと思います。」

裁判が終わり、少しずつ日常を取り戻してきた小島さん。

■小島喜久夫さん:

「いまはこの猫のボクちゃんとさやっぱりな、暮らしているのが幸せかな。裁判で一段落してさ」

裁判は終わりましたが心の傷は癒えることなく、自らの子どもを育てる権利は戻ってくることはありません。小島さんはいまも国を許すことができないといいます。

■小島喜久夫さん:

「だから手術されたっちゅうことは絶対ね、これは私1人でいい。ダメにしたんだからね。こういうことを一生将来傷つけられたんだから、やっぱり国は許せない。」

「(国には)もうなるべく早く急いでもらってね、急いでね。

その被害者にやっぱり救済だとかそういう方はね、やっぱりちゃんとしてもらいたいなと思うよ。」

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