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【オーバーツーリズム】函館山が「激混み」 市電やバスに長い行列…「観光」と「地域生活」の共存は

HTB北海道ニュース / 2024年8月20日 14時47分

(c)HTB

ここ最近、耳にする「オーバーツーリズム」北海道内の観光地でも観光客の増加が地域住民の生活に支障をきたすなど問題になっています。

その現状と対策を取材しました。

国内有数の観光地・函館。

人口24万人に対して、昨年度はおよそ530万人の観光客が訪れました。

中でも人気なのが・函館山。

100万ドルの夜景を求めて多くの観光客が訪れますが…。

■前田愛奈記者:「現在、9時ロープウェイの営業時間まで残り1時間なんですが、建物の外、通りこいて長い行列ができています。」

お盆休み真っ只中の函館山ロープウェイ。今年は円安の影響で国内旅行の需要が高まる中、函館が人気アニメの舞台となったことが追い風となりました。

ロープウェイは長いときでは1時間待ちとなるほどの混雑に。

山頂の展望台にはまだ明るい時間から夜景を見るための観光客が幾重にも列を作っていました。

■山口から:

「疲れました、想像以上です。」

■岩手から:

「こんなに多いと思わなくて、もうちょっとゆっくり見れると思ったんですけど。」

混雑は観光施設にとどまりません。麓の函館市電では…。

■前田愛奈記者:

「いま市電者が到着しました。ただこの電車も満員ですね、そして乗り場にも長い行列ができています。」

市電の停留所からあふれるほどの人が並んでいました。

■青森から:

「市電に乗りたいんですけど、すごい混んでいるので、乗れるかな、ベビーカーもあるし。」

子ども2人を連れたこちらの家族。市電の停留所に並びますが…。

乗れないまま結局、家族は次の電車を待つことにしました。

■青森から:

「残念でした、ちょっといっぱいで、子ども2人とベビーカーと、キャリーケース抱えてはいまの状態では…。」

混雑はさらに。函館山山頂に向かうバスでも…。

■前田愛奈記者:

「函館山へ向かうバスの乗り場です。乗り場の前なんですが、すごい人の列ができています。何人いるんしょうか、まだまだ続きますね。」

行列は、通路を遮るほどに…。

■前田愛奈記者:

「いまバスが発車しましたが、列は途切れることはありません、むしろ伸びているほどですね。」

夜景を楽しむのに一苦労の観光客。

一方、函館市民からは困惑の声も上がっています。

■函館市民:

Q観光客多くて乗り切れないことは?

「たまにありますね。荷物多いとどうしようという感じ」

地域住民はもとより、観光客にとっても好ましくないオーバーツーリズムの抑制に、市も対策に乗り出しました。

■函館市・大泉潤市長:

「来ていただいた観光客の皆さんが大変な行列に並ばなければならないとか,特に,函館山の夜のロープウェイの混雑というのが典型的な例だと思います。こうしたところを何とか改善すべく取り組んでいるところであります。」

そこで市が実験的に始めたのが「ゆったり夜景とヨルメグリ」午後8時までの混雑時間を避けて山頂に登ってもらうもので、山頂に向かう人を分散させる狙いがあります。

■ガイド:「八幡坂と名前が残っています。テレビのドラマ、映画のロケで必ず函館といったらこの景色が出てきますね。」

午後8時から午後9時までの1時間、ガイドの案内で旧イギリス領事館や旧函館区公会堂など西部地区の観光名所をめぐります。

この実証実験は来月までの試験的なもので、20日までは無料で参加することができます。

さらに、ツアー参加者に限らずロープウェイを午後8時以降に乗った客にはうれしい特典も。

午後8時以降に発行のチケットで、ロープウェイ周辺の飲食店10店舗で会計が割り引かれたり、飲み物は1杯無料になるサービスも来月まで行われています。

■函館市・大泉潤市長:

「観光客の選択肢を広げながら,最適化をしながら,過度な集中が避けられるような,市民生活に悪影響が出ないような,そういったことに取り組んでいきたいと思っております。」

一方、オーバーツーリズムによって苦渋の決断を下した観光スポットも…。

千歳市で農場を所有する今鉄雅さん。

■今鉄雅さん:

「みなさん来てきれいですねってことになって、観光連盟の方がみなさんに解放したらどうだって話になって。」

今さんの農場では20年ほど前から肥料用にヒマワリを植えています。

この場所はパレットの丘と呼ばれ、丘陵地にヒマワリおよそ100万本が咲き誇ります。

知る人ぞ知る映えスポットとして徐々に人気を集め、千歳観光連盟もPRを進めていましたが・・・

■今鉄雅さん:

「そのうち、パンクというか、駐車場は限られてて、全部収容するのは大変で、特に土日は大変だった。」

近隣に駐車場がなかったため、今さんが住宅の敷地を観光客に駐車場として開放しましたが、車が止まりすぎてトラクターを出せず、仕事に支障が出始めたといいます。

ヒマワリ畑に入るマナーの悪い観光客も現れたこともあり、観光連盟と話し合った結果、積極的な観光PRを中止することになりました。

■今鉄雅さん:

「観光する人も状況見て判断して、迷惑かかるようだったら、別の日にするとか考えてもらいたいですよね。」

「見てもらいたいんだけど、仕事をやって、これで食べていかないといけないから、ジレンマみたいなのはありますよね。」

各地で問題となるオーバーツーリズム。

専門家は観光客が地域住民の生活エリアを楽しむというここ最近の観光スタイルに対応していく対策も考えるべきだと指摘します。

■北大大学院・石黒准教授:

「それまでは観光地と呼ばれる観光客向けに設計された空間に立ち寄ることが地域住民が暮らしている場所、お店に行くことが楽しみになってきたこの辺をどう仕訳けていくのか、観光客を増やすだけでなくて、地域の中でどう調整していくのかも課題になっていく。」

変わりつつある観光の形。

観光客を増やすという目先の目標にとらわれず、長期的な視点で観光客と地域住民が共存できる方法が必要になっています。

(2024年8月19日放送)

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