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【独自】知床沖・観光船沈没事故 事故直後の船内の様子 映像を見た家族は・・・

HTB北海道ニュース / 2024年9月10日 17時20分

(c)HTB

乗客乗員20人が死亡、6人が行方不明となった知床沖の観光船沈没事故。

その船内をとらえた映像がHTBの開示請求により初めて明らかになりました。

記録された船内の様子からは沈没に至る過程が浮かび上がってきました。

2022年5月。

事故発生の10日後、カズワンの船内に捜索のため、初めて入った道警の水中カメラ。

そこに何が記録されていたのか

HTBの開示請求によりその映像が初めて公開されました。

水深およそ116m、海水温はわずか2度。

映像は、魚の群れが行き交うほの暗い海の底から始まります。

群れをかいくぐると、白く塗装された船体が。

その先のドアは開いていて、ここからカメラは船内へと入っていきます。

客室に並べられた椅子。

大きく傾いたものや座面が外れているものもあり、沈没の衝撃の大きさがうかがえます。

カメラは客席の周辺を重点的に捜索します。

するとそこには、黒いリュックサックが。

のちに、乗客の遺留品であることが確認されました。

船内の備品に行く手を阻まれながらもカメラは前方へ。

カメラにはケーブルが付いていて道警の船の上からリモコンで操縦します。

カメラが捉えたのは客室の先頭部分の窓です。

3枚の窓のうち、真ん中のものはガラスが外れてしまっています。

この窓ガラスの手前には甲板と船底をつなぐハッチがありました。

国の運輸安全委員会の調査ではハッチのふたが外れて窓を直撃しガラスが割れ海水が船内に流れ込んだことが沈没の一因とされています。

カメラは、操舵室へ。

そして、船体の周辺もくまなく探しましたが、行方不明者の発見には至りませんでした。

再生開始からおよそ50分後、カメラが何かにひっかかり動かなくなったところで映像は止まります。

この映像は事故のおよそ2カ月後、一部の乗客家族にのみ公開されていました。

息子(当時7)が行方不明十勝地方の男性「結構はっきり映っていますね」。

十勝地方に住む男性は今回、初めて映像を確認しました。

当時7歳の息子とその母親はいまも行方がわかっていません。

2人を探す手掛かりは映像にありませんでしたが、船内での様子をこんな風に想像します。

息子(当時7)が行方不明十勝地方の男性「うちの息子は乗り物とか傾いたりするのが苦手だったんですね。怖かったろうな、きっと泣いて叫んでいただろうなって…」。

大切な家族が味わった恐怖。

映像を見て込み上げてきたのは「怒り」でした。

息子(当時7)が行方不明十勝地方の男性「この映像を見ているとすごくつらいし苦しい思いなんですけど、それと同時に桂田精一社長に対する憎しみがやっぱり湧いてきますね。

いまだに被害者家族にきちんとした謝罪はないですからね」。

水中カメラがとらえた黒いリュックサック。

持ち主は乗客の一人、小柳宝大さんと判明しました。

事故のおよそ1カ月後、中に入っていた持ち物と共に家族の元に戻ってきました。

小柳宝大さんの父親「これ、ダウンジャケット着ていなかったんですね。このニットの帽子も。これなんかいろんな仕事のことが載っていますね。もう仕事が好きでですね…」

仕事で駐在していたカンボジアから一時帰国中に事故に巻き込まれた当時34歳の小柳さん。

その行方は今もわからず、リュックサックとその中に残されたものが家族にとっては唯一の遺留品です。

父親はリュックサックが船内に残る様子を今回初めて、確認できました。

小柳宝大さんの父親「改めて最後に置いていったリュックサックが見つかってうれしい気持ちもあるし何か悲しい気持ちもありますね」。

優しく、細かな気配りも忘れなかったという小柳さん。

父親は、船内に残されたリュックサックから普段と違う様子を感じたといいます。

小柳宝大さんの父親「リュックサックのチャックも、チャックを閉めた後に留める金具もどっちも開いていて『ああ、慌てて置いて行ったのかな』と思いました。じっくり見れば見るだけその光景を思い浮かべてみて何か悲しい気持ちになりますね」。

カズワンの構造を知る元甲板員の男性にも映像を確認してもらいました。

注目したのは開いていた窓です。

元甲板員の男性「横の窓が開いているね。ここの窓、操舵室の」。

船の2階部分にある操舵室。

まだ冷え込みが厳しい4月の知床では窓を開けることはないといいます。

元甲板員の男性「ここから船長は脱出したのかもしれないね。寒くてここを開けていないと思うから。エンジンが止まった時点であきらめてどこかから出たと思う」。

映像から浮かび上がる、沈没に至る過程。

専門家はそのときの衝撃の大きさが伺えると分析します。

水難学会 安倍淳理事「沈没するときに、中に海水がドンと一気に流れ込んで渦になって椅子がその場になく、浮くものはその場になく、重いバックなんかは席の下にそのままあるというそういう状態だったのかなと思います」。

HTBは事故直後に開示請求をしたものの当初、道警は非開示を決定しました。

HTBの不服申し立てを受けて道の審査会が検討したところ決定は取り消され、映像が開示されました。

その意義について安倍さんは乗客家族にとっても大きいと強調します。

水難学会・安倍淳理事「海で親族を流されたご遺族の方にとっては『最期がどうだったのかな』ということを知りたいというのが万人の思いです。ここに家族がいたんだな、この座席に座っていたかもしれないなという情報を得るということは、一つの権利ではないかなと思う。風化しつつある海難事故について「こんな風なことになるんだよね」ということを(公開することで)情報発信していただけるとありがたいなと思います」。

今回開示された映像について道警は、希望する家族に対してDVDで共有するということです。

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