規制強化から半年 物流の「2024年問題」サンマにも影響が…現場の実態は?23歳トラックめいめいさんに密着
HTB北海道ニュース / 2024年9月17日 17時5分
サンマの季節を迎えた道東の港。
■櫻井靖大記者:
「こちらではいまサンマの選別と箱詰めの作業が行われています。」
ことしも懸念されるサンマの不漁…。一方、別の深刻な問題がこの港にも静かに押し寄せています。
■厚岸漁協・加藤大将参事:
「2024年問題で労働時間が削減されたことで出荷時間が前倒しされて、生で出荷できたものができなくなる時間帯がある。」
ことし4月からトラックドライバーなどの残業時間が規制され、運べる荷物の量が減るとされる「物流の2024年問題」です。
これまで、厚岸漁協では朝8時から選別などの作業を行いサンマが積み込まれたトラックは午後5時ごろに厚岸を出ていました。
ただ、今年からは残業時間を抑えるために出発時間は1時間前倒しされ午後4時に。その影響で積み残されるサンマが増え、冷凍に回さざるを得なくなっています。冷凍に回す量は1日あたり最大4トン増えたといいます。
■厚岸漁協・加藤大将参事:
Q金額は生サンマと比べてどうですか?
「生で出荷できた方が金額は張る。冷凍に回る分はその分価格を抑えなきゃいけない。」
浜値は生サンマの場合、1キロあたり1000円から1500円ほどが相場ですが、冷凍になると2割から3割ほど安くなってしまそうです。
■厚岸漁協・加藤大将参事:
「繁忙期というのは年間、限られた時期しかないから『よし、ここで頑張らなきゃ、踏ん張らなきゃ』という時にも大きく規制がかかるということは、いろんなものに影響しちゃうのかなと。
法を破ってまで業務はできないですから法の許す限りの中で努力して、いろいろチームワークでやっていくしかないかな。」
影響が広がり始めている2024年問題。
その渦中にあるドライバーの仕事現場に森唯菜アナウンサーが潜入しました。
■森アナ:
「おはようございます」
■トラックめいめいさん:
「おはようございます。」
森アナ:「朝早いですね」
■トラックめいめいさん:
「早いですね、まだ暗いですし。」
札幌のドライバー「トラックめいめい」さん23歳。
勤務後にビールを勢いよく流し込む姿や、トラックでの飾らない写真が話題を呼び今ではXのフォロワーは35万人。物流業界きっての「インフルエンサー」です。
この日もアルコールチェックや健康状態の確認を済ませ日の出とともにトラックへ。
出発前にはもちろん…。
■トラックめいめいさん:
「投稿しました。では行きます!これで安心。」
この日の現場は富良野市です。2時間ほど運転し、農園に到着しました。
■森アナ:
「これから何の作業をするんですか?」
■めいめいさん:
「今からスイカ積みます。」
■森アナ:
「スイカ?」
■めいめいさん:「15トン」
■森アナ:「15トン!?」
運転だけでなくコンテナへの積み込み作業もドライバーの仕事の一つです。
用意された箱の数と、発注された箱の数が間違いないかを確認。配送中に倒れないようにバランスを考えながら一つ一つ手で積んでいきます。
■森アナ:
「やっぱり重いですか?」
■めいめいさん:
「そんなに重くないな…これ何キロぐらいだろう。」
■職員:
「10キロちょっと…。」
「そんなに重くない」というスイカの箱。森アナウンサーも持ち上げてみますが…
■森アナウンサー:
「重っ…。持ち上げられました。けど、これを上にあげられない…。」
めいめいさん、重さを物ともせず手際よく積み込みますが、それでも作業が終わるまでに1時間半かかりました。
そして、足早に次の現場へ。
残業時間の規制で、求められる「効率化」。
めいめいさんの働く会社では様々な仕組みを導入し始めました。
■(めいめいさんの勤務先)永吉大介社長:
:「全車両、GPSをつけていますので現在、車がどこを走っているかすべてわかるようになっています。」
7月から導入したのが車両の位置がリアルタイムでわかるモニターです。
■森アナ:
「今の状況がわかると違いますか?」
■永吉大介社長:
会社の方でいま現在どこにいるかがわかると次の指示が出せるんですね。終わったから次にどこに向かってくださいとか指示が出しやすくなる。そういった意味では今までできていなかったことができる。生産性向上につながる。」
さらに、これまでは1カ月ごとに集計していた残業時間もアプリを使って毎日報告することで勤務が終わるごとに把握できるように。
現時点での残業時間が一目でわかるシステムを構築しました。
■森アナ:
「これによって時間外労働は減りましたか?」
■永吉大介社長:
「減りました。オーバーしそうだなとなったら、すぐに別の仕事に振り替えたりとかそういったことで労働時間を守るというのができるようになりました。」
デジタル化、いわゆるDXで2024年問題への対応を急ぐ物流の現場。
しかし、根本的な解決のため必要なのは結局のところ人材。
いかに若いドライバーを確保できるかがカギだと専門家は強調します。
■流通経済大学・矢野裕児教授:
「(ドライバーで)今一番多い年代が50代なんです。今後、この50代の方は当然5年、10年という中でどんどん定年になっていきますので、一挙にドライバーが不足する。特に若い人、あるいは女性の方にどんどん入っていただくということも重要。」
「若い世代や女性にもドライバーの仕事に興味を持ってほしい」。
めいめいさんがSNSで発信する背景にはそんな思いがあるといいます。
■トラックめいめいさん:
「どんな仕事かわからないし、どれくらいの時間働くかわからない。やってみないとわからない業種だなと私はそう感じでいたので、私の発信することも将来の選択肢の一つになればいいなと思っています。」
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