夕張の歴史を語り継ぎ 未来へ 小さくても幸せな街づくりをする女性の思い
HTB北海道ニュース / 2024年10月9日 15時21分
かつて炭鉱で栄えていた北海道夕張市。最盛期の1960年には、人口は11万人を超えていました。団地には楽しそうに遊ぶ子どもの姿が。
街は活気に満ち溢れていました。
しかし、国のエネルギー政策の転換で石炭の時代は終わり1990年には全ての炭鉱が閉山。
今では人口およそ6000人まで減少しました。
賑わっていた街の姿は大きく変わってしまいました。
そんな夕張のある秋の一日、まちを歩くイベントに参加する人の姿が。
参加者「立坑が…見える見える」
佐藤さん「コンクリートのステージみたいにあるでしょう」「塞いでいます穴を塞いだんです」
参加者に「夕張」を語る女性は「まちあるき」の企画者清水沢プロジェクトの佐藤真奈美代表理事です。
このイベント、「清水沢まちあるき」では毎月第4土曜日の午後に夕張市内外からの参加者が街を歩き、知られざるまちの魅力を発見しています。
この日は清水沢の炭鉱の歴史にゆかりのある場所を歩きました。
参加した人は佐藤さんの説明に熱心に耳を傾けます。
参加者「今まで知らなかった街の歴史を知ることが出来ることが楽しい」
参加者「長くやってほしい」
このまちあるきイベント佐藤さんが10年近く続けています。
この日は、108回目の開催。14人が参加しました。
佐藤さんは夕張の炭鉱遺産の活用や歴史を伝える活動を行うため、2016年に一般社団法人「清水沢プロジェクト」という団体を作りました。
活動を通して、夕張のまちづくりに貢献してきた佐藤さん。
彼女と夕張の初めての出会いは一体どのようなものだったのでしょうか?
佐藤真奈美さん「私が最初に見た(夕張の)景色はこれですね。ここから見た炭鉱住宅がいっぱいならんでいる風景、これがニュータウンだと思ったんです」
実は、大分県出身の佐藤さん。
JR北海道への就職を機に、それまで縁がなかった北海道へ来ました。
特急列車で車内販売などの仕事をしていたため、道内各地を深く知ろうと休日はいろんな場所に足を運んでいました。
「街の方に聞いたら、ここは炭鉱があったんだ。炭鉱がなくなったからあまり人が居なくなったんだよと聞いてそれではじめて炭鉱って何なんだろうと、すごく衝撃を受けましたね」
大学で団地について研究していたこともあり、夕張の街並みに好奇心を抱きました。
JR北海道を退職したあと、2006年に札幌国際大学の大学院に進学。
観光学を学び夕張についての研究を行い街との関わりを次第に深めていきました。
佐藤さん「私はここで勉強させていただいたので、おこがましくも地域計画なんかも立てたので、やっぱり自分でやる責任というものもあるだろうし、やる意味もあるだろうなと思って、継続して活動するという風に決めました」
大学院で佐藤さんは「エコミュージアム構想」を描きました。
それは夕張の清水沢地区全体を博物館として、炭鉱遺産や地域の記憶など、住民自らが地域の歴史や誇りを次世代に伝えていくものです。
佐藤さん「過去の歴史をしっかりと街づくりの糧にして、その誇りっていうものを将来の市民に引き継いでいきたいですし、小さくても幸せに生きていく街っていうのを作っていきたいなと思っています」
小さくても幸せな街づくりという活動を続けて来た中で佐藤さんの思いにも変化が生まれてきました。
「子どもとか子育てに関する事業というのも、私たちなりのやり方で少しずつ今やったりしているところです」
今年7月には「夕張子ども盆踊り歌」を復活させようと地元の小学生に指導。
夏まつりでは多くの子どもたちが踊っていました。
様々な形で夕張のまちづくりに励んでいる佐藤さん。
その様子を見守る街の人は…
清水沢に住む人「夕張に骨をうずめたい」なんて言われたら、ちょっとポロポロ…となっちゃって」「ほんといろいろやっています。立派だ」
清水沢プロジェクトで佐藤さんと一緒に働く地域おこし協力隊で中国出身の女性、夏思雅(か しが)さん(30歳)。
佐藤さんの取り組みを間近で見てきました。
清水沢プロジェクト夏思雅さん・「彼女はすごく真面目で自分の仕事をやっている方なので、夕張で色々街づくりのことをやっていて」「すごい尊敬しています」
佐藤さんの思いは少しずつ若者へと受け継がれつつあります。
夕張高校1年生の山田実季さん・16歳。
小学生の頃子ども食堂などで知り合い、佐藤さんの思いに触れながら育ちました。
今年3月、佐藤さんからアルバイトの募集を聞いた山田さん。
自分の街を深く知りたいと思い、5月から働き始めました。
山田さんの仕事は市内外から寄せられた夕張に関する写真や資料の整理です。
山田実季さん「いろんなことに真奈美さんが携わってて、最初本当に何の職業で何をしてる人なんだろうと思っていた」
清水沢プロジェクト佐藤真奈美代表理事「一緒に働ける仲間になってくれたそのくらい成長したんだなと思うと」「また違う気持ちで感慨深く思っています」
佐藤さんと一緒に働く山田さんについて心強く思うこともあります。
佐藤さん「こういう(アルバイト)機会を設けでもしない限り、歴史とか文化に関心を持つ」「改めて考えるっていう機会は多分なかったと思うので、すごく嬉しいし、心強い」
一緒に働くようになって佐藤さんの取り組みを間近で見るようになった高校生の山田さん。
山田実季さん「今あるものを最大限に活かせていければ、もっといい街になると思います」「上の世代から伝わっている歴史は無くなることはないと思うので、その話を大切にしていきたい」
佐藤さんが大切にしている「夕張の歴史を伝え小さくても幸せな街づくり」という思いは、未来へと受け継がれていきます。
佐藤さん「次の世代に引きついでいく、そういうことをやっていかなければならないんだという、これが街づくりの糧になるっていうのを皆さんに少しずつでも活動を通して伝わっていけばいいな」
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
作家・山田詠美さん「明日死んじゃうかもしれない」と思って生きる理由
ハルメク365 / 2024年10月6日 22時50分
-
政界きっての“オタク”が掲げる「地方創生」に期待 北海道と自民党・石破新総裁とのつながり
HTB北海道ニュース / 2024年9月30日 18時50分
-
【インサイトナウ編集長対談】「日本のどこかに自分の応援を受けて頑張っている子どもがいる」そんな社会になってほしい/INSIGHT NOW! 編集部
INSIGHT NOW! / 2024年9月27日 8時30分
-
内村光良・田中直樹・塚地武雅、テレビコント続けられ「幸せ」『LIFE!』はライフワーク「体が動くうちは」「1秒でも長く」
マイナビニュース / 2024年9月14日 10時40分
-
瀬戸康史が、高橋一生との出会いをきっかけに考えた“理想の俳優像”「個性は逆にないほうがいい」
CREA WEB / 2024年9月10日 17時0分
ランキング
-
1史上初、入獄した元法務大臣の河井克行氏が見た刑務所の世界 「次は良い大臣になるよ」その言葉の真意とは?
47NEWS / 2024年10月8日 10時30分
-
2【10.27総選挙289全選挙区緊急予測】自民党“裏金議員”45人のうち20人以上が落選の可能性 選挙後に旧派閥の勢力図が大きく変わり、安倍派の政治支配終焉か
NEWSポストセブン / 2024年10月9日 6時59分
-
3《石破新政権で自民大分裂へ》高市早苗支持派が受けた「報復人事」 小泉進次郎氏の選対委員長起用は裏金議員の“クビ切り役”をさせるためか
NEWSポストセブン / 2024年10月9日 7時12分
-
4「捜査は適正」と謝罪拒否 「大川原」国賠控訴審、取調官が証人出廷
毎日新聞 / 2024年10月9日 13時33分
-
5自民「裏金」非公認12人=菅家・細田氏ら6人追加―1次公認279人決定・衆院選
時事通信 / 2024年10月9日 12時23分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください