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それでも舞台に立つ がんと闘う俳優が新作に託す想い 札幌発「民衆の敵」

HTB北海道ニュース / 2024年11月5日 20時1分

(c)HTB

斎藤歩さん。59歳。俳優、演出家、脚本家でもあります。北海道の演劇界を牽引してきました。関わった舞台は再演を含めておよそ250。映画も70作品以上に出演しています。斎藤さんの書斎には、これまで出演した映画やドラマの台本が積まれてます。

(※今回VTR中の楽曲はすべて斎藤歩さんが作曲した曲を使用させていただきました)

■斎藤さん「これアウトレイジね。1回だけたけしさんの北野組に出させてもらって。めちゃくちゃなんだよ。こんな広い範囲でドンパチやるの?ってことを街中でやるの。バババンって。通行人いるんだけど、びっくりして振り返るわけ。ええ?って。それをたけしさんモニターで見てて笑ってるの」

「今もちゃんと歩けないんだよね。副作用が手足の痺れ。前はここから先が痺れているだけだったんだけど、(抗がん剤の)4回目の投与を終えたあと、今はもうここから下が痺れているから」

斎藤さんはいま、がんと闘っています。ステージ4の末期がん患者。それでも舞台に立ち続けています。11月8日には、新作の舞台が迫っています。

3月、斎藤さんは朗読劇の演出をつけていました。読み手は俳優の西田薫さんです。小説を元にした戯曲を、ギターの伴奏を交えながら一人で読み聞かせます。

■斎藤さん「これ朗読なんだよ!お前がこれをどう読んだのかってことがさ、いま全然わかんなんだよ。形ばっかりで、こう読みましょうか、あぁ読みましょうかってさ」

■西田さん「いつも厳しいです。ちゃんと指摘をしてもらえる演出家というのが、札幌では他にいないんです」

Q西田さんから斎藤さんに演出をお願いしたのですか?

「そうです、そうです、もちろん。私の朗読なんて絶対に演出したくない人なので」

西田薫さん、実は斎藤さんの妻です。

3月21日、岩見沢公民館で朗読劇の本番を迎えました。「100年を爪弾く」(原作・川上弘美「溺レる」)は、主人公の女性が不倫の男性と逃避行して心中を図るものの、女性だけが死んでしまうという内容です。斎藤さんは演出のほかに照明と舞台を担当しました。

■斎藤さん「言えばきりがないんだけど、でもまあ良かったんじゃないですかね」

Qどうして西田さんはこの脚本を選んだのでしょう?

「いや、わかんないのよ。(本人に)聞いてみたら?割ととぼけたことを言うと思うよ。がっかりするよ」

死を意識させる作品を選ぶのに、戸惑いはなかったのでしょうか。

■西田さん「(斎藤さんが)いなくなるということを、(私は)まだ受け止めていないというか、いつかそんな日が来るかもしれないけれども、来るということを考えないようにしてます」

9月、札幌市白石区にある北海道がんセンター。斎藤さんは主治医の丸山覚医師から、CT検査の結果を聞いていました。

■丸山覚医師「今までの抗がん剤は効いていたのですが、肺と肝臓には新たに出てきているので、これにはもちろん効いてないと考えないといけない。次の治療法はもう限られてるというか無くなっちゃう」

家に戻り、薫さんに報告します。

■斎藤さん「問題は2つあって肺に転移している可能性があるといっていた小っちゃいのがこんなに大きくなってる。それと肝臓に2か所明らかな転移がみられる。ということは今やってる抗がん剤は内臓には効いていない」

薫さんは、知人から聞いていた民間療法を斎藤さんに伝えました。

■西田さん「でも一応聞くだけ、それもあれなんだよね、免疫療法の一つなんだよね」

■斎藤さん「それこそ何のエビデンスもないじゃん。そういうのやってほしい?」

■西田さん「いや、どういうものなのかわかんないからね」

■斎藤さん「わかんないでしょう?だって医者はそんなもの勧めないんだから、やったってしょうがないだろう。聞いてみる?丸山先生に?」

■西田さん「聞くだけ聞いてみればいいしょ。それから考えればいい」

斎藤さんはいま、新しい作品に取り組んでいます。ノルウェーの文豪・イプセンが書いた「民衆の敵」。新たな演出と、劇中の音楽を作曲、そして自らも出演します。ほかの仲間たちは斎藤さんをどう見ているのでしょうか

■林千賀子さん「昔だったら本当に誰よりもすぐセリフを覚えるような人なんですけど、今回結構ご苦労なさってて」

■明逸人さん「歩さんの熱量が、お芝居に対する役をやるにしても、お芝居を作るにしても、その熱量のすさまじさ」

■高橋正和さん「舞台に立ち続けることの強さというか、この今の彼の状態では本当に素晴らしいと思うし尊敬はする。だけど僕には真似できない」

■横尾寛さん「この人は死ぬまでやるんだ。なんかその覚悟を見せつけられた気はしています。いま毎日」

■斎藤さん「札幌の演劇は、いますごく小っちゃい。それは大きなものをみんなが見ていないし読んでいないからだと思う。やるなら「民衆の敵」だなってことは思っていた。そういう大きなものが演劇にはあるんだよってことを、札幌の人にちゃんと見ておいてもらいたい。

東京から俳優や振付師の井手茂太さんを招きました。斎藤さんは東京や海外で培った経験と人脈を札幌に結集させます。新作・イプセンの「民衆の敵」は温泉が沸いた田舎町が舞台です。温泉水が汚染されていると訴えた主人公がやがて住民から孤立していきます。11月8日から14日まで札幌市北区の北八劇場で始まります。

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