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「めっちゃいい音…」 ミュージシャンを支える「魔法の箱」 札幌在住 注目のエフェクタービルダー

HTB北海道ニュース / 2024年11月12日 14時32分

(c)HTB

美しい塗装が施された、手のひらに収まるサイズの鉄の箱。

一見なにかわからないこの箱。

ミュージシャンに欠かせない「エフェクター」というものです。

札幌にあるアパートの一室。

杉本優司さんは、この部屋でエフェクターという機材を作っています。

■杉本優司さん:

「自分が魅力を感じるものがつくるのが大前提としてあります」

有名楽器店で販売され、メジャーアーティストも使用するなど高い評価を受ける杉本さんのエフェクター。一方、自身の仕事をこのように話します。

■杉本優司さん:

「エフェクター作ってますって言っても、やっぱりバンドをやってきた人とかだとわかるんですけど、そうじゃない人は伝わらないですね」

杉本さんが手がけるこの「エフェクター」。

一体どういうものなのでしょうか?

札幌でギター講師を務める桑尾哲郎さんに、実演してもらいました。

演奏中、両手が塞がってしまうギタリストやベーシストは、足元に置いたエフェクターのスイッチを踏んで音を変化させます。

お馴染みの「あの曲」で試してもらいました。

(※onちゃんおはよう体操)エフェクターを踏んでいない状態だと…

【エレキギターの素の音♪】

ここに「ファズ」と呼ばれる音が激しく歪むものを踏むと…

【歪んだ音♪】

「フェイザー」と呼ばれる音がうねる効果があるものを踏むと…

【うねった音♪】

エフェクターは様々な音を操るためになくてはならない機材なのです。

杉本さんがエフェクターを作り始めたきっかけは、中学生の時でした。

■杉本優司さん:

「ギターマガジンって雑誌にエフェクターを作ろうみたいなやつがあって/放課後にハンダごて借りて、やって、何も音が鳴らないってのはありましたね」その後も、杉本さんはバンド活動をしながら、趣味でエフェクターを作り続けました。

そんなある時、転機が。

■杉本優司さん:

「東京の楽器店で働いている知り合いがいて、そこでちょっと置いてみないって話になって。

実際にサンプルを何個か作って試してもらって、これだったら置けるよっていうことで置いていただいて、そこがスタートですね。」

このきっかけもあり、杉本さんは好きなバンドの楽曲名を由来とした「1995fx」というブランドを立ち上げました。

ステージに立ち続けていることが、ものづくりに生かされてると言います。

■杉本優司さん:

「現場で使えるもの以外考えてないというか、バンドで使った時に扱いやすいとか、いい感じに音が作れるとかっていうのは自分でバンドをやってないとわかんなかったりするので、そういったところは大事にしてます」

回路図の設計を終えると、ハンダづけや塗装まで、すべてを手作業で行います。

プロミュージシャンとのコラボ商品の販売や、海外からも注文を受けるようになった杉本さん。

実はいま、大きなイベントを控えていました。

全国に182店舗を構える、日本有数の楽器店・島村楽器。

杉本さんは、島村楽器が行う大型イベントでのブース出店と限定商品の制作の依頼を受けていました。

■島村楽器青木優汰さん:

「杉本さんなら絶対にいいものを作っていただけるということで、信頼感もあるので是非という感じです。」

いま杉本さんが制作しているのはその限定商品です。

■杉本優司さん:

「今回のは「parhelion」(パーへリオン)という名前で、幻の日って書いて幻日っていうんですけど。キラキラした音のイメージなので、幻日っていう現象のきらめきみたいなものが、ぴったりだと思って。」

およそ2時間ほどの作業を経て組み上げられたエフェクター。最後はしっかり動作の確認をします。

■杉本優司さん:

「これで完成ですね」

Q喜んでくれるといいですね

「気に入っていただけるといいんですけど」

イベント直前、杉本さんの準備も大詰めです。

そして迎えたイベント当日。

杉本さんが作り上げたエフェクターがブースに並びます。

■イベント挨拶:「10時より開店します、よろしくお願いします。」

遂にイベントがスタート。

すると、この日最初に会場に訪れたお客さんは真っすぐ杉本さんのブースへ。

すぐに試奏をはじめました。

■客:

「めっちゃいいですね」

■杉本優司さん:

「ありがとうございます、」

■客:

「めちゃくちゃいいです。デザインとか音が好みの音を出してくれるつくりになっているのがすごい魅力的。」

最初に訪れたお客さんは、この日のために作られた「parhelion」を購入しました。

■杉本優司さん:

「ちゃんと手に渡ってるんだなというか、ありきたりな感想ですけど。ちょっと緊張しましたけど、ありがたいすね。」

その後も、杉本さんのブースには絶えることなくお客さんが集まり、限定商品は、2日間でほぼ売り切れとなりました。

イベントからおよそ1週間が経ち、杉本さんの家を訪ねると先客が。札幌でバンド活動をする志村拓也さん。

壊れたエフェクターの修理を依頼しにきたとのことです。

■志村拓也さん:

「こっちのトレモロは繋ぐと音が出なくなる」

札幌のミュージシャンの多くが、困ったことがあると、杉本さんに相談すると言います。

(音が出る)

Qもう直ったんですか?

■杉本優司さん:

「直りましたね」

■志村拓也さん:

「かかりつけのお医者さんのみたいなレベルで、みんなすごい頼りにしていると思います。」

多くのミュージシャンから頼りにされる杉本さん。

そんな杉本さんにとってエフェクターとは、どんな存在なのでしょうか。

■杉本優司さん:

「魔法の箱って言ってます。回路を作る側としては、もちろん設計があったりとか、いろんな議論が必要になりますけど、使う人の場合は、押せば音が変わるみたいものなので、もう一種の魔法の箱と言っていいと思います。」

札幌の職人が生む、「魔法の箱」。

これからも多くのミュージシャンの足元を支え続けます。

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