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ロシアのビザを取得して北方領土の国後島へ行った男性を直撃 渡航自粛の中、いったいなぜ?

HTB北海道ニュース / 2024年11月19日 16時47分

(c)HTB

先月、ある日本人の男性がロシアのビザを取得して国後島に渡航したとサハリンのメディアなどに報じられました。男性はなぜ、このような行動に出たのか。本人を直撃しました。

「私はNorikun-Xといいます。東海地方に住んでいて一応ジャーナリストとして活躍しています」

YouTubeを中心に活動するジャーナリスト・Norikun-X氏。

彼のある行動が、世間の注目を集めたのは先月のことでした。

【HTBニュース】

「ロシア極東の地元メディアが、北方領土の国後島を訪問した日本人男性が、ロシア当局から罰金を科されたと報じました」

ロシア・サハリン州の「ASTV」。日本人男性が国後島へ渡航し、現地の博物館などを訪れたと伝えたのです。ロシアが実効支配を続ける北方領土。

国後島とサハリンの間をロシアの航空路線が結んでいて飛行機で行き来できます。しかし、ロシアのビザを取得したうえでの国後島への渡航は北方領土を外国と認めることにつながります。外務省も「わが国の立場に反する」として自粛を要請しています。

【Norikun-X氏】

「母の出身地が北海道・室蘭なんです。祖母と母と昔、羅臼町から国後島を見ました。『あそこはロシアに占領されて行けないんだよ』と言われたんです。すごくそれが衝撃的でした」

幼い頃からの憧れだったという国後島。今年6月、旅行で再び羅臼町を訪れた際にその気持ちが蘇り渡航を決意したそうです。9月下旬、中国の上海、北京を経由してロシアのウラジオストク、さらにユジノサハリンスクへ。日本を出発してから2日がかりで到着しました。

【Norikun-X氏】

「ついに国後島に上陸しました。メンデレーエフ空港です。だんだんと街に近づいてきました」

現地での移動手段は主に地元のタクシーを利用したといいます。

【Norikun-X氏】

「市庁舎があります。そしてロシア正教会があります。あのようにロシアのマークがあったり、サハリン州の地図があったり…」

4日間の滞在中、市街地を散策したほか博物館を見学しました。

【Norikun-X氏】

「日本の着物もあります。そしてこっちがビザなし交流の様子です。ソ連兵が国後島に来た時の写真もありますね」

そして最終日の朝。

【Norikun-X氏】

「いまチェックアウトしたんですが、国境警備隊に取り調べを受けてしまいました」

ロシアの法律では国後島のほとんどの地域に入るためにはロシア人であっても許可証が必要です。許可証の取得を代行した国後島の旅行業者からは、7月に「6カ月間有効」と伝えられていました。しかし、その有効期限が切れているとして取り調べを受けたといいます。

【Norikun-X氏】

「『あなたはロシア連邦法の行政法違反という犯罪をしましたのでこれからあなたのためにロシアの弁護士を準備します。あなたはロシアの法律によって裁かれます』と言われました。めちゃくちゃびっくりしましたね。やばいと思いました」

そして、島からの退去を命じられ、ユジノサハリンスクの空港へ移動。そこでも警察と国境警備隊からの事情聴取を、相次いで受けることになったそうです。

【Norikun-X氏】

「『今回は警告のみで終わらせますので、次回南クリル(北方領土)に行く際は必ず許可証を取得してください。それがないと国外追放になってしまいますのでご理解をお願いします』と言われました」

処分は「警告」で終わり、報道で伝えられたような罰金もなく、5日後にはロシアを出国しました。Norikun-X氏は外務省による北方領土への渡航自粛要請を認識していたといいます。それでも渡航した理由をこう主張します。

【Norikun-X氏】

「僕もできればビザなし交流で行きたかったんです。でも今は中止されているじゃないですか。だったらロシアビザを取得してそのまま国後島に行くしか方法がないと思って」

【Norikun-X氏】

Qロシアの主権を認める行動につながるがそれでも行きたかった?

「僕は個人的には(ロシアの主権を)認めていないんですけれど、それは国の上同士の話なので、僕ら市民は関係ないと思っていて」

ビザを取得せずに北方領土へ渡航する方法としては、ビザなし交流・自由訪問・北方墓参の3つの枠組みがありました。しかし、新型コロナやウクライナ侵攻の影響で、2019年を最後に渡航は途絶えています。

国後島出身でいまは根室に住む古林貞夫さん。

【古林貞夫さん】

「本当に帰りたいという気持ちでいっぱいですが、なかなかそういう状態ではないんですが一番にお願いしております」

元島民ですら、島の土地を踏めない日々。古林さんも、本音と建前の狭間で揺れ動く思いを抱き続けています。

【古林貞夫さん】

「足腰が丈夫なうちにもう1度島に渡って島の土を踏みたい。ロシアのビザをとれば、(ロシア側が)墓参を許すよという可能性はないわけではないと思う。ただそれは今まで(の主張)に反する結果になりますので国民の一人としてはできない」

ビザを取得して渡航するという行動についてこう苦言を呈しました。

【古林貞夫さん】

「そういう人が増えてきたことについてはロシアに対してこれから交渉に(影響を)与える可能性があるんですよ。その辺は十分に配慮した行動をとっていただきたい」

日ロ関係に詳しい専門家は、問題点を次のように解説します。

【北大・岩下明裕教授】

「ビザを取って行くということは、相手の領土だと認めて行く、という手続きを取りますから、それが積み重なっていくと日本政府の法的立場が弱くなる。捕まえたりするのは『自分たちの権限が及ぶところだ』と日本人に見せているわけですよ。いやがらせもあるでしょうけれど半分わざと捕まえていますよ。警告というのはロシアの法行為ですから、それに従ったというのは日本国民がロシアの法律にロシアの領土で従ったということなんですよ。単に『行った』以上に法的効果というのはあります」

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