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子どもと家族に寄り添いたい…「医療的ケア児」を支える全国でも珍しい薬局の取り組み

HTB北海道ニュース / 2024年12月16日 16時46分

(c)HTB

人工呼吸器やたんの吸引などが日常的に必要な「医療的ケア児」は全国におよそ2万人、道内に700人ほどいるとされています。

その医療的ケア児向けの薬局が石狩市内にあります。

上野さん)

「(絵本の読み聞かせ)」

札幌市北区に住む上野萌恵さん13歳。

重度の脳性麻痺で、たんの吸引などが必要な「医療的ケア児」です。

薬や栄養剤は、水に溶かし、チューブから胃に入れる、「胃ろう」という方法で服用します。30分に1回必要なこのケアも医療行為です。すべて、母親の恵さんが自宅でケアをしています。

母・上野恵さん)

「間違えると生命に関わってくるので、そこはすごい緊張してやっていると思う」。

娘を連れて、薬や栄養剤を取りに行くのも簡単ではありません。

母・上野恵さん)

「車の中で待機させて、薬をもらって帰ってきてとなった時にゲホゲホしていて。やっぱ目を離す訳には行かないんだなと」

今年8月、石狩市内にできた「コロポックル薬局」。

家族の負担を減らすため、全国でも珍しい医療的ケア児向けの薬局です。

開業した、薬剤師の飯田祥男さん。

錠剤を飲めない子どものため、粉状にしたうえで、ザルでこします。

コロポックル薬局 飯田祥男さん

「フィルムコートって言って、(錠剤の)周りがコーティングされている。コーティングされていると、それが胃ろうを通らなかったり、詰まる原因になりやすいので、フィルムコートは除去しています」。

去年まで道立子ども総合医療・療育センターに勤め、およそ5年間、医療的ケア児と家族に向き合ってきた飯田さん。

医療的ケア児の薬の調剤は、平均2時間から3時間かかり、中には人員不足などを理由に調剤を断る薬局もあったといいます。

コロポックル薬局 飯田祥男さん

「薬剤師っていうのは医療的ケア児のこと、学校では学ばないんですよ、ほとんど。だからそういった方たちが来ても普通の薬局だとなかなか対応できなくて、どうすればいいのかも分からないことが多くて。だから自分が…」。

1度に飲む薬が十数種類にもなる医療的ケア児。

服用を間違えないように、1回あたりに使う分をまとめて渡すようにしています。

コロポックル薬局 飯田祥男さん)

「十何種類ある薬を毎日間違えずに飲ませられるかというと、普通の人でも無理ですし薬剤師でも無理。だからできるだけお母さんの取るリスクは低くしてあげたらいいのかなと思う」。

飯田さんの仕事は薬の用意だけではありません。利用者の自宅まで薬を送り届けています。

コロポックル薬局 飯田祥男さん)

「栄養剤とか重たいので腰をやられる方もいる。そういうのをできるだけ避けてあげないと」。

「すみません、お待ちどうさまです」。

札幌市北区で医療的ケア児を育てる上野さんの家庭も、飯田さんの薬局を利用しています。1日に必要な薬や栄養剤は、およそ15種類あり、半月分で15キロを超える重さになります。

母・上野恵さん)

「飯田さんに薬を持ってきていただけるようになって、もう全部セットしてあってという状態で初めて、私は頑張っていたんだなということに気づきました」。

コロポックル薬局 飯田祥男さん)

「病院とは違う環境なので、お母さん方やご家族、そういった方の生活が見える。『いつでもご相談ください』と話をして、できるだけご家族とご本人に寄り添ったような薬局ができればいい

かなと思っています」。

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