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牛のマチにプロ野球チーム?別海の挑戦 新たに球団を設立 独立リーグに加盟

HTB北海道ニュース / 2024年12月18日 10時16分

(c)HTB

酪農のマチとして知られる道東の別海町ですが、10月に国内最東端のプロ野球チームが誕生したんです。

そこにはマチの盛り上がりを願う、球団代表の熱い思いがありました。

生乳生産量日本一のマチ、別海町。人口およそ1万4000人に対し、牛の数はなんと、およそ11万頭にものぼる酪農王国です。

10月、この町を本拠地とした国内最東端のプロ野球チームの設立が発表されました。

その名も「別海パイロットスピリッツ」。来年から道内の独立リーグ「北海道フロンティアリーグ」に参戦します。

これでリーグは全4チームになります。

別海パイロットスピリッツの運営は地元の経営者たちでつくられた一般社団法人が担い、球団の代表は藤本達也さんが務めます。

藤本さんは、町内で産業廃棄物などの処理をする清掃会社を経営しています。

そんな藤本さん、野球はそこまで詳しくないそうです。

なぜ、球団経営に乗り出すことになったのでしょうか。

藤本代表「朝8時ですよ。『藤本さん野球チームをつくりませんか』と突然言われたんですよね。」

きっかけは、同じく「北海道フロンティアリーグ」で活動する士別サムライブレイズ代表からの突然の誘いでした。

藤本代表「『選手たちはみんながその土地に移住してきてその地で働きながら野球するんです。地元企業も助かるし、選手も応援するしチームも応援して地域変わりますよ』と言われた」

士別サムライブレイズ・菅原大介代表「人情味もある方で、利他の精神というか自分よりもみなさんのために何かを成し遂げたいという性格の方だったので、私が士別でやったことを藤本さんならできるんじゃないかと思った」

さらに藤本さんがチーム設立を決めた理由の一つに、ことしの春、マチを大きく盛り上げたある出来事がありました。

藤本代表「すごいスポーツって盛り上がるというか熱狂するじゃないですか。この町って熱狂したのは甲子園なんですよ」

藤本さんの地元、別海高校はことし、部員16人ながら春のセンバツ高校野球に初出場!当時の町の一致団結ぶりに衝撃を受けたといいます。

別海町・曽根興三町長「自分も野球をしていたのでうれしい。町民を元気づけてくれることもすごくありがたい。何はともあれ『別海町というマチが北海道の東の端にあるんだ』と」

別海パイロットスピリッツが参加する北海道フロンティアリーグは、士別市・石狩市・美唄市のチームが加盟、今年は5月から9月にかけて年間52試合を戦いました。

元プロ野球選手も指導し、北海道を野球で盛り上げようと2022年から活動を開始しました。

新たに参加することになった「別海フロンティアスピリッツ」ですが、チーム作りはゼロから。やることは山積みです。

先月、リーグが開催したドラフト会議では6人の選手を指名、今後トライアウトなどで、選手25人の獲得を目指しています。

ドラフトで1位指名したのは東京の大学生、犬塚景勝さん。

ストレートは最速141キロ、空振りを奪うフォークが武器の期待のピッチャーです。

犬塚景勝投手「まさかドラフト1位で指名されると思わなかったので驚き。とても景色がきれいというところと、海鮮料理がおいしいと聞いたので楽しみです」

この日、藤本さんが開いた町民への説明会。

そこで参加者に強くお願いしたことがありました。

藤本代表「地域の皆さんにお願いしたいのは選手の雇用です」

フロンティアリーグは、その町に移住することが条件。試合のない日は地元の企業で働きます。

美唄ブラックダイヤモンズ・小林治大朗投手「最初のころに比べたら慣れてきましたね」

ガレージメーカーで働くこの二人は「美唄ブラックダイヤモンズ」の選手です。

フロンティアリーグの目的の一つが「地域活性」。ここ美唄でも、選手は年間を通して地元企業で働いています。

美唄ブラックダイヤモンズ・小林治大朗投手「自分たちのリーグはあまりお金をもらえるリーグではないので、働かせてもらうことで生活もさせてもらっている」

美唄ブラックダイヤモンズ・笹皓貴内野手「職場に関わることで近くなるので、普段応援してもらってるのはすごく力になる」

受け入れる企業も、自分の職場に選手がいることで、応援により一層力がはいるということです。

職場の上司「やっぱり(同じ職場に)いるといないでは全然違う。いいプレーすればほめるし、悪いプレーでは叱咤激励」

シーズン中の仕事は午前中までですが、オフシーズンはフルタイムで工場で働いたあとに自主トレです。

美唄ブラックダイヤモンズ・笹皓貴内野手「仕事があるので疲労がすごいですけど、野球が好きなので野球やっていると体力が回復する」

美唄ブラックダイヤモンズは今年で結成5年目のチーム。

チームの運営費は年間数千万円にのぼるものの、廃校を練習場として有効活用するなど経費を抑えて、ここまで安定した運営が続いているといいます。

監督は、かつてファイターズでプレーした金子洋平さん。

地元で働きながらプレーすることは選手にとっていい環境だと話します。

美唄ブラックダイヤモンズ・金子洋平監督「美唄は美唄、別海は別海の地域性や環境とか、いろんな違いがあると思う。一緒になって盛り上げていきたい」

酪農では全国に名をとどろかせる別海町。

甲子園で団結したマチを再び一つに…リーグ開幕に向け、藤本さん率いる「別海パイロットスピリッツ」の奔走は続きます。

藤本代表「これだけみなさん期待してくれて、仲間もいる。みんながこの地域盛り上げたいというので、皆さんの笑顔を見たくてやっている。失敗するわけないのであきらめなければ失敗しないと思っている。多分いいチームになる。多分じゃないですね、確信してますよ」

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