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プレイバック2024 知床・観光船沈没事故 家族の一年 消えない悲しみ

HTB北海道ニュース / 2024年12月25日 16時47分

(c)HTB

シリーズでお伝えしている「プレイバック2024」。

事故から2年目を迎えた、知床の観光船沈没事故を振り返ります。

今年明らかになった乗客が最後に見た風景、そして舞台は司法の場に移り、家族の悲しみが消えない日々を追いました。

厳しい冬を迎えた斜里町ウトロ。

2年前のあの日、知床の絶景を楽しもうと観光船「KAZU1」に乗り込んだ乗客たち。

船には子ども連れの家族など乗客乗員26人が乗りその後、沈没しました。

この写真を撮影したのは事故で亡くなった乗客のぬで島(ぬでは、木へんに勝)優さん。

週末の休みを利用して千葉県から旅行で知床に来ていました。

優さんの父親「つらいのは毎晩温かいお風呂に入ってるときですね息子は死ぬ間際にどれだけ冷たい思いをしていたんだろうなって風呂に入ると 毎晩 泣いてますよ、今でも」

事故から2年以上が経った今年8月。

慰霊を兼ねて、知床半島でボランティアで捜索していた羅臼町の漁師桜井憲二さんらが、優さんのデジタルカメラを発見しました。

優さんの父親「こんなにさびちゃっているね」

優さんの母親「このストラップだ。これ優のだ。優のだ。冷たかっただろうね。きっとこういう感じで絶対離さなかったと思うんです。最後まで離さなかったんじゃないかなと。(息子が)見つかって引きあげるときに岩のところに落ちたんじゃないかなと私は想像します」

両親は、東京の専門業者にデータの復旧を依頼し、700枚以上の写真の取り出しに成功しました。

「やっぱり雄大な自然をね。たくさん撮っているね」

復旧した写真の中には事故当日の優さんの姿も。

優さんの父親「ああ、優だね」

優さんの母親「どこだろうここは。ここが泊まったところかな。誰かに撮ってもらったのかな」

復旧できたのは写真だけではありませんでした。

事故当日、出航からおよそ30分後の午前10時33分、「カムイワッカの滝」で動画も撮影されていました。

そして、これが優さんが最後に撮影した写真。

知床半島の先端付近で撮影され船が折り返す途中だったとみられています。

優さんのカメラを発見した捜索ボランティアの隊長である桜井さんはこの日、復旧できた写真を初めて見ることができました。

桜井憲二さん「家族の方にはね、つらい画像かなとは思います風景もそうだと思いますでも、その当時の様子がわかるじゃないですか。やっぱりそれはそれで良かったんじゃないのかなとは、ちょっと思います。何もないよりは絶対あった方がいいわけで、ぬで島くんが持って帰ってきたなっていう」

地元で漁師を営む桜井さんは、写真を見て、船が折り返す時点ですでに波が高くなっていたと指摘します。

桜井憲二さん「もうこれ(波)もう来てますよ、ああ、もうだめだ、もう(波が)高くなり始めてますよね。明らかにしけてくるのがわかる状態。僕ら漁船でも多分ね、この状態だとね、もうかなり緊張してますよね。先端部にいたというのがもう既にとんでもないこと」

あの日、穏やかだった風が急激に強まり、波の高さは2メートル前後まで急上昇。

そして午後1時13分、「船が沈み始めている」という通報が海上保安庁に寄せられ、その後、船は沈没しました。

今年10月、業務上過失致死の罪で起訴された運行会社「知床遊覧船」の桂田精一社長。

「(Qご遺族になにか一言ないですか?)・・・・」

14人の乗客家族は桂田社長におよそ15億円の損害賠償を求めて裁判を起こしています。

中には裁判に参加するため「苦渋の決断」をした家族もいます。

帯広市の7歳の男の子。

あの日、母親と2人で「KAZU1」に乗船しいまも行方不明のままです。

息子とその母親が行方不明となっている帯広市に住む男性「生存の可能性が厳しいのはそこは自分もわかっているんですけども、それでもやっぱりもしかしたらどこかでってという」

男性は今年2月、法律上、息子が亡くなったこととする「認定死亡」の手続きを行いました。

損害賠償を求める裁判に加わるには、「遺族」になる必要があるためです。

息子とその母親が行方不明となっている帯広市に住む男性「事故後も、息子は学校に在籍という形をとらせてもらっていたので」

息子とその母親が行方不明となっている帯広市に住む男性「(学校から)新しい教科書もいただいて、3年生という形で在籍していたんですけども、今回、認定死亡の手続きをしたことによってやっぱりそのまま在籍という形にはできなくてすごくつらいですね」

裁判は、来年3月13日に札幌地裁で始まります。

弁護団によりますと、乗客家族らが法廷で桂田社長へ現在の心情などを話す「意見陳述」が行われる予定です。

知床観光船事件被害者弁護団・山田廣弁護士「ご家族は怒りに震えているんです。桂田被告を目の前にしてその心情を訴えたい事件そのものと真正面から向かい合うことになるとてもつらいです。法廷において桂田被告がいることを前提にしております。桂田被告は出頭すると私は思っています」

事故から2年以上が経ちようやく司法の場で桂田社長と直接、向き合う「家族の闘い」が始まります。

息子とその母親が行方不明となっている帯広市に住む男性「本当は桂田被告がですね、自分はなんということをしてしまったんだと自分のやったことを悔いてほしい。もちろん来てほしいし、来なきゃいけないんじゃないのかなと思います。被害者家族である自分を含め、どんなに苦しんでいるかという地獄みたいに苦しい日々を送っているということを伝えたい」

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