「互いに折り合う」ことの大切さとは・・・障害のある子もない子も共に楽しむ 人形劇に託す脚本家の思い
HTB北海道ニュース / 2025年1月31日 18時52分
斉藤歩さん(60)。札幌在住の俳優、劇作家、演出家です。多くの舞台や映画に出演し、5年前からは北海道演劇財団の理事長として北海道演劇界の活性化に力を注いでいます。
2024年4月。理事長席の横に貼られた一枚の手紙。
■斉藤さん「あの手紙は『歩さん、北のおばけ箱3やりたいです』。子どもたちと北のお化け箱って本を1、2ってやったんだよね。その子たちが3をやりたいって言うので、わかった、やるよって約束しちゃったの」「しばらく忘れたふりしていたら手紙が届いた。やりたいですって。
3月、脚本の執筆が始まりました。
■斉藤さん「障害があるといわれている子どもたちと、障害がないといわれている子どもたちを一緒にして舞台に上げたの。それがまた面白いんだよ」
アイヌ民族に伝わるちょっとユーモラスなお化けや怪談話を元に斉藤さんが人形劇に作り変えていきます。
斉藤さんは4年前にがんが見つかり、治療が続いています。5月の入院の時もパソコンが手放せません。
■斉藤さん「ヤカン親父ってのがいるんだけど、親父になる前は小僧だったんだって、で小僧がいるんだったら、おかんもいるんじゃないかって、ヤカンおかんていうのが今年は出てくる、それが巨大だって書いてある。彼らは一体どうするのかね、頭抱えてると思うんだけど(笑)
7月、脚本が完成し演出家に送りました。
Q見どころは?
■斉藤さん「鬼に捕まりそうになった瞬間に主人公がお尻をまくって、鬼におならをぷぅ~ってやるの。その瞬間、鬼は面白くて、また水を全部吐き出してしまう。そしてまた川がドワーっ!て流れるっていう場面。これをどんなスケールであの人たちはやるのかな?」
斉藤さんの脚本を待っていたのは、札幌市東区にあるやまびこ座の矢吹英孝さんです。子どもたちの配役や演出・舞台を担当します。
■矢吹さん「はい、斉藤さんから脚本が届きました!」「出演者がみんなやりたいって言っているので、私ももちろんですけど、それで歩さんにお願いをしたという状況です。出演者っていうのは子どもたちのことです」
斉藤さんは取材の中で演劇や人形劇についてこんな想いを口にしていました。
「演劇って消えてなくなる。観た人の記憶にしか残らない。あの黒板消しでパァーッて消されちゃう、社会から。あれがね、すごく悲しいときがある」
11月、人形劇に参加する子どもたちに、初めて脚本が渡りました。
■矢吹さん「上演台本・テキストレジができたので配ります。アイヌ民族のお話ですが、日本にある昔話と割と共通しているところがあって、そういう物語を集めて歩さんがまとめてくれています」
■斉藤さん「人形劇を作るってことは、自分の何かを主張し続けてもできないし、どこかで他人と折り合わなきゃいけない作業の連続なんだよね。それを小さな頃からやるっていうことって、大事なことなんじゃないかな」
去年12月、北のお化け箱3が上演されました。
■斉藤さん「まさかヤカンおかんが、あんなに何か自己陶酔型な、ああいうもので出てくるとは思わなかったから、書いてるとき思ったのとは全然違うものができてきたのが嬉しかった」「(鬼が川の水を飲み込む場面は)どうするんだろうと思ったら、川全体を布2本で表現していた、その布を鬼が下手で吸っちゃうっていうね。人形劇はそういうことができるんだなって」
人形劇が終わると、手紙を送った子どもが斉藤さんのもとに現れてハイタッチ。斉藤さんは「恰好よかったよ」と笑顔を見せました。
■斉藤さん「彼ら(子どもたち)のことを僕は7、8年前から知っているわけ。よく作ったよね。子どもたちの成長が著しいなって。彼らが演じる喜びみたいなものを見つけ始めている」
■記者「以前に自分たちの仕事は黒板消しで消えちゃうって、何も残らないと言いましたが、今、話を聞いていて、違うんじゃないかなって思ったのですが」
■斉藤さん「作品は消えちゃうけどね。作品に携わった人間は残って、特に若い子達は残っていくなって。繰り返し黒板消しで消しながら、消されながら、(演劇や人形劇は)人の中に何かを残していく仕事なのかもしれない」
■記者「残ったんじゃないですかね」
■斉藤さん「だといいね」(笑)
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