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【密着】盲ろう夫婦 愛媛から北海道に移住した妻 3度目の冬どう乗り切る? 欠かせない同行支援サービス

HTB北海道ニュース / 2025年2月1日 18時8分

(c)HTB

目と耳の両方に障害のある盲ろうの夫婦。結婚を機に初めて北海道で暮らすことになった妻は、雪国の冬をどう乗り切っているのでしょうか?

旭川市の澤田優さん、妻の朋子さん。家族と一緒に初詣に訪れました。結婚して2度目の正月です。

目の見えない2人の代わりに、優さんの姉と母がお守りの特徴を伝えます。優さんの姉は「桜に、緑の袋」と、優さんの手のひらに文字を書きました。

左耳は聞こえる朋子さん。優さんは、声を聞き取ることはできませんが、音をかすかに感じることはできます。朋子さんは、鈴のついたお守りを優さんの耳元で揺らしました。

優さんが「これ、何?」と問いかけると、朋子さんは「色が違うのかな」と答えて、優さんの手のひらに「色違い」と書きました。

目が見えない2人。一つ一つ触って選んだのは、幸福を呼ぶと言われる鈴のお守りでした。

優さんは「これは鈴の音が鳴るから、運が満ちあふれるように選びました」と話しました。。朋子さんは「今年も健康で仲良くいられたらいいなと思って、それをお願いしました」と話しました。

2023年1月に結婚。愛媛県で生まれ育った朋子さんにとって、北海道で暮らすのは初めてのことでした。2人は、優さんの実家で両親と一緒に住んでいますが、料理など身の回りのことは、ほぼ全て夫婦で協力してこなしています。

記者から「優さんは昔から自分で料理をしていましたか?」と聞かれた優さんの母親は、「結婚してからですね。朋ちゃんに料理を教えて、旭川に来た時に。そうしたら、朋ちゃんが優に教えて、2人でやるようになった」と答えました。

2人が出会ったのは5年前。全国の盲ろう者がメールを通じて情報交換する場で知り合い、意気投合しました。そして、朋子さんが北海道を2度目に訪れた時…。

優さんは「妻が(愛媛に)帰る時に私からプロポーズした。まずは一緒に暮らして、頃合いを見て結婚しようかという話をした」と語りました。朋子さんは「周りの人の協力をいただきながら、できることは自分たちでして、できないことは助けてもらう形でやってきている」と話しました。

優さんの父親は「本当に愛媛から1人で来るのかなとびっくりした。手に字を書いてくれたり、色々なことを教えてもらっているみたい。優はけっこう大事にする方なので、尻に敷かれているみたいですよ」と話しました。

隣で話を聞いていた朋子さんは、父親の言葉を指点字で優さんに伝えます。父親の「尻に敷かれている」という言葉に、2人は思わず笑っていました。

朋子さんにとって、3度目の北海道の冬。まだまだ慣れない雪国の暮らしを、どう乗り越えようとしているのでしょうか?

朋子さんは「雪道なので、車が利用できるときに重たいものとか、なるべく自分の背中に負担がかからないように考えて、買い物はしています」と話します。

盲ろう者は、1人で外に出掛けることはできません。朋子さんは旭川市の同行支援サービスを利用していますが、事業所や空き状況によっては介助員の派遣だけで、車は使えないこともあります。

介助員の付き添いで、家を出た朋子さん。介助員は「正面が車です。ここめっちゃ滑ります」と、朋子さんに声を掛けました。

雪道の移動で負担が大きい冬は、車付きの支援サービスを受けられる時間は特に貴重です。雪の多い旭川。深く積もったり、解けて凍結したり、町の様子は日々目まぐるしく変化します。

店に到着し車から降りた朋子さんに、介助員が「ちょっと段差、斜めっているかも。あとは雪ないです」と呼びかけます。ツルツル路面では、特に慎重に。旭川に移住する前は、経験したことのない日常です。

店に入り、介助員が朋子さんが探していたヨーグルトを見つけると、朋子さんは「賞味期限の日にちはいつまでですか?」と聞きました。介助員が「1月29日ですね」と答えると、朋子さんは「じゃあ3つぐらいしか買えないかな」と言いました。

この日は、市内4カ所を回って買い物しました。目の見えない朋子さんが商品を探すときには、商品名や手で触れたときの感覚が頼りです。しかし、パッケージの形が変わってしまっていることもあります。

洗顔せっけんを手にした朋子さんは、「これ?なんかついているな」と声を上げました。介助員が「おまけ付きですね」と言うと、朋子さんは「何がついてるんですか?」と聞きました。介助員は「上は小さいせっけんですね」と伝えました。

レジではスマートフォンの読み上げ機能を使って、お店のポイントが溜まるアプリを確認。付き添いの介助員は見守るだけで、現金での支払いも自分でします。

千円札を手にした朋子さんは「これ1000円なんですけれど、ここを触ったら分かる。ちょっと時間はかかるけれど、触ったら大体分かります」と、視覚障害者のためにお札に印が付いていることを教えてくれました。

道内には、目と耳の両方に障害のある盲ろう者は、800人以上います。ただ、当事者になかなか情報が行き届かず、行政のサービスを利用している人は少ないのが現状です。

視覚障害者のための同行支援サービスを、 旭川市で実際に利用している盲ろう者は、現在、朋子さんを含め3人だけです。

当事者により多くの情報を届けたい、もっと多くの人に盲ろうについて知ってもらいたいと、優さんが2016年に立ち上げた「つぼみの会」。月に1回、交流会を開き、地道に活動を続けてきました。今年の新年会には、盲ろう者や手話通訳を学んでいる人など新たに4人が参加しました。

新たに参加した人がいたことについて朋子さんは「とてもうれしいなって思うし、今後も是非こういう会に参加してもらえるとありがたいなと思います」と話しました。また、優さんは、今後のつぼみの会の活動について「盲ろう者の仲間が増えたら、交流の場を広げたいし、社会に参加できるきっかけができたらいいなと、ずっと思っています」と話しました。

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