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「戦後80年 記憶をつなぐ」北方領土 島民四世の女子高校生が受け継ぐ思いとは

HTB北海道ニュース / 2025年2月6日 16時44分

(c)HTB

2月7日は北方領土の日です。

80年前に故郷である国後島を追われた元島民の曽祖母と、もう一度ふるさとに帰るために活動する、元島民四世に密着しました。

近藤妃香さん「『出ていけ!島から出ていけ!』76年前、当時8歳だった私の曽祖母は故郷である国後島から、なぜ追い出されなければならなかったのでしょうか」

根室市の納沙布岬からわずか37.4キロ。

そこに彼女の曽祖母のふるさとはあります。

根室高校の3年生、近藤妃香さん。

国後島出身の曽祖母を持つ、元島民四世です。

近藤妃香さん「1番はひいおばあちゃんと おばあちゃんとお母さんと妹と四世代で島に行くことが1番の大きな夢です」

近藤妃香さん「みなさんこんにちは。『根室高校北方研未来への航路』が始まりました」

高校の北方領土根室研究会に所属している近藤さん。

地域のラジオ番組に出演するほか弁論大会に出場して発信するなど、北方領土の早期返還にむけ活動しています。

近藤さんが北方領土問題に興味を持ったのは中学生のとき。

きっかけは、曽祖母の西舘トミエさんから聞いた故郷=国後島の話でした。

西舘トミエさん「楽しかったことは、表に出てみんなと遊んで川に行って遊んだり、そういうことが1番楽しい」

ふるさとの楽しい思い出は80年前のあの日、一変します。

西舘トミエさん「逃げなきゃいけないんだ、殺されるんだ、逃げなきゃいけないんだ。なんせ来れば殺されるって、それしか頭になかったですね」

1945年8月15日、第二次世界大戦で日本が降伏した直後、侵攻してきた旧ソ連軍によって島は占領され、当時およそ7400人いた島民はふるさとを追われました。

西舘さんが最後に島を訪れたのは26年前のこと。

ロシアによるウクライナ侵攻が原因で故郷への道は遠ざかっています。

近藤妃香さん「教科書とか資料集だけだと実感が涌きづらいけど、ひいおばあちゃんが写真に残っていたり話を聞くと、ほんとにあった出来事なんだと思います。写真とかひいおばあちゃんの記憶だけではなく、自分の目で見て足で大地を感じて、ひいおばあちゃんの生まれ育った故郷に自分も行きたいなという思いはすごく強くあります」

近藤妃香さん「こっちが弁論の練習をするときに使っていた教室です。こんにちは」

根室市立光洋中学校 櫻井隆先生「よく来たね」

近藤さんは中学3年生のとき、ひいおばあちゃんから聞いた話をもとに、北方領土をテーマにした全国スピーチコンテストで根室市から初となる入賞を果たしました。

タイトルは「四島(しま)の架け橋」。

近藤妃香さん「暴力的な手段ではなく平和に北方領土問題が解決されることを願い、そして曽祖母の思いや願いを込めて、四世である私が四島の架け橋となり、未来へと伝え続けます」

当時、作文を添削していた櫻井隆先生とは放課後、夜遅くまで学校に残り練習をしたといいます。

近藤妃香さん「原稿を覚えるのも大変だし、どこで抑揚をつけるのかとか覚えるのが必死で、だから目線も毎回注意されるし」

櫻井隆先生「近藤さんのように、受け継いでいく人は必ず必要だと思います。ひいおばあちゃんも国後島への思いが強いんだなって。それをひ孫である妃香さんも強く感じていると思うんですよね。そういうことでは弁論にもひいおばあちゃんの思いが伝わっていたと思います」

卒業後はイギリスの大学へと進学する近藤さん。

留学に向けていまは英語の勉強中です。

近藤妃香さん「国によって抱えている領土問題は別々だと思うので、新しい視点から北方領土問題を改めて勉強できればいいかなというのはある。イギリスから見た北方領土とか、他の国から見た北方領土を知りたい」

先月末、近藤さんが北方領土根室研究会の活動で訪れたのは岐阜県。

近藤妃香さん「きのうは11時くらいまで準備しました。北海道から離れると(北方領土)が遠い存在になってしまうので、どれだけより身近に感じてもらえるかを意識しながらやっています」

近藤妃香さん「いまビザなし交流がストップしているので違うやり方を考えないといけない」

この日は岐阜市の中学生に向けて北方領土の歴史や現状を授業します。

テーマは「北方領土問題を解決するために中学生の私たちに何ができるか」。

グループに分かれて自分たちにできることを考えます。

中学生「ロシアの文化を知ることも日本人として大事だと思う」「学校での署名活動と放送」「岐阜だから根室とかのボランティアに参加できないじゃないですか。伝えた後はどうしたらいいか、伝えて終わりではなくて」

近藤妃香さん「伝え続けることも大事だし、自分たちで機会を作ってみるとか、自分たちが大事だなって思ったことこれだけは伝えなきゃいけないっていうこととか、一方的だと聞いてくれない人もいるので、クイズとか入れながら」

北方領土問題は北海道だけの問題ではない。

日本全体の問題を、自分事としてとらえるきっかけになったようです。

近藤妃香さん「自分たちで署名活動をするとか、ロシアや日本の文化を考えるとか、新しいアイデアを知れたし、私たちが伝えたかった知ることの大切さと伝えることの大切さを分かっていただけているように感じたので、やってよかったなと思いました」

島民がふるさとを追われてまもなく80年。

元島民の平均年齢は89歳を超えました。

近藤妃香さん「若者として次の世代に残していけるものは、ひいおばあちゃんからたくさん吸収して、次は自分の番なので、講座とか語り部とか自分ができる範囲のことは、全部やりたいなと思っています」

かつて1万7291人の日本人が住んでいた北方領土。

彼らがふるさとに帰るために、次世代の若者が「四島の架け橋」となります。

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