介護の悩みを抱え込まないで! ケアラーの支援を目指す『ケアラーズカフェ』を紹介!【アナたにプレゼン・テレビ派】
広島テレビ ニュース / 2024年7月4日 14時13分
広島テレビのアナウンサーが、気になるテーマを自ら取材して、お伝えする『アナたにプレゼン』。馬場のぶえアナウンサーのテーマは「子育て」や「福祉」。介護などをするケアラーの支援を目指すカフェを紹介します。
広島市安佐北区落合南にある『はぴねす』というカフェは、白を基調にした外観で、正面には背の高い「やまぼうし」が迎えてくれます。そして、店内は天然木を使っており、明るい雰囲気になっています。
また、人気のランチは野菜たっぷりで彩りが良く、小さく切られているため、とても食べやすくなっています。カフェの2階は、コミュニケーションスペースになっており、習い事や趣味などで利用することができます。利用客が多いこのカフェの正式名称は『ケアラーズカフェ&キッチン はぴねす』です。
カフェの名前にもある『ケアラー』は、心や体に不調のある家族や近親者、友人・知人などを無償でケアする人のことです。例えば、障害のある子供の療育や高齢の家族の介護、病気の人の看病、アルコール・薬物依存や引きこもりの家族の世話や気遣いなどしている人を言います。
『ケアラーズカフェ』は、ケアラーの相談窓口や、専門家や介護経験者らと悩みの解決策を考えたり、介護技術を学ぶこともできる場所です。定期的に月に1回など集まるスペースは他にもありますが、『はぴねす』が把握している中では、常設で開いているのは、県内では『はぴねす』の他にないのではないかということでした。
カフェを運営しているのは、北川朝子(きたがわ・ともこ)さんです。北川さんもかつて、高次脳機能障害の実母を介護しており、離職した経験があります。その後、介護福祉士を目指して勉強していく中で、県外にケアラーズカフェの存在を知りました。自身のように介護で困っている人の支援や、当事者同士が話せる場になればと、7年前に開設しました。最初は『ケアラーズカフェ』と聞いても聞きなじみがないことから、高齢者が行くカフェと思われることもあったそうです。しかし、窓も大きく入りやすい雰囲気に加え、口コミで評判になり、多くの人が訪れるようになりました。
取材した日は、フラダンスグループのメンバーがお茶を楽しんでしました。この日は、ダンスレッスンの帰りで「料理がおいしくてゆっくりできるので、月に2回ぐらい来ている」と話していました。
このように「誰でも来られる気軽さがいい」と話すのが、近所に住む古本仁士(ふるもと・ひとし)さんです。古本さんは、およそ20年間両親を介護し、看取りました。古本さんは「介護者ばかりが集まる会も、それはそれでいいんだけれども、どうしても介護以外の話がしにくくなってしまいますが、ここはカフェなので介護だけではなくて、いろんな話ができること、さらにどうしても介護をしていると、自分だけが苦しいように感じてしまいますが、同じ境遇の人と話すことで、自分だけじゃないと思えます。」と話していました。
『はぴねす』の最初の利用客が笠野保子(かさの・やすこ)さんです。笠野さんは、現在も91歳の実母の介護をしており、介護に悩むと『はぴねす』を訪れているそうです。実母の様子を聞いてもらったり、北川さんの実母の当時の様子を聞かせてもらうなど、店主の北川さんが、真剣に話を聞いてくれるのが嬉しいということでした。さらに「介護の制度について市役所に問い合わせてみてはどうか」など、具体的なアドバイスももらえるので助かっているということでした。
北川さんは、カフェを訪れるケアラーに「頑張りすぎないで、自分の体を大切にしてください」と必ず声を掛けています。ケアラーは、介護をしている家族のことを中心に考えて、自身が後回しになってしまいます。『はぴねす』でランチを始めたきっかけも、介護をしながら3食の食事の準備は負担になることから、せめて1食でもフォローできればと始めたそうです。現在は、ランチだけではなく、弁当の宅配もしています。
北川さんが1番伝えたいことは「ケアラーにも権利がある」ということです。ケアラーが常に介護を優先した結果「自分の人生何だったんだろう」と思うことがないように、ケアラーが自由に自分の思う通りに生きられる支援をしていきたいと話していました。
『ケアラーズカフェ&キッチン・はぴねす』は、毎週木曜・金曜・土曜の午前10時半から午後4時まで営業しています。介護の有無に関わらず、ママ友と一緒に行きたくなるような雰囲気のお店ですので、足を運んでみてください。
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