【広島・原爆の日】「生きているうちに後輩たちへ」92歳の被爆者が母校で体験を伝える 中高生がつなぐ被爆者の記憶
広島テレビ ニュース / 2024年8月6日 13時40分
高齢化が進む被爆者から直接体験を聞く機会が減っているのが現状です。年々難しくなっている継承に取り組んでいる若者たちがいます。この夏、92歳になる被爆者の思いに向き合いました。
被爆体験を受け継ぐために
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およそ1000人が通う県立広島皆実高校。戦時中は、県立広島第一高等女学校でした。
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7月、その母校を訪れたのは、植田䂓子さんと松坂緑さんです。後輩たちに被爆体験を伝えるためです。当時、2年生だった2人は学徒動員の作業のため、爆心地から1.8キロの場所にいました。
■植田䂓子さん
「点呼をとっている時に原爆が落ちました。ピカーっと強烈に光ったけど、あっというぐらい…」
同じ学校に通っていた植田さんの一つ下の妹を含め、作業をしていた1年生223人が犠牲になりました。
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■松坂緑さん
「自分のことは孫にも話したことがないけど、話しておかないといけないと思っています。」
生きているうちに後輩たちへ。松阪さんが体験を語るのは、この日が初めてです。
■生徒
「昭和天皇による終戦を告げる玉音放送は聞きましたか?」
■松坂緑さん
「私はその時『なぜ天皇陛下はもう少し早くやめてくれなかったのか。そしたら母や弟が亡くならずにすんだのにな』と一番に思いました。」
■2年生 瀧谷篤生さん
「当事者にしかわからない気持ちはあると思うので、それを何とか汲み取って伝えないといけないと使命感を抱きました。」
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学校の先輩から被爆体験を受け継ぐこの取り組み。生徒が進行役を務め、2人の被爆体験を小学生たちに伝えます。
■生徒会長 越智祐葵さん
「原爆の後に体調や生活で困ったことはあったか?また心配なことはあったか?というのが1つ。2つ目が長崎に原爆が落ちたことを聞いた時、どう思ったか?というのが2つ目。」
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植田さんと松坂さんが一番伝えたい思いは何なのか…それをどんな質問で引き出すのか。意見を出し合います。
■生徒会長 越智祐葵さん
「当日でも同じような内容に加えて、新しいことも語ってもらえたらなと思っています。」
被爆体験を次の世代へ
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本番の日。小学生や地元の住民ら50人が集まりました。最初の質問は、原爆で妹を亡くした植田さんに聞いたのは、戦時中の日常の平和についてです。
■学生
「妹の石崎睦子さんとの忘れられない思い出はなんですか?」
■植田䂓子さん
「ああ~これよく聞いてくれた。アブラムシの卵皆さんご存じ?小さな可愛らしい「これ綺麗だね、集めよう」って。アブラムシが出てくるなんて思いもしないから、たくさん二人で集めて机の引き出しに入れていた。それがある日かえったんです。びっくりしました。妹との本当に忘れられない思い出。」
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これまで体験を語ってこなかった松坂さんも、あの日、家族との暮らしが一瞬で消え去りました。
■松坂緑さん
「ピカーっというすごい光と、ものすごい風が吹いて地面にひれ伏したんです。それがおさまったときに、隣の友達が「逃げようや」と言ったので、私は前後の見境もなく逃げ出してしまいました。(広島市西区の)己斐まで逃げて、家が心配になって福島町の方に歩いていたら、とても道が熱くて。燃えているわけではないけど、空気がすごく熱くて、前に進めなかったので諦めて高須の親戚のお家へ帰りました。父が突然しょんぼりと本当に寂しそうな顔をして、私のいるおばの家にやってきました。そして「お母ちゃんもヒロシ(弟)もダメだったよ」と一言言ったんです。私はそれで大泣きでした。」
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話を聞いた子どもたちは…
■小学3年生
「家族を亡くしたら、本当に悲しい。」
■小学6年生
「私も、もし妹とかお父さん、家族や知り合いが亡くなったら嫌だから、戦争とか核兵器がなくなってほしいと思います。」
■中学2年生
「自分の周りというより、世界が平和であってほしいなと思います。」
「大切な人を失う悲しさ」2人が体験が次の世代に受け継がれます。
【2024年8月6日放送】
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