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【特集】日本被団協ノーベル平和賞受賞 初代理事長の次女・森滝春子さんが語る 選出された意味と今後の活動

広島テレビ ニュース / 2024年10月16日 7時0分

広島テレビ放送

2024年のノーベル平和賞に、日本被団協が選出されました。『核兵器廃絶をめざすヒロシマの会』共同代表の森滝春子さんに、受賞について話を聞きました。森滝さんの父・市郎さんは、日本被団協の初代理事長として被爆者運動をリードしてきました。

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■広島テレビ 森拓磨アナウンサー

今回のノーベル平和賞受賞のニュースを、どのように受け止めましたか。

■核兵器廃絶をめざすヒロシマの会共同代表 森滝春子さん

被爆者団体にくる(受賞する)ことはないと思っていましたので、やはり驚きました。外出から帰ってニュースが飛び込んできてて、ノーベル賞平和委員会の委員長さんのスピーチを聞く中で、今回ノーベル平和賞を日本被団協に授与したということの意味、彼らの意図、そういうものを読み取ることができて、納得したというか、これをしっかり生かして今からどうしていくかというのが、問題だなという風に思いました。

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■広島テレビ 森拓磨アナウンサー

今の1つ危機的な国際情勢にあるという中での、そういった意図であると?

■核兵器廃絶をめざすヒロシマの会共同代表 森滝春子さん

そうですね。今実際に世界で、ウクライナであるとか、パレスチナであるとか。そこに核の保有国であるロシアとか、イスラエルが核を使うぞという表明をしている。その中で本当にもし使われだしたら、必ず大きな世界戦争、全体を巻き込むことになる。人類が絶滅する危機にある。そういう非常に切迫した危機感を感じました。 そういう背景で考えて、決断されたと思うんですね。受賞することがないと思っていた1つの理由は、やはり原爆投下した国が核超大国のアメリカであったと。そこを被爆者に、直接の犠牲者である被爆者に光を当てるということは、やはりそういう国際的な人道法にも通る大量虐殺をもたらした核兵器を告発することになる。それを使った国も告発することになる。そういう意味で、超大国・巨大な権力を持っているわけですから、なかなか踏み切ることは難しかったんじゃないかなと。でも、今の非常にかつてないほどの、今まで何度も核戦争の危機はありましたけど、やはり今が最大の危機と言えると思うんですね。その中でやはり今一度、被爆者に光を当てて、被爆者がいて血の滲むような運動の結果、80年間少なくとも今までは、核が実際に使われなかったということを明らかにしていますし、 その努力の内容もよく調査・研究された上でのことだなと思いました。

広島テレビ放送

■広島テレビ 長島清隆解説委員

ノーベル賞は、ダイナマイトを発明した科学者・アルフレッドノーベルが、それぞれの分野で活躍をした人に、自分の財産を分けるように書き残した遺言が始まりです。その中で今回、日本被団協が受賞した『ノーベル平和賞』は、各国の国会議員や大学教授、過去の平和賞の受賞者などが推薦をした候補者の中から選ばれることになっています。他のノーベル賞はスウェーデンで選考されますが、平和賞だけはノーベルの遺言によって、ノルウェー議会によって選ばれた5人の委員によって選考することになっています。

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■広島テレビ 長島清隆解説委員

これまで多くの受賞者がいますが、特に核に関係のある受賞者を挙げていきます。日本人初の平和賞受賞者は、1974年に非核3原則を提唱した佐藤栄作元総理大臣です。そして1990年には、旧ソ連のゴルバチョフ元書記長、のちの大統領がINF(中距離核戦力)全廃条約に調印しました。そして2009年、アメリカのオバマ元大統領が、プラハで核なき世界の演説をしました。記憶に新しいところでは、2017年にICANが核兵器禁止条約の採択に尽力しました。ノーベル平和賞の選定は、先述のように独立した委員会が行い、選考のために議論を巻き起こすこともあります。例えば、オバマ元米大統領が選ばれた際には「まだスピーチをしただけで、何もしていないじゃないか」というような議論も起きました。

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■広島テレビ 長島清隆解説委員

日本被団協については、父・市郎さんがご存命の時にもノーベル賞に選ばれるのではないか、と言われていたそうですね。

■核兵器廃絶をめざすヒロシマの会共同代表 森滝春子さん

そうですね。もう30数年前からそういうノミネートする人がいるから、個人団体がいるからですけど、やはりそういうことが期待されていたわけですね。

■広島テレビ 長島清隆解説委員

ただ、やっぱり難しいかもという思いもあったわけですね。

■核兵器廃絶をめざすヒロシマの会共同代表 森滝春子さん

父は、はっきり「そういうことはありえない」と言っておりました。当時の世界情勢から、やはりアメリカは今よりもっともっと世界の最大の強国ですし、そこの原爆投下によって生まれた被爆者の姿を明らかにすることは、やはりまだアメリカ自身が国として「過ちであった」ということの表明もなく、もちろん被爆者に対する謝罪もない中で、到底決断できないだろうと見越していたんだと思うんですね。

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■広島テレビ 木村和美アナウンサー

今回はたくさんの被爆者、そして平和を願う人々の思いが伝わる形で受賞となりました。12月に行われる受賞式は、どのようなものでしょうか。

■広島テレビ 長島清隆解説委員

受賞式はノーベルの命日にあたる12月10日で、ノルウェーで行われます。私は、7年前ICANの受賞式を取材しました。ノーベル平和賞の授賞式は、オスロ市庁舎で開かれます。派手さはありませんが、厳かな式となります。7年前は、ICAN事務局長と被爆者のサーロー節子さんが出席しました。

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■広島テレビ 長島清隆解説委員

オスロ市内は、授賞式の1週間前からノーベルウィークと呼ばれ、街全体が祝福ムードに包まれます。ノルウェーは核兵器禁止条約に署名はしていませんが、締約国会議にはオブザーバー参加をしています。この時も、オスロ市内で原爆展が開催されたり、被爆者の証言を聞く場が設けられました。また、核について「みんなで理解をしよう」という雰囲気に包まれていたのが印象的です。授賞式の後には、多くの市民が希望の光として、トーチを持ってパレードをしました。ノーベル平和賞の受賞式は、活動を称えるとともに、やはりこれから平和への誓いというのを新たにする場でもあります。被爆者が高齢化する中、今度は若い世代が思いを受け継いで訴え続けることを、再確認する場にもなるのではないでしょうか。

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