【特集】歌手・加藤登紀子さん 平和への願いを歌い継ぐ『百万本のバラ』に込めた思い
広島テレビ ニュース / 2024年10月25日 7時0分
11月に『ばらのまち・福山』でコンサートに臨む歌手の加藤登紀子さんは、旧満州のハルビンに生まれ、ロシアやウクライナの人と深い縁があります。戦争が続く今、平和を願い歌い継ぐのが、ソ連にルーツを持つ代表曲『百万本のバラ』です。曲に込めた思いを取材しました。
10月10日、東京のライブハウスで歌手活動60周年を記念するパーティが開かれました。音楽を通じて平和を訴えてきた加藤さん。今、強い思いを込めて歌うのは、ラブソング『百万本のバラ』です。
■歌手・加藤登紀子さん
「『百万本のバラをあなたに、あなたに』というメッセージの中には、 これは「無限大の片思い」と言っているんですけど、絶大な愛を告白するという歌なんですね。」
『百万本のバラ』の原曲は、1980年代に旧ソ連諸国だったラトビアで子守歌として生まれました。その後、ロシア語で「貧しい画家の一途な愛」を描いた歌詞がつき、ソ連で大ヒットしました。
■歌手・加藤登紀子さん
「ソ連がそういう強い、圧迫する国だったけれども、もうちょっと緩やかな、もうちょっと開かれた自由な国になろうとして、どんどん政策を変えて、新しい時代を迎えるための歌だったんです。」
加藤さん自身も、ソ連と深い関わりがあります。旧満州・ハルビンに生まれ、ソ連から逃れてきた亡命ロシア人との暮らしを経験しました。衝撃を受けたのが、2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻です。双方と親交のあった加藤さんは、心を痛めました。
■歌手・加藤登紀子さん
「間違って欲しくないのは、侵攻しているのは、ロシアという国家は、ウクライナに侵攻している。けれども、ロシア人がみんなウクライナ人を憎んで戦争してるわけではない。だけど、戦争が続けば続くほど、憎しみが増幅していきますから。お互いに、一つの国だったこともある、親戚だったこともある、友情もあった。それが引き裂かれていくわけなんですね。」
自分にできることは何か。『百万本のバラ』が持つ意味を問い直した加藤さん。国境を越えて人々に愛され、「無限大の愛」が込められたこの曲を、平和の願いを込めて歌い継ごうと考えました。
■歌手・加藤登紀子さん
「戦争ということを見つめた時に、多分人々の90%以上は、本当に平和を願っているんですね。この愛は本当なのに、届かない。それでも届け続けるっていうかね、無限大のラブ、失恋でも構わないから伝えるんだという、なんかそういう執念みたいなものが、このリフレインの中に込められている気がするんですよね。」
11月に広島県福山市で開かれるコンサートで披露するのは、合唱団と共に歌うロングバージョンです。今回コーラスに参加するのは、福山暁の星女子中学・高校の合唱部です。本番に向け、練習に打ち込んでいました。
■福山暁の星女子中学・高校合唱部 池田釉苺さん
「自分がちゃんと平和を伝えられる1人となったことが、とても光栄って言ったらあれですけど、色んな県の人や国の人にも伝わったらいいなと思います。」
■歌手・加藤登紀子さん
「国境線を超えて、その一つの繋がれる、抑圧のない平和な繋がりのある、そういう世界を求めて『百万本のバラ』という歌は生まれたわけだから。この嵐の中にいるときだからこそ、それを超えていく力がこの歌にはあるんじゃないかと、私は思います。」
戦争による人々の苦しみを受け止め、歌い継ぐ加藤さん。これからも国を越え、世界に平和を訴え続けます。
加藤登紀子さんのコンサート『世界バラ会議福山大会記念事業 加藤登紀子 百万本のバラコンサート2024』は、11月16日にふくやま芸術文化ホール・リーデンローズで開催されます。
【2024年10月24日放送】
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