ストレスが原因で急増している『適応障害』 心療内科医が伝授する対策とは…!?【かけこみクリニック・テレビ派】
広島テレビ ニュース / 2024年10月29日 7時0分
ストレスが原因で、気分の落ち込みや動悸・不眠など心身に不調が現れる「適応障害」。ここ数年で患者数が急増し、なかでも、寒い時期には患者数が増えるのだそうです。放っておくと深刻化する可能性がある「適応障害」を心療内科医の長井敏弘先生が解説します。
今回のテーマはストレス性障害の一つ「適応障害」です。「寒くなると患者数が増加する」理由は、「セロトニン」と日光の関係です。冬になると日照時間が短くなり、日光に当たる機会がなくなります。その結果、「セロトニン」が減り、心の病気なりやすい、ストレスの耐性が低下します。
そして、ストレス耐性が低下することにも原因があります。ほとんどストレスですが、職場や学校、家庭あるいは対人関係、病気もストレスの原因になります。このようなストレスによって、身体面で多いのは不眠、動悸やめまいで、精神面で気分の落ち込みや不安などの症状が現れます。
このようにストレスが原因の病気をまとめて『ストレス性障害』と言います。その中でよく耳にするのが「うつ病」「適応障害」「パニック障害」です。「うつ病」と「適応障害」の症状はほぼ一緒で、不眠や落ち込みなどがあります。では、どのような違いがあるのでしょうか。
私たちの心を「バネ」に例えます。バネにストレスが加わると、グーッと伸びますが、ストレスがなくなると元に戻ります。このストレスが長期間続くと、ストレスがなくなってもバネが伸び切った状態になってしまいます。これが「うつ病」の症状です。対して「適応障害」は、ストレスがなくなるとバネは元の状態に戻ります。つまり「適応障害」は、ストレスをなくせば、症状がなくなります。「適応障害」は薬が効きにくいため、対症療法となります。治すことはできないため、根本的にはストレスを解消するようにしていきます。
ストレス解消は、患者に合わせた様々な方法があります。今回は、職場で受けたストレスを解消するための、おすすめのスポーツを紹介します。「10分間ジョギングして汗をかく」と「週2回スポーツクラブで水泳をする」です。「ボタボタ汗をかく」ことよりは、夢中になることが大事です。「30分歩いてうっすら汗をかく」ことは、嫌なことが頭に入っている時に、ゆっくり歩いていたら同じことが頭に出てきてしまいます。ストレスがないときは別ですが、ストレスがある時はおすすめできません。また「職場の階段を2段飛ばしで駆け上がる」ことも、ストレス受けた場所で行うことは、ストレス解消にはなりません。今回、スポーツに夢中になり「適応障害」を克服した、長井先生の元患者さんに、話を聞きました。
後半
伺ったのは、広島市中区銀山町にあるキックボクシングジムです。今回、話しを聞いた竹内一起さんは、以前食品輸入事業の企業に勤めていたとき、心身に不調が現れるようになったそうです。症状が現れたきっかけを聞きました。
■竹内一起さん
「46歳くらいのときですね。仕事がすごくハードになって、責任も重くなってきた時期に、なかなか昼と夜の区別がつかない、寝つきがすごく悪くなったりとか、気持ち的に沈んだりっていうことがあった日々が続きましたね。僕、食欲はもうめちゃくちゃあったんですけど、一番はやっぱり寝れなかった。朝が来るっていう不安が襲ってくるような感覚がありましたね。まだ寝てたい、でも寝れないっていう、そういったことが続きましたね。」
周囲の人たちに診断を薦められ、心療内科を受診したところ『適応障害』と診断されました。
■竹内一起さん
「「まさか自分が?」っていうのが1番ですね。自分がね、適応障害っていうことを気づくまでの方が長かったかもしれないですね。先生からは「何か運動なり、気分の変わる何かきっかけを作りましょう」っていうアドバイスを頂きました。」
■竹内一起さん
「(自分は)元々、学生時代からずっとサッカーを中心に活動をしていて、先生の方から「キックボクシングやってみたらどうだ。3分間戦って頭が真っ白になる・そのとき何も考えない・余計なことを考えると、もらっちゃうよ」みたいな話を頂いて、じゃあ始めてみようっていうことで。生活リズムはもう一変しましたね。仕事のことも、完全に忘れるような世界がまた新たなね、第3の居場所っていうか、会社・家庭以外の居場所ができましたね。」
そこからキックボクシングに夢中になっていった竹内さん。いつしか適応障害の症状はなくなりました。そして、9月にキックボクシングジム『Next Gear』を開業したのです。
■竹内一起さん
「コロナ禍のときですね、だんだん皆さんの、目の輝きがなくなってくる時期を目の当たりにして、「これ何かできないか。」と。自分がやっていた過去の経験から、キックボクシングで「自分自身がすごく元気になった」「取り戻した」ことを、みんなにもっと気軽に(ストレス発散できるように)自分の仕事にしようと思って、計画を立てました。」
竹内さんには、スポーツでストレス発散させる方法が合っていたようです。
■利用者は…
「(頭の中が)真っ白になって楽しいです。全部忘れる!大事なことも忘れるかもしれんけど(笑)」
「(キックボクシングの魅力は)普段の自分とは違う感じで動いたりとか。実際にミットとか打って気持ちいい感じです。」
「適応障害」の原因となるストレスに向き合う方法は、心療内科医がしっかり患者さんにあった方法を提示します。
竹内さんに、心療内科やメンタルクリニックを受診するにあたり、少し勇気がいると思う人も多い中、抵抗はなかったのかを聞いてみました。
■竹内一起さん
「抵抗ありましたけども、やはり自分でね「今の状況をどう改善するのか」「何が一番いいのか」、要は病気と言ったらあれですけども、向き合う姿勢を取ったというのが一番ですね。」
人によって何をするのかは違いますが、自分が夢中になれるもので、「ストレス」の原因を忘れてることが、克服につながっていきます。自分に合った方法に夢中になっている際には、「嫌だ」と感じていたことが少し薄らぎます。これが「心を休める」ことになります。「体を休める」こととは違い、「心を休める」場合には、何か違うことをすることによって「休む」ことができます。夢中になるものがない場合は、スポーツがおすすめです。スポーツで体を動かすことによって、頭がスッキリします。
職場や学校、家庭などでストレスを受け、身体面や精神面に不調が現れて2週間続くようであれば、心の病気の可能性があります。激しい気分の落ち込みが1~2日続いても「休んで元に戻るのであれば問題ない。」と、長井先生は話します。患者にあった克服方法を一緒に考えていくので、自覚症状がある場合は、一人で抱え込まずに心療内科を受診してもらえればと思います。
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