女性アスリートが悩む『月経』 産婦人科医に聞く コンディショニングを整えるための正しい知識とは?【アナたにプレゼン・テレビ派】
広島テレビ ニュース / 2024年11月2日 8時0分
広島テレビのアナウンサーが、気になるテーマを自ら取材して、お伝えする『アナたにプレゼン』。有田優理香アナウンサーが、広島テレビが取り組む女性アスリートの健康支援プロジェクト『WeSUP.』をプレゼンします。『WeSUP.』は、月経など女性特有の健康課題が、アスリートに及ぼす影響を検証し、適切なサポートを提供します。
このプロジェクトの一環で、女子プロサッカー・サンフレッチェ広島レジーナの選手たちが講習会を受けました。10月22日、選手たちはスポーツドクターの資格を持つ産婦人科医から、月経がアスリートのパフォーマンスに及ぼす影響などの講習を受け、女性の健康課題について考えました。
■サンフレッチェ広島レジーナ 立花葉選手
「月経は月に1回くるものですし、うまく付き合いながらケアだったり、コンディショニング作りは徹底してやりたいなと思います。」
女性アスリートがコンディショニングをするには、月経にまつわる症状を改善することが有効とのことです。そこで、今回の講習会では選手たちが月経に関する知識はもちろん、低用量ピルやホルモン製剤を使った月経コントロール方法まで、様々なことを学びました。
月経に関する課題についてアスリートたちに話を聞くと、様々な課題や悩みが見えてきました。例えば「出血量が多くて練習を休む」「大事な試合日と月経が重なる」「オーバートレーニングで無月経に陥る」など、近年月経の悩みは、アスリートのパフォーマンスに影響していることが分かっています。
さらに「ワンタップスポーツ」という、コンディション管理を行うサービスを利用しているアスリートを対象にした3年前のアンケートによると、女性アスリートの8割が月経について困っていると回答しています。コンディション管理を利用するより意識の高いアスリートの中で、婦人科を受診した経験があるのは、わずか11%でした。部活動をしている学生まで幅を広げると、11% よりも低いかもしれません。抵抗がある理由は「どんな治療をするのかわからず怖い」「恥ずかしい」といった声があります。
心療内科医の長井敏弘先生によると、PMS(月経前症候群)で婦人科ではなく、心療内科を受診する患者が多いと言います。最近は、心療内科への敷居が低いことから「ちょっとした相談」をしに訪れるそうです。そこで婦人科と連携を取り、PMSだと診断することもあります。取材をしたアスリートの中では、トップアスリートの選手であっても、社会人になってから月経痛が重くなり「どうすればいいかわからない」「不安なので1人で抱え込んでしまう」という選手もいました。長井先生は「おそらく、PMSだということに気づかず、自分でなんとかしようとするアスリートが多いのでは。」と話していました。
アスリートの悩みに向き合ってきたのが、今回の講習会で講師を務めた能瀬さやか先生です。これまでオリンピック選手を始め、多くのトップアスリートを診てきました。能瀬先生は講習会の中で「正しい知識を持つことが大事」と話していました。女性アスリートが「正しい知識を持つこと」の意義について、話を聞きました。
■産婦人科医 能瀬さやか先生
「自分の体を今よりもっと正しく知ることは、より高いパフォーマンスを目指す上で、自分自身のコンディショニングにつながっていくと思います。正常がわかっていて、普段から自分の体に関心を持っていれば、何かあったときに異常に気付きやすい。」
■広島テレビ 有田優理香アナウンサー
「正しい知識を得るために、普段からどのようなことを女性アスリートがするのが大事ですか?」
■産婦人科医 能瀬さやか先生
「まずは、自分の体をきちんと把握することが一番重要だと思います。選手だけでなく、スタッフや保護者も含めて一緒に知識を定期的にアップデートしながら、あとは相談しやすい環境作りを、周りも作っていく必要があると思います。」
女性アスリートは、体重制限などで無月経や月経不順も多いことから、「正しい知識を持つ」「自分の体を知る」ことが大事になってきます。ある新体操の選手は「月経が来ない方が、競技する上では楽なので来なくていい」と考え、体重制限によって無月経となったそうで、婦人化も受診しなかったと言います。正しい知識がを得ることによって、早期に婦人科の病気を予防することも可能だと、能瀬先生は話していました。
また、周りの支えや男性指導者も多いアスリートの世界では、チーム全体で理解を深めていくことが大事となります。女性特有の問題とはいえ、男性指導者も正しい知識を得ることは必要です。男性指導者に直接言いづらいという女性アスリートもいることから、間に入る女性を配置するなどチーム全体で取り組んでいくことが、今後の課題となりそうです。レジーナでの講習会に関しては、男性指導者が録画などを見て、チーム全体で知識を深めていくということです。これはアスリートだけの問題ではなく、一般女性も正しい知識を持つことは大事です。
能瀬先生の講習会では「競技人生はもちろんですが、競技を引退した後の人生も豊かにしてほしい。」という言葉が印象的でした。自分の体を守るのは、自分自身です。最終的にはアスリートに限らず、1人1人の女性が自分自身の体を知り、理解して正しい知識をアップデートしていくことが、人生の質の向上にもつながっていきます。こうした教育や支援を、広く女性たちの健康に役立てるために、広島テレビでは『WeSUP.』を推進していきます。
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