「つなぐヒロシマ」原爆資料館元館長・原田浩さん(85) 生死もわからぬ人を踏み分けて逃げた記憶
広島テレビ ニュース / 2024年11月19日 22時25分
読売新聞と共同で被爆者の証言を記録している「つなぐヒロシマ」。
19日は、原爆資料館の館長として海外や国内の要人たちに被爆の惨状を伝えてきた男性です。
広島市安佐南区に住む原田浩さん、85歳。当時6歳だった原田さんは疎開するために向かった広島駅で父親と共に被爆しました。
■原田浩さん
「そこで、熱戦と爆風を受けました。駅舎の陰におりましたので奇跡的に助かった」
爆風で崩れ落ちてきた屋根から父親が体を張って守ってくれたため、ほぼ無傷だったといいます。
■原田浩さん
「父が四つん這いになって上にかぶさってくれた。ですから、父は非常に大きな背中に傷を受けてますけど。もう父は恩人としか言いようがないですけどね」
父親に手を引かれて逃げるとき、生死もわからない人たちを踏み分けて進みました。忘れられない記憶です。
■原田浩さん
「内臓が破裂したような人の上を踏んだらね、足がね、体の中に入るんですよ。皮膚がないから、次の人の上をまたいで行かなきゃいけない。だからどれだけの人を私がね、踏んだのかわからないけれども・・。そういう形のものは(そういうことは)、やっぱりもうあってはならんということに繋がりますよね。もうそれに尽きると思います」
その後、広島市の職員となった原田さんは、1993年から4年間、原爆資料館の館長を務めました。
「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる」との演説で知られる、ドイツのワイツゼッカー元大統領など、およそ150か国の要人を案内しました。
■原田浩さん
「だからそれほど多くの方が、広島の思いというものを共有したいという気持ちを持ってらっしゃる。そこのところは大事にしなきゃいかんと」
1995年には、当時の天皇、皇后両陛下を案内しました。その際、原爆が投下された時のことを尋ねられ、被爆者であることを伝えると…
■原田浩さん
「そうしたら、天皇陛下も皇后陛下も、顔色がガラッと変わりました。というのはそこまではやっぱり、 館長として、展示の解説をする役割だと思っておられたでしょうから、それがいきなり被爆者に変わってくるわけだから、ものすごい、これやっぱり大きなとまどいがあったと思うんですね。天皇皇后両陛下の視線が、目に刺さるような、ひどい真剣になりました。『その体験はまだしっかり聞きたい』とおっしゃったんだけど、もちろん時間の関係もあるんで、途中でね、終わることしかできなかったんですが、それ(私が語った体験・思い)を今度は、天皇皇后両陛下は、持ってお帰りになったんだと思いますよ」
被爆から79年・・・核兵器が再び使われるかもしれない恐怖が世界に広がる中、日本被団協に決まったノーベル平和賞。原田さんもその重みを感じています。
■原田浩さん
「今回の受賞をしたことによって、 とりわけやっぱり被爆者の人にとっては、肩の荷がずっと重くなったんじゃないかと思います。うかつに喜んどるわけにはいかないんでね。喜んだからといって、核兵器がなくなるわけじゃないんだから。今までまでの悲惨な体験をしっかりと伝えるという努力は今まで以上にしっかりとやっていかなきゃいけないと思います」
原田さんをはじめ、被爆者に残された時間は長くはありません。自らの体験を語り続けるのは、伝え続けなければならないという強い思いです。
■原田浩さん
「繰り返して言うようですがやっぱり悲惨な体験というのはこうなんだと。そのことが自分の頭上で炸裂したらどうなるのか。自らの体験として受け止めていただきたいと。そして行動できる分は、 行動してほしいという、極めて強い願いを持っているということだと思います」
【2024年11月19日放送】
この記事の動画はこちらから再生できますこの記事に関連するニュース
-
来月ノーベル平和賞授賞式 授賞式が行われるオスロに向かう高校生ら決意新たに
広島テレビ ニュース / 2024年11月18日 19時6分
-
核の惨状に「目を向ける契機」=長崎の作家、元資料館長の青来氏―日本被団協ノーベル賞決定
時事通信 / 2024年11月18日 14時53分
-
世界の若者がヒロシマを学ぶ ICANアカデミー
広島テレビ ニュース / 2024年11月13日 19時57分
-
がれきの上に立つ血だらけの母、大八車に山積みの遺体…「初めて、絵を描くことが苦しかった」 福岡の美術学生がヒロシマとナガサキに向き合って抱いた平和への願い
47NEWS / 2024年11月11日 10時0分
-
【特集】原爆を「落とした」祖父と「落とされた」祖父 被爆80年へ孫たちが訴える平和
広島テレビ ニュース / 2024年11月9日 7時0分
ランキング
-
1「亡くなっても、言葉は残る」 谷川俊太郎さんと親交の詩人ら悼む声
毎日新聞 / 2024年11月19日 19時39分
-
2ほぼ全額を引き出したか…強盗や詐欺などの疑いで少年ら2人を再逮捕 江別市大学生暴行死事件
HTB北海道ニュース / 2024年11月19日 16時31分
-
3「事故現場にいた」事故時、車には4人と判明 高1男子が横転後に逃走 埼玉栄高校グラウンドで生徒が無免許運転し横転で男子生徒死亡事故
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月19日 15時56分
-
4斎藤知事 欠席の意向 次回の百条委の証人尋問 公務都合で
ABCニュース / 2024年11月19日 17時14分
-
5谷川さんを追悼、書店にコーナー ファン「寂しい」、各社で増刷も
共同通信 / 2024年11月19日 19時33分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください