被爆者から「あの日の記憶」の継承を託された被爆2世 植岡進次さん 広島・福山市
広島テレビ ニュース / 2025年1月27日 19時32分
読売新聞と共同で、被爆者の証言を記録している『つなぐヒロシマ』です。被爆者から「あの日の記憶」の継承を託された、広島県福山市に住む被爆2世の男性です。
68歳の植岡進次(うえおか・しんじ)さんは、被爆者とその家族でつくる「福山市原爆被害者友の会」の事務局長を務める被爆2世です。
植岡さんの母・淳子(あつこ)さんは13歳の時、爆心地からおよそ2キロの広島駅のホームで被爆しました。
■福山市原爆被害者友の会事務局長 植岡進次さん
「駅のホームのがれきに埋まっていたらしくて、お姉さんが捜して引っ張り出してくれたらしいですね。実家が三次市だったんですけれども、そこへ帰ってずっと意識不明ではないが、ずっと寝ていたと聞いていますね。」
昏睡状態は2日間続きましたが、一命をとりとめ、その後、家族をもうけることができました。そして、福山市の被爆者団体の役員を務め、2004年には、被爆者代表として平和式典にも出席しました。
一方、被爆体験を家族に語ることはなく、2017年に亡くなりました。その後、植岡さんが追悼祈念館で、たまたま母の手記を目にし、初めて被爆体験を知りました。
■福山市原爆被害者友の会事務局長 植岡進次さん
「私が思うに、それ(被爆体験)を話すことによって、その当時の悲惨な状況を思い浮かべたくないんじゃないかと思うんですよね。昔は被爆者ということで、差別があったのではないかと思うんです。そういうことがあるから、自分の中でとどめていたのでしょう。」
母の死後、「福山市原爆被害者友の会」で活動を続け、被爆者の体験を子どもたちに伝えています。
伝えるのは、2023年に亡くなった被爆者・池尻博さんの体験です。植岡さんは、池尻さんから自身の体験をもとにした紙芝居を託されていました。
■福山市原爆被害者友の会事務局長 植岡進次さん
「一面の空がピカッと光った思うと、天地を揺るがすような爆音と爆風。とっさに目と耳をふさぎ、地面に腹ばいになった。」
■福山市原爆被害者友の会事務局長 植岡進次さん
「世界が平和にならないといけない。それから、核兵器は絶対に廃止しないといけない。そういった気持ちを(池尻さんから)受け継いで、それを少しでも色んな世代の人に、池尻さんの語り部の内容を広く、私にできることをやって広めていきたいですね。」
現在、「友の会」に所属する13人の被爆者は、直接体験を伝えることが難しいといいます。だからこそ、被爆2世や3世が、語り継ぐことが大切だと植岡さんはいいます。
■福山市原爆被害者友の会事務局長 植岡進次さん
「福山市原爆被害者友の会もそうだが、他の県内の会も、会の存続をいかにしていくかも重要課題だと思いますね。私ももう高齢ですから、次の人に(池尻さんの体験を)つないでいって、引き継いでいかないといけない。 せっかく、こんな素晴らしいもの(紙芝居)があるのだから。」
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