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福山・明王台主婦刺殺事件 被告の男に懲役15年の判決 記者がスタジオ解説

広島テレビ ニュース / 2025年2月12日 20時5分

広島テレビ放送

24年前の殺人事件に判決です。広島地裁は殺人などの罪に問われていた男に懲役15年を言い渡しました。

■裁判長

「主文被告人を懲役15年に処する」

12日午後、広島地裁で言い渡された判決。無罪を主張していた被告は、表情を変えることなく聞いていました。

事件が起きたのは2001年2月。福山市明王台の自宅で当時35歳の女性が腹部を果物ナイフで刺され、死亡しているのが見つかりました。事件から20年がたち、福山市西新涯町の竹森幸三被告が殺人などの疑いで逮捕・起訴されました。先月30日に開かれた初公判。検察が起訴状を読み上げると竹森被告は…

■被告

「記憶にないから分かりません」

車いすで法廷に入ってきた竹森被告。はっきりとした口調で述べました。弁護側は、「男性は被害者を殺害していない」と無罪を主張しました。

裁判の争点は「犯人性」。重要な証拠となるのはDNA型鑑定の結果です。検察側の証人尋問。法医学者は「証拠品の靴下の血痕から採取されたDNAは、経年劣化により傷ついている上、複数人のDNAが含まれている可能性がある」などと指摘しながらも、「証拠品の血痕から採取されたDNAには、被告のDNAが含まれていると考えられる」と主張しました。

2月5日、被告は事件への関与を改めて否定、今の思いを語りました。

■被告

「訳の分からないやった覚えのない事件に対して、監禁されていることが理解できない。早く出たいです」

論告求刑は、事件からちょうど24年たった被害者の命日でした。冒頭で被害者の母親は涙ながらに訴えました。

■被害者の母親

「娘はなぜ殺されなければならなかったのですか」「長男や長女の名前を呼びませんでしたか」「私たちに娘を返してください」

検察側は「採取したDNA型は被告のものとほぼ一致しており、一部の不一致も信用性を疑うものではない」などと主張。当時の有期刑の上限である懲役15年を求刑。一方、弁護側は「DNA型が一部一致していない上、被害者と面識もなく犯行の動機もない」などと改めて無罪を主張しました。

そして2月12日、広島地裁の後藤有己裁判長は、竹森被告に懲役15年の判決を言い渡しました。

DNA型の鑑定結果については、「専門的知見に基づくもので信用できる」と指摘。「被告人が犯人であることに合理的な疑いを差し込む余地はない」としました。

一方、弁護側は…。

■犬飼俊哉 弁護士

「DNA型の証拠評価のところについて、かなり厳しい判断をされている。被告人に不利益な判断なのではないかと思っている」

控訴について、弁護人は竹森被告と話したうえで決めるとしています。

(森アナ)

ここからは司法担当の久保田記者に伝えてもらいます。

(久保田記者)

今回の裁判は、被告が犯人かどうかという点で争われました。そこで重要になったのが証拠品から取られた血痕が「被告のものかどうか」です。その鑑定結果がこちらになります。4回実施し、最初の2回は「完全一致」3回目と4回目は「一部不一致」という結果でした。

(井上アナ)

「一部不一致」というのは、どういった状態が考えられるんですか?

(久保田記者)

現在のDNA型鑑定では24の評価項目があるんですが、その全てが合って「一致」とみなされます。今回の鑑定では、3回目と4回目が「一部不一致」となりました。検察側はその理由について、2つ挙げています。

ひとつ目は、証拠品となった被害者の靴下から2人以上のDNAが検出されているということです。DNA型鑑定の精度があがって微量に混ざっていた別人のDNAも判定できるようになったことが考えられます。検察はそこに被告のDNAが含まれていると主張しました。

ふたつ目は、「劣化」による不一致という判断です。検察側は事件から24年たっており劣化しているため「不一致」と主張しています。これらに対し、弁護側は「一部不一致」のものは別人であると主張していました。この「一部不一致」という結果に対して、広島地裁は「専門的知見に基づく合理的なもので信用できる」としましたが、その結果を踏まえてDNA型鑑定の専門家に意見を聞きました。

■神奈川歯科大学 歯学部 山田良広 教授

「我々鑑定人からすれば結果見ても間違いないなと。今回最初の時はDNA鑑定では一致したと。2回目3回目では、一致してないというのは、精度が良くなったから、逆にねそういうふうな状況になっちゃったんですけども。現場にあったDNAと被告人・被疑者のDNAが完全に一致しなかったとしても、 それは余分なものを拾ってしまったっていうことで、間違いじゃないんですよね。検察側としては例えば、今回も被告人以外の型が出てたのも、本当は打ち消せれば一番良かったんすね。例えば被害者のDNA型とかあるいは被害者の家の方のDNA型とかを全部検出して、 それでこの「混ざった状態というのは他の人じゃないんですよ」みたいなことを言えれば一番良かったのかなと思います。これから多分DNA鑑定って、現場の資料ってほとんど混ざった状態で見つかってくることが多いと思うんですね。DNAは型だけで判断するものではない。やっぱ、その型をどう判断する かっていうことを、その過程がすごく重要になってくる」

(久保田記者)

鑑定技術が進歩して精度が高まっているからこそ、結果だけを見るのではなく、その過程を見ることが重要となるということです。

(井上アナ)

久保田記者は今回の裁判を傍聴されたということですが、印象はいかがでしたか?

(久保田記者)

今回の裁判では自白調書が採用されておらず、被告は否認。被害者と面識もなく動機も分からないまま始まった裁判でした。裁判員は、DNA型鑑定の結果のみで犯人かどうかを判断しないといけず、専門的な知識が必要となりました。初日にDNA型鑑定について学んだとはいえ、検察側の証人尋問ではかなり専門的な用語が並んでいました。裁判員に2週間という期間で判断させることも議論が必要になってくると感じました。

【2025年2月12日放送】

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