『祝日』伊林侑香監督、新人俳優・中川聖菜を絶賛「目で追いかけてしまうようなお芝居が上手」
クランクイン! / 2024年5月22日 17時0分
本年5月に開催された横浜国際映画祭にてプレミア上映され、5月10日からの先行上映(富山県の4館)でミニシアターランキング4位にランクインした日本映画『祝日』の初日舞台あいさつが5月17日に都内で行われ、主演の中川聖菜、共演の岩井堂聖子、芹澤興人、中島侑香、伊林侑香監督が登壇した。
本作は、2022年公開『幻の蛍』でデビューを果たした富山県出身の映画監督・伊林侑香と、第33回フジテレビヤングシナリオ大賞で佳作を受賞した伊吹一が再タッグを組んだオリジナル作品。生きることを諦めかけた中学2年生の少女が、人生最期の日に、数奇な人々との出会いで変わっていく姿をあたたかみのある映像で描く。普通に生きることが難しい世界で「生きる」という、人生の課題をしたためたヒューマンドラマだ。
監督の出身地である富山県で全編オールロケが敢行され、富山県在住の新人・中川聖菜が200人以上のオーディションを経て主演に抜てきされた。また、『幻の蛍』にも出演した岩井堂聖子のほか、西村まさ彦、中島侑香、芹澤興人など、実力派俳優陣が脇を固めている。
初日舞台あいさつで、大勢の観客を前に舞台に立った中川は「初の主演映画がこのような場所で舞台あいさつができること、すごくうれしく思います」と緊張気味な表情であいさつ。そして本作が生まれた経緯について、伊林監督が「デビュー作は『幻の蛍』という映画になりますが、その作品の編集中に今回の企画ができました。2年前はコロナ禍が明ける少し前くらいで、世の中というか、皆さんの気持ちも、未来もちょっと暗いような雰囲気で。どこか光を差すような作品をつくれないかということで、この企画が生まれました」と語った。
中川は本作のオーディションを振り返り「選ばれた時はとてもビックリしました。ですが、一生懸命頑張ろうと意気込んだのを覚えています」と語ると、伊林監督も「中川さんは、お芝居を見た時から、はかない雰囲気だったり、魅力的なお芝居が上手で。引き込まれるというか、目で追いかけてしまうようなお芝居が上手だったので、今回も暗い過去を持つ、奈良希穂役にピッタリだと思い、お願いしました」と起用した理由を明かした。
中川は撮影当時、13歳。その芝居を間近で見ていた岩井堂は「実は監督のデビュー作でもあります『幻の蛍』に出演させていただいていて。その時に聖菜ちゃんと同じシーンがあって。その時は身長も小さかったのに、気付いたら追い越されてしまいました」と笑顔で語り、「でも監督が目で追うような女優さんとおっしゃっていましたが、主人公の持つはかなさ、繊細な部分を大事にしていているなというのをわたしも感じていて。初主演だなんて思えないような、堂々としたたたずまいでした。学ぶことがたくさんありました」とその演技を褒め称えた。中川も「はじめてのことばかりで緊張もしていたんですけど、岩井堂さんからたくさんのことを教わって勉強になりました」とほほえんだ。
そんな中川の言葉を受け、「なんか言わせちゃったような感じですね」と笑った岩井堂は、中川との現場の様子について「現場では楽しくお話をしていました。最初は緊張しているのかなという感じはありましたが、カメラの前に立つとそんなそぶりはまったくなくて。しっかりと希穂ちゃんという役柄を、聖菜ちゃんがしっかりと捉えてやっていて。彼女自身が役になりきって。毎日、役として日記を書いていたと聞いた時は、そうなんだとグッときました。絶対に一緒に頑張って、成功させたいなと思いました」と述懐。
その日記をつかって役づくりをした意図について、伊林監督が「前作(『幻の蛍』)でも、(主演の野岸紅ノ葉に)役になりきって日記を書くということをしていただいて。今回も天使と会う『祝日』の日を撮影初日に設定して。カウントダウンのようにして日記を書いていただいてたので、余計入りやすかったという感じがあったのではないでしょうか」と説明しながら尋ねると、中川も「はい!」と笑顔で返した。
伊林監督の故郷でもある富山県の自然豊かな美しい風景が印象的に映し出されている本作。伊林監督は「富山県射水市を中心に撮影をしたんですけど、日本のベニスと言われている内川はいろんな作品のロケ地に使用されているんですが、いかにして違う魅力を引き出すか、『祝日』に寄り添うようなきれいな景色として映し出せるかということは、意識してやらせていただきました。各シーンも、ポストカードにできるくらいに、きれいな画作りをしたいというのは前作もそうですし、今作でも強い気持ちをもって取り組みました」と明かすと、同じく富山出身の中川も「故郷で撮影というのは本当にうれしくて。はじめての主演映画で富山で撮影できたのは本当にうれしかった」と笑顔をみせた。
そして最後に、伊林監督は「この作品は2年前に制作させていただいて。2年前からこの作品の信じる力、いろんな思いを込めた作品になっています。その思いを俳優の皆さん、脚本家の伊吹(一氏)さん、富山の皆さん、応援サポーター、そして製作委員会、たくさんの力がひとつになって、この作品が生まれました。この作品を大きな劇場で観ていただけることをうれしく思いますし、今日からたくさんの方に届けばと思っています」とメッセージを送って締めくくった。
映画『祝日』は全国順次公開中。
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