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河合優実&吉田美月喜、大注目若手の2人が追う“背中”とは 俳優としての展望も語る

クランクイン! / 2024年6月23日 7時0分

(左から)吉田美月喜、河合優実

 藤本タツキの漫画を劇場アニメ化した『ルックバック』で、初声優を務めた河合優実&吉田美月喜。主人公の少女がものづくりに打ち込んでいくみずみずしい感覚や、彼女たちが築いていく特別な関係を見事に体現している。注目の若手俳優として話題作への出演を重ねている河合と吉田が、本作に込めた思いをはじめ、お互いから受けた刺激や、俳優業の展望を語り合った。

■“運命的”なキャスティングに驚き!

 原作は、『ファイアパンチ』や『チェンソーマン』といった話題作を手掛ける藤本の渾身作。2021年7月にコミック配信サイト「少年ジャンプ+」にて公開され、著名なクリエイターたちをはじめ、多くの漫画ファンの注目を集めた。自分の画力に自信を持っていた藤野(河合)と不登校の同級生・京本(吉田)が出会い、一緒にひたむきに漫画を作り続けるようになるが、ある日すべてを打ち砕く事件が起きる。

――『ルックバック』は、漫画ファンやクリエイターの方々からも熱い支持を得た作品です。その理由について、どのように感じましたか?

河合:私は普段あまり漫画を読まないのですが、『ルックバック』が配信サイトで公開された当時、そんな私のもとにも評判が届くくらい話題になっていて。藤本先生が個人的に思っていることと、社会的な問題がリンクしていて、ものすごい熱量を感じました。読んでいく中で、こちらにもその熱が積み重なっていくようでした。

吉田:藤本先生の描かれる漫画に迫力を感じて、衝撃を受けました。「すごい作品に出会った」と思い、オーディションを受けられるだけでもとてもうれしかったです。オーディションを受ける時は、藤本役、京本役のどちらを演じるかは決まっていなかったんですが、なぜか私は、京本の目線で漫画を読んでいて。藤野に憧れる京本のキラキラした眼差しがとても愛おしくて、「藤野ちゃんみたいな人がいたら、私もきっと憧れるんだろうな」と感じながら読んでいました。

――京本のどのようなところにシンパシーを感じたのでしょうか。

吉田:私は今、いろいろなことを吸収したいと思っている時期で。まだまだ未熟なところがたくさんあるので、いろいろな人から話を聞きたいし、影響を受けたいなと思っているんです。だからこそ、藤野ちゃんに惹(ひ)かれる京本に共感したのかもしれません。京本役をいただけてご縁を感じた部分もあり、とてもうれしかったです。

河合:私もどちらを演じるかは決まっていない状態でオーディションを受けていたんですが、マネージャーさんと「どちらをやりたいか」と話をしていた時に、なんとなく「藤野をやりたいな」と思っていたんです。

吉田:うわ! すごい!

河合:私は器用貧乏というか、この仕事を始めるまで、いろいろなことに手を出してみては、やめて……ということが結構あって。絵を描くのも好きだし、ダンスもずっと習っていたんですが、どの分野でも必ず、かなわないなと思う人に出会うんです。だからこそ、京本と出会って打ちのめされる藤野の気持ちがとてもよくわかりました。また誰かと一緒にものづくりをしていく幸せを経験していく藤野にも、とても共感ができました。

■お互いの演技から受けた刺激「声優経験、本当に初めて?」

――お2人にとっても、運命的な配役になった気がしますね。今回、お2人は初めて声優を務められましたが、特別に準備したことはありますか。

吉田:オーディションの前にボイスサンプルを送っていたんですが、そのボイスサンプルと、実際にオーディションで発した声が全然違ったようで、スタッフの方から「あまり練習をしないでほしい」と言われて。私は同じように演じたつもりだったので、かなり混乱しました(苦笑)。感情を作り込みすぎず、まっさらな気持ちで臨むことを求められていたのかもしれません。

 ただ京本役は秋田弁を話す必要があるので、方言についてはしっかりと準備しなければならないと思い、ひたすら秋田弁の練習をしていました。実際の収録では2日間をかけてアフレコをしましたが、最初は藤野のシーンだけだったので、私は優実ちゃんのお芝居を端っこの方で見ていたんです。そうしたら初めからものすごく上手で! 「初めてなんて嘘だ!」と思いました(笑)。どうしよう……とガチガチに緊張していました。

河合:私も京本の声を聴いた時に、「美月喜ちゃん、声優経験あるでしょう!」って思った! 初めてだって、嘘をついている(笑)?

吉田:ついてないよ(笑)! 優実ちゃんと一緒に録っていると、どんどんキャラクターに命が吹き込まれていくという実感を持つことができて。まるで目の前に、藤野と京本が現れたような感覚になりました。自分自身も心を動かされたり、自然と涙が出てきてしまうシーンもありました。

――お互いに、いい刺激を受け合いながらアフレコができたのですね。

河合:美月喜ちゃんの京本はとてもステキで、たくさんの刺激を受けました。同じ世界にいる2人を同じ空間で演じることができたので、とてもうれしかったです。自分としては、試行錯誤の繰り返しでした。ただ声優経験のない私を求めていただけたということには、きっと理由があるのだろうなと。生っぽさという言葉が正しいかはわからないですが、キャラクターからイメージする感情だけを持って、その時に藤野が感じているであろうことを、誠実に声として出していこうと思って演じていました。

 アニメーションを見ながらアフレコに臨んだんですが、それが本当にすばらしくて! 実写のお芝居の場合は、キャラクターの実存をゼロから自分で体現していくことになりますが、今回はアニメに描かれた藤野の身体がすでにたくさんのことを担ってくれていて、私が想像していたものとはまた別の命がそこに生まれていました。動いている藤野がまるで自分の分身のように感じて、この子に添える声を出していこうという感覚になって。それは初めての経験で、とても不思議な感覚でした。

■2人が追いかける“背中”、そして俳優業の展望を告白

――藤野と京本の関係性は、とても尊いものだなと感じます。お2人の目にはどのように映りましたか。

河合:京本の描いた絵と出会うまでは、藤野には「自分は他の人よりも優れている」という自負があったと思うんです。藤野は京本と出会って挫折を経験しましたが、そこから一緒に漫画を描ける関係になれたというのはとても幸運なこと。もしその経験がなかったら、藤野の欠点というか、誰かより優位に立とうとする部分を持ったまま、人生を歩んでいたかもしれません。京本といることで成長できた部分もたくさんあると思うので、お互いにすばらしい出会いといえる存在だったのではないかと感じています。

吉田:京本から見ると、藤野はとてもカリスマ性がある人です。そうやって惹(ひ)かれていく姿は危うくもあり、その純粋さこそが京本の魅力とも言えるかもしれません。優実ちゃんが話したように、お互いにとってとてもステキな出会いで、影響をし合えることってすばらしいなと思いながら2人を見ていました。

――本作は、“背中”が大きなキーワードになります。お2人にとって“追いかけたい背中”や“思い出に残る背中”だと思うような存在がありましたら、教えてください。

吉田:私は、母の背中です。私は母に対して、京本が感じる、藤野への憧れのようなものを抱いていて。母はボーイッシュで、行動力があって、一匹狼のようなとてもかっこいい人なんです。小さな頃から、母には「芯のある女性になりなさい」と言われていて、そう言える姿もかっこいいなと思っています。

――とても素敵ですね。また今、俳優さんとして大切にしていることはどのようなことでしょうか?

吉田:俳優という仕事はとても不安定な仕事でもあり、自分が頑張った分だけ結果が出るものでもなく、運が大事になることもあって。だからこそある意味、開き直るというか、オーディションがうまくいかなかった時などは「あなただけが悪いんじゃないんだぞ」と言い聞かせるように、「きっといい出会いもあるはずだ」という考え方をするようにしています。そう考えられるようになったことは、私にとって心の救いになっています。

――河合さんは、いかがでしょうか。

河合:まだ事務所に入る前に、自主映画に出演させていただいたことがあって。それが私にとって初めての映画でしたが、最後に撮ったのは明け方のシーンでした。撮り終わった後に、機材を持って光の中を帰っていくスタッフさんの背中がとても印象に残っています。みんなで映画を作っているという雰囲気を感じたのも初めてのことで、その後ろ姿を見て、味わったことのないような感動を覚えました。それが私にとって、撮影現場の原風景と言えるものになっています。

 また美月喜ちゃんが言ったように、私も今いるのは、頑張ったら、目指す場所に行けるという世界ではないのかなと感じています。道筋が決まっていないからこそ、面白いのかもしれません。自分がその時々に興味や責任を持てるもの、面白いと思うものを追いかけていたら、自然とかっこいい大人になれるのかな、そうだといいなと思っています。

(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)

 劇場アニメ『ルックバック』は、6月28日より全国公開。

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