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奈緒&猪狩蒼弥、シリアスな撮影現場で「お互いの存在が光であり、希望だった」

クランクイン! / 2024年7月1日 6時30分

奈緒&猪狩蒼弥

 累計部数100万部を突破した鳥飼茜による同名漫画『先生の白い嘘』が実写映画化。男女の性の不条理に真正面から向き合った衝撃作で、難役に果敢に挑み新境地を開いたのが、主演の奈緒と本作で映画単独初出演を果たしたHiHi Jetsの猪狩蒼弥だ。激しくもがきながらも、相手との関わり合いを通して力をもらっていく役柄同様に、奈緒と猪狩も「お互いの存在が光であり、希望だった」と声をそろえる。飛び込む上で覚悟を要するような作品に挑戦した理由や、支え合った撮影現場の様子について、2人が語り合った。

■男女の性の不条理を描く衝撃作に「向き合ってみたい」と強く感じた

 本作は、ひとりの女性が抱える「自らの性に対する矛盾した感情」や、男女間に存在する「性の格差」に向き合う姿を描くことで、人の根底にある醜さと美しさを映し出したヒューマンドラマ。男女の性の問題に葛藤しながらも、平凡な教師を装って教壇に立っていた高校教師の美鈴(奈緒)が、担任する男子生徒・新妻(猪狩)の不倫疑惑事件をきっかけに、それまで見て見ぬふりをして“嘘”で誤魔化し続けていた、自身の中に潜む感情に向き合っていく。

――全編にわたって、役者の皆さんの魂を込めた熱演に圧倒されました。奈緒さんは、男女の“性差”を“格差”として振りかざす男性に力強く立ち向かっていく美鈴を演じましたが、飛び込む上では覚悟が必要になるような役柄だと想像します。演じてみたいと思った理由を教えてください。

奈緒:もともと鳥飼茜先生の原作を読んでいたので、お話をいただいた時には「映像化するのか」という衝撃があって。すでにたくさんの読者の方々がいらっしゃる本作ですが、「もっと知ってもらいたい」「この物語に向き合ってみたい」と思うようなパワーを原作から感じていました。

また、男女の性の不条理というのはとてもデリケートな問題ですが、一人一人がそのことについて考えるきっかけをくれるような作品です。私自身、この作品を通して「どう考えているのか」と誰かと話してみたかったという気持ちもありました。

――原作を読んで、ご自身も考えさせられるものが多かったのですね。

奈緒:男女の性の違いということもそうですし、それに限らず、人間はお互いにあらゆる違いを持ちながら生きているもので、それによって不自由が生じることもあります。じっくりと考えられていない場合もあり、だからこそ一度立ち止まって、お互いの違いについて話す機会があると良いのではないかと感じました。

俳優という仕事で考えるならば、数ヵ月ごとに作品に取り組むチームが変わって、そこにはいろいろな人がいて、一人一人が違う考え方をしていることもあります。その時に、対立するのではなく「どのようにしたら歩み寄れるのだろうか」と考える機会は、日々においてたくさんあって。それぞれに違いがあることで、傷つけてしまうこともあれば、希望になることもある。これは本作のテーマに通じることで、そういったことについてより話しやすい環境になれば良いなと思っています。

――猪狩さんが、強烈なトラウマを抱える高校生の新妻を演じたいと思った理由も教えてください。

猪狩:「やらない」という選択肢は、僕の中にありませんでした。原作を読んだ時に、とても重大なテーマを描いた作品だなと感じて。僕自身、男女の性の不条理について改めて考える機会になりましたし、皆さんが考えるべきテーマでありながらも、なかなか考えられないことだとしたら、この作品に参加する意義はとても大きいなと。悲しんでいる人、苦しんでいる人の気持ちを芯まで理解することは難しいけれど、少しでも寄り添うことが出来るのであれば全力でやりたい、やらないとダメだと思いながら作品に向き合いました。

――風間俊介さんが、人当たり良く見えながらも、裏では女を見下して暴力を振るう早藤役を演じています。とても恐ろしい役柄として登場しますが、風間さんとの共演はいかがでしたか?

猪狩:早藤が、奈緒さん演じる(美鈴)先生に電話越しで、ひどい言葉を投げかけるシーンがあります。劇中だと僕が演じる新妻は別の空間にいるのですが、風間さんが「電話をかけているシーンを、新妻に見せたい」と提案してくださって、僕は早藤がひどい言葉を投げかける場面を目の前で見ることになりました。そこで改めて、早藤は本当に嫌なやつだ、本当にひどいやつだと心の奥底から思うようになって。そういった気持ちを引きずり出してもらって、風間さんにはものすごく感謝しています。

風間さんの演技は、「本当にこういう人じゃないよね?」と思うくらいリアルで、めちゃくちゃ怖かったですね…。風間さんは、早藤と新妻が対峙するシーンまでは、あえてドライな感じで対応されていたのですが、撮り終わってからは夢の国の話をしてきたりして(笑)。なんだかそれすらも怖くて、今でも若干、風間さんが怖いです(笑)。

■奈緒、猪狩の存在が「希望になった」

――美鈴と新妻は、次第に心の距離を近づけていきます。お二人の新境地となるような役どころだと思いますが、共演の感想や「すごい」と感じた点について教えてください。

猪狩:すごいと感じたことは、山ほどあります。

奈緒:あはは!

猪狩:だって奈緒さんですよ! 以前、「すごい俳優さんは、誰が相手役になってもうまい」という話を聞いたことがあるのですが、まさにそれです。自分も演技がうまいんじゃないか?と錯覚するくらい、奈緒さんのお芝居に引っ張っていただきました。僕は単独で映画に出演するのは初めてで、撮影も衝撃的なことばかり。最初の撮影が、先生と向き合うシリアスなシーンだったのですが、僕はどうしたら良いのかと右往左往しているような状態で…その中で奈緒さんは僕にとっての光でした。

奈緒:それはこちらも! 私にとっても猪狩くんは光でした。

猪狩:お互いに照らし合っていたということですか?

奈緒:本当にそう思う。私は、猪狩くんがこれまで触れたことのないお芝居に飛び込むということで、「初めての感覚がある」というお話を聞かせてくれた時に、すごくワクワクしたんです。この作品を撮り終えて、猪狩くんが「もう一度お芝居をしたい」と思ってくれたら良いなと思い、そこに向かっていくことは私にとって一つの目標であり、希望になりました。

私はアニメーションが好きなので、絵や技術で見せられるものはアニメーションに任せた方が良いと思っているくらいなのですが、一方で、人間がお芝居をすることの良さは、どんな役にも演じる人自身がにじみ出るところだと思っていて、これこそが私がこのお仕事の好きなところで。猪狩くんはすごく芯があって、その中で悩んだり、迷ったりしている姿が新妻くんという役柄にそのままにじみ出ていました。猪狩くんが引っ張ってくれたと言ってくれましたが、私も猪狩くん、新妻くんが目の前にいたから自然に湧いてくる気持ちがたくさんあった。お世辞ではなく、年齢も関係なく、心から尊敬する人です。

猪狩:ありがとうございます。とてもうれしいです。撮影が終わってからも、ふとした時に「あれで良かったのかな」「こうすれば良かったのかな」と思うこともありましたが、完成した作品を見て、葛藤しながら臨んだものが、一つ形となって実ったような気がして。もちろん観客の方に届けるものなので、本番はこれからですが。僕としてはお芝居の楽しさを知ることができた作品です。もしまた奈緒さんと共演させていただけるなら、次も先生と生徒という関係で、今度は明るい学園ものをやってみたいです。

(取材・文:成田おり枝 写真:上野留加)

 映画『先生の白い嘘』は、7月5日より全国公開。

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