主演・森山未來『大いなる不在』、“監督の実家”で撮影されたシーンがお目見え 緊迫感漂う本編映像公開
クランクイン! / 2024年7月11日 7時0分
森山未來が主演を務め、真木よう子、原日出子、藤竜也が共演、第67回サンフランシスコ国際映画祭で最高賞を獲得した近浦啓監督作『大いなる不在』より、森山演じる主人公・卓が長年疎遠となっていた父の家を訪ねる姿を収めた緊迫感漂う本編映像が解禁された。
本作は、2023年9月に開催された第48回トロント国際映画祭のプラットフォーム・コンペティション部門にてワールドプレミアを飾ったのち、第71回サン・セバスティアン国際映画祭でコンペティション部門のオフィシャルセレクションに選出。同映画祭の歴史上日本人初となるシルバー・シェル賞(最優秀俳優賞)を藤が受賞するという快挙を成し遂げた。
さらにはサン・セバスティアンの文化財団「アテネオ・ギプスコアノ」が最も卓越した作品に与えるアテネオ・ギプスコアノ賞も受賞。そしてアメリカ最古の国際映画祭、第67回サンフランシスコ国際映画祭でもコンペティション部門にて最高賞にあたるグローバル・ビジョンアワードを受賞。初監督作『コンプリシティ/優しい共犯』に続き、近浦啓監督が長編第2作目にして世界の映画祭で受賞、絶賛評を博した。また、ニューヨークで現地時間7月10日より開催される北米最大の日本映画祭ジャパン・カッツへの正式出品と、同映画祭で藤に特別生涯功労賞が授与されることも決定している。
幼い頃に自分と母を捨てた父が警察に捕まった。知らせを受け、卓(森山)は久しぶりに父・陽二(藤)の元を訪ねるが、そこには認知症で別人のように変わった父の姿があり、父の再婚相手の義母は行方不明になっていた。いったい何があったのか―。本作は、森山、藤の圧倒的演技が際立つサスペンスヒューマンドラマ。
この度解禁されたのは、卓が長年疎遠となっていた父・陽二の家を訪ねる本編映像。認知症になり、施設で暮らすことになった陽二の前から忽然と姿を消した義母・直美に関する手がかりを求め、卓と妻の夕希は陽二の家にやって来る。中に入ると、玄関のドアには数枚のメモが貼られ、鍵の部分はガムテープで覆われており、どこか異様な空気を醸し出している。リビングダイニングには物や服が散在し、庭に干された洗濯物はしばらく放置されているよう。雑然としている部屋の壁や机には大量のメモ書きが残されている。それらのメモ書きを見つめる卓…。
陽二の家として撮影で使用されたのは、近浦監督自身の父親が実際に住んでいた家。この本編映像は、実生活により生まれた空気感と、こだわり抜かれた美術装飾が共存した要注目シーンだ。
また本作のロケーションは、福岡県北九州市がメイン。近浦監督が少年時代を過ごした場所でもあるが、今回はノスタルジックな理由ではなく、頭の中にあった地理的なイメージに合致する場所が多いこと、そしてフィルムコミッションの充実により映画撮影に対するサポートが手厚いことから、この地域が選ばれたという。
近浦監督は「海が見えて、住宅街の向こうに山が見える地形というのがなかなか難しくて、北九州だと格好の地形がショットに収められるんですね」と説明。続けて「また、この作品に限らずですが、僕の場合、映画のストーリーを作るに当たって、構造よりも断片的な映像のイメージのほうが先に来る。そこからもう少し深いところにいった時に、自分がどんな問題意識を感じているのか、とか、ある種彫刻を削り出していくような感覚で、映画の形が出来上がっていくんです。僕の中でもっと大事なのは、アナログ時計の1秒と2秒の間にあるもの。理屈や構造上必要な何かではなく、自分が観客として劇場に座って体験したいもの。それが僕にとってはヴィジュアルだったり音だったりします」と語る。
藤は、陽二の家について「実際に近浦監督のお父さまが生活をしていた空気感がありました。そこに美術の方々が陽二と直美さんの生活の息吹を足している」と振り返り、「劇中に陽二が大切にしている手帳が出てくるのですが、監督とスタッフの皆さんがとても作り込んでいらっしゃったんです。メモ書きも手紙の数々も全て細かく作らており、いろいろな想像ができたんです」と美術装飾や小道具に助けられながら、芝居に取り組めたと明かす。森山もこの陽二の手帳が念入りに作り込まれていたことに驚いたと明かし、「(卓が)陽二を探す手がかりでもあり、自分にとっても演じる上で指針になった」とスタッフへ感謝を述べている。
映画『大いなる不在』は、7月12日より全国順次公開。
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