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眞栄田郷敦&高橋文哉&板垣李光人、『ブルーピリオド』撮影を通して魅かれた互いの才能

クランクイン! / 2024年8月3日 7時0分

(左から)板垣李光人、眞栄田郷敦、高橋文哉

 累計発行部数700万部を突破、「マンガ大賞2020」を受賞するなど国内外で話題を集めた山口つばさによる人気漫画を実写映画化する『ブルーピリオド』。もがき、悩みながら前に進もうとする人々を描く情熱ほとばしる本作で、眞栄田郷敦&高橋文哉&板垣李光人という、実力と人気を兼ね備えた若手俳優が切磋琢磨する間柄で共演を果たした。3人が撮影を通して感じたお互いの才能や、自身の武器など、俳優としての現在地について語り合った。

◆眞栄田郷敦の“引力”に高橋文哉&板垣李光人も惚れ惚れ!

 『東京喰種 トーキョーグール』『サヨナラまでの30分』の萩原健太郎が監督を務めた本作。周りの空気を読んで流れに身を任せて生きてきた矢口八虎(眞栄田)が、美術と衝撃的な出会いを果たしたことで世界が一変。国内最難関の美大を目指して奮闘していく様子をドラマチックに描く。高橋は、八虎とは犬猿の仲でありつつ、彼が美術部に入るきっかけを作るユカちゃんこと、鮎川龍二。板垣が、八虎の前に現れる天才ライバルの高橋世田介を演じた。眞栄田はクランクインの半年前、高橋と板垣は約3ヵ月前から絵の練習をスタート。吹き替えナシで絵を描くシーンに挑んだ、本物の熱気も見どころだ。

――正解のない美術の世界に飛び込んだ八虎は、「自分は天才ではない」と何度も打ちのめされながらも、「好き」という情熱を武器に夢に向かって突き進んでいきます。八虎からは“努力する才能”を感じますが、撮影を通して「この人のこういう才能はうらやましい」と思ったことがあれば教えてください。

眞栄田:板垣くんは、僕にはないモノの見方や芸術的なセンスがある人だと思いました。クランクイン前にみんなで絵画の合同練習をする機会があったんですが、板垣くんがちょうど僕の右隣に座っていて。おそらく世田介として絵を描かれていたと思うんですが、その時から本当に天才のような雰囲気があって、その時点で「八虎はこういう気持ちなんだろうな」という感覚が掴めたような気がしています。

板垣:世田介というキャラクターは、原作でも特徴的な筆の持ち方や絵を描く姿勢をしているんです。いかにそこにリアリティを持たせられるかということは、自分の中での課題でもあったので、そう言っていただけてすごくうれしいです。

眞栄田:高橋くんは、ユカちゃんという難しい役を素晴らしく演じ切っていて。その役作りは、本当にすごいと思います。ユカちゃんは美術部員と仲良く過ごしているというキャラクターなんですが、美術部って女性ばかりなんですね。高橋くんはその中でしっかりと空気感を作って、ものすごく打ち解けていた。ユカちゃんを演じる上ではとても大事なことだなと感じましたし、僕はそういったことが苦手なので「すごいな」と思いました。

――ユカちゃんは自分の“好き”について葛藤する、女性的な容姿の高校生です。眞栄田さんがおっしゃるようにビジュアル含め、ユカちゃんが放つオーラも見事に体現されていました。

高橋:ユカちゃんを演じる上では、「みんなに好きになってもらわないといけないな」と思っていました。僕自身も好きになってもらわないとダメだと思い、いつもの現場よりも前のめりにコミュニケーションを取りにいっていたような気がします。それにユカちゃんとして現場にいると、すごく女性と話しやすくて。メイクやエステ、ネイルの話をしていました。ユカちゃん役でなければできない、コミュニケーションの取り方だったなと思います。

一方で僕も、郷敦くんの醸し出す空気感に圧倒されていました。郷敦くんからは「前に進んで頑張っている」という力強いオーラを感じられて、こちらも「しっかりと付いていきたい」と思えるような背中の持ち主です。だからこそ僕は安心してユカちゃんとして現場にいられました。

板垣:僕も、郷敦さんが演じる八虎だからこそ、今回の世田介を演じることができたと思っています。僕はモニターで監督と一緒に、クライマックスで八虎がデッサンを描き上げるシーンを見ていたんですが、スタッフ全員の魂がすべてそこに集まっていると思えるくらいの迫力がありました。郷敦さんの持つ引力というか、そういった熱気は、僕がこれまでの現場でもあまり感じたことがないくらいすごいものだったので今でも鮮明に覚えています。

眞栄田:本作で僕は、八虎としてほとんどのシーンに携わらせていただきました。八虎が出ていないシーンでも現場で過ごしていたので、監督をはじめ、他の部署の方々と話す機会もとても多くて。作品についても、たくさんディスカッションをしながら臨んでいました。あのクライマックスは、1ヵ月半の撮影期間、みんなで積み重ねてきたものの集大成と言えるような瞬間だったのかなと感じています。

――高橋さんと板垣さんは本作ではご一緒するシーンがなかったものの、いろいろな作品で共演を重ねています。

高橋:板垣くんとは年齢も近いし、プライベートでも仲良くしている間柄なのですが、お金の使い道や趣味など、すべての価値観が僕とは真逆なんです。それなのになぜか仲が良い。理解できないことが多いのに、なぜか板垣くんのことがわかるような気がする。なぜなんだろう。「自分を表現することが得意ではない」と言っているのですが、そんな彼の中身を僕はとても魅力的に感じるし、一緒に頑張ることができています。

板垣:僕も、なぜ仲が良いのかわかっていないです(笑)。食の好みだけは一緒なんだよね。

高橋:食の好みがどれだけ大切かを痛感しています(笑)。

板垣:他の現場で見ていても、文哉は、自分が引っ張っていくというより、みんなに寄り添ってくれる人だなと感じていて。文哉がいると、全員が横に並んだ形で前に進んでいくことができる。先ほどの美術部員の皆さんとのエピソードを聞いても、やっぱりそういう人なんだなと実感しました。

◆『仮面ライダーゼロワン』が役者としての大きな転機に(高橋)


――八虎は、1枚の絵との出会いをきっかけに美術の世界にのめり込んでいきます。皆さんにとって「役者をやっていきたい」と思えた出会いがありましたら、教えてください。

眞栄田:ひとつスイッチが入った瞬間というと、萩原健太郎監督との出会いはとても大きなものでした。初めて萩原監督と作品を撮らせてもらった時には、悔しい思いをした部分もあって。また絶対にご一緒したいと思っていました。以前、萩原監督から本を貸していただいたことがあって。芝居のことを理論的につづった英語の本で、今でもそこに書かれたことを軸に脚本を読むようにしています。実は僕、その本をずっと借りたままでいたんです。「萩原監督にリベンジできたときに返そう」と思っていて、本作のクランクアップの時に返すことができました。

高橋:僕はスーパーで出会った、7歳の男の子です。『仮面ライダーゼロワン』のオーディションで合格をいただいたことで僕の役者人生が始まりましたが、ある日スーパーで、声をかけてくださった親子がいらっしゃって。お母さんが「『仮面ライダー』に出ている高橋文哉くんだよ」と息子さんに説明をしたのですが、その時の僕は帽子をかぶって前髪を下ろしていたので、息子さんが僕だってわからなかったんですね。帽子をとった瞬間に「ああ!」と飛び跳ねて喜んでくれて、お母さんも「この子が、いつも楽しませていただいています」とお話してくださった。そこで責任を感じると共に、頑張る意味を見つけられたような気がしています。

板垣:僕も、作品を受け取ってくださる方の存在が大きいです。『ここは今から倫理です。』というドラマで、精神的にいろいろと抱えている役をやらせていただいたことがあって。とても難しい役ではありましたが、放送後に同じような境遇にいる方からメッセージをいただいて、「作品や芝居を通して、こんなにも人の心を動かせるものなんだ。自分はあらゆる人たちと作品をつなぐことができる場所にいるんだ」と実感しました。そこで、役者という仕事はとても面白いものだなと改めて気づくことができました。


◆「コンプレックスも強みになる」(板垣)


――「情熱は武器になる」と感じられる本作ですが、ご自身にとって俳優としての武器だと思うものはありますか。

眞栄田:顔面が変わることでしょうか。もちろん髪型や衣装などで雰囲気は変わりますが、僕は気持ちによっても顔面が変わるんです。顔つきではなくて、顔面(笑)。本作でも冒頭とクライマックスの八虎では、違う顔面をしているなと。自分でも不思議だなと思います。

高橋:そこに存在するための努力を惜しまないことです。今回で言うならば、「ユカちゃんとして存在するためには何をするべきなのか」と考えたりする時間がとても好きで。役づくりのために減量に挑んだり、ネイルやエステに通ったり、ストレッチをしたりといろいろなことをしましたが、ユカちゃんを見た人に「かわいい」と思ってもらえるように頑張りました。ここまで「かわいくなりたい」と思ったのは初めてです。八虎とユカちゃんが2人で絵を描くシーンに向けて体づくりをして、あそこまで自分を追い込んだのも初めてのこと。追い込むことすら、気持ちよく感じました。

板垣:武器になるのか、良いのか悪いのかわかりませんが、僕は常に「何も決めずに生きていたいな」と思っていて、水のようにありたいと思っています。

眞栄田:水のよう! なんだかすごくわかるな。

板垣:目標を決めたとしても、人間というのは形が変わってくるものだと思うんです。それならば出会う人、出会うものから吸収をして、その瞬間、瞬間を大事にしていきたいと思っています。

――八虎はダメな自分も受け入れて、ありのままの自分で前に進んでいこうとします。皆さんにとって、以前はコンプレックスだったけれど、今は受け入れられるようになったというご経験はありますか?

眞栄田:僕は中学、高校生の頃はものすごくカッコつけていて。自分の能力以上のものを持っているようなフリをしたり、プライドが高い人間だったように思います。でもこの仕事を始めてみると、周りには自分よりも優れている人ばかり。カッコつけているのは、ダサいなと思うようになりました。だから今は、プライドはまったくないですね(笑)。本当の自分って何だろうと考えた時期もありますが、今はダメな自分も自分だし、それを磨いていきたいなと思っています。「これが自分だ」と言える自分になりました。そういった部分もそうですし、八虎を見ているとものすごく自分と重なって。心から共感できる役だったなと感じています。

高橋:コンプレックスとは違いますが、負けず嫌いな自分でよかったなと思っています。生まれた時からそうだったのではと思うくらいの負けず嫌いですが、俳優業は勝ち負けがあるものではないので、自分で頑張る源を見つけないといけないお仕事だと思っていて。ライバルが自分の中にいるような感覚で、僕は負けず嫌いだからこそ頑張れるんだなと感じています。

板垣:僕は細かいもので言えば、1年前、1ヵ月前、1週間前の自分を恥じらう人生ですが…。

眞栄田&高橋:あはは!

板垣:コンプレックスに思っていたこと、たとえば周囲に好かれる人って、明るい人や楽しい人かなと思いますが、僕は温度が低いようなところがあって。でもそんな僕だからこそできることもあるのかなと仕事を重ねる中で身に染みて感じられるようになりました。

(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)

 映画『ブルーピリオド』は8月9日より公開。

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