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塚原あゆ子監督、UDI・4機捜メンバーとの絆「会わないうちに“お母さん”に」 新作『ラストマイル』に込めた思いとは

クランクイン! / 2024年8月22日 7時0分

映画『ラストマイル』場面写真

 満島ひかりが主演を務め、岡田将生が共演するサスペンス映画『ラストマイル』。ドラマ『アンナチュラル』『MIU404』(どちらもTBS系)と同じ世界線で物語が展開する“シェアード・ユニバースムービー”である本作は、製作決定の一報からファンを歓喜させている。この3作品を生み出したのは、脚本家・野木亜紀子、新井順子プロデューサー、そして監督の塚原あゆ子。今回は塚原監督に、新たに生まれた“3作目”への思いや、シェアード・ユニバースムービーとなった理由、そして『アンナチュラル』『MIU404』のメンバーとの再会を聞いた。

 不自然死究明研究所=通称UDIラボで、遺体を通しさまざまな「死」と向き合う姿が描かれた『アンナチュラル』、機動捜査隊(通称:機捜)の第4機動捜査隊が社会問題をも内包する事件に立ち向かった『MIU404』。3作目となる『ラストマイル』で描くのは、ブラックフライデーを目前に控える物流業界で起きた爆破事件。多くの人がネット通販や宅配に依存している現代社会に一石を投じる、塚原監督×野木脚本の真骨頂ともいえるストーリーに仕上がっている。

■野木亜紀子の脚本には毎回「どうしよう」

――『MIU404』以来となる、脚本家の野木亜紀子さん・新井順子プロデューサーとのお仕事はいかがでしたか?

塚原:(『MIU404』後も)定期的に会っていたので、「久しぶりに3人でやろう」となったわけでもないんです。『ラストマイル』は結構前に撮っていて、企画自体も長く動いていたので、久しぶりというよりは「ずっと一緒にやっている」という感じです。

――脚本を読まれたときの印象は?

塚原:毎回そうなんですけど、「わあ~……どうしたらいいんでしょう」って感じで(笑)。これだけ物流業界の闇に切り込んでいるくせに、取材しなきゃダメそうな内容になってて「絶対誰も取材受けないだろうな……」って。初めは「これどうやるのかなあ」って他人事に読んで、脚本を閉じた後にいつも「うーん、どうしよう」って思います。

――本作について、野木さんがエックスで「今回はさすがにいくらなんでも無理だろ! と言われるかなーと思いつつ脚本書いたんですが、やっぱりどうにかして撮ってしまう塚原監督こわい。」とポストしていました。どのシーンのお話なのでしょうか?

塚原:本作に登場する構造の建物が世の中にないのですが、新たに建物を建てるわけにはいかない。では、そう見せるようにするにはどうするか、かつ、限られた予算なので、簡単なロジックでどう見せたらいいのか工夫しました。CGでお金をかけるべきことではなく、ちょっと難しいなと。スタッフと美術打合せで「どうしようかなあ……」って、みんなで頑張ったって感じです。

■“アベンジャーズ計画”ことシェアード・ユニバースムービー誕生秘話

――シェアード・ユニバースムービーである本作。『アンナチュラル』『MIU404』の世界とつなげる形にすることは企画立上げの時点で決まっていたのでしょうか?

塚原:映画の企画を通すのはとても難しくて、なかなか通らない。自分たちのカードを魅力的に見せるにはどうしたらいいのかという中で、私たちは「アベンジャーズ計画」って言ってたけど(笑)、『アンナチュラル』『MIU404』のみんなが出たら……と。私もあの頃のみんなの“今”が知りたい派なんです。彼らと一緒に生きているつもりで今も生きてるんで。

――2作品のキャラクターたちは本作のストーリーにもしっかり絡んでいました。彼らを出演させるまでには困難もあったのではないでしょうか?

塚原:一度に合わせるのがなかなか難しいキャストたちなので、スケジューラーとプロデューサーは「なんだこれー!」って思ってたと思います。『MIU404』と『アンナチュラル』で映画を作りたかったのではなくて、『ラストマイル』という世界、2024年の野木亜紀子の物語を届けたい。野木さんは、落としどころに関してはセンシティブに苦しんだんだろうなと思います。「ちょっと出るくらいなら出ないほうがいい」とずっと前から言っていて。

――監督もそう思われていましたか?

塚原:どうかなあ……事件が起きれば必ず警察は出てくる。その警察の出だしは絶対に機捜なんです。そして死体が出るシーンがあるなら『アンナチュラル』の出番だろうと思いました。ただ、彼らを出すためのストーリーテリングをしだすのであればやめたほうがいいと思います。彼らの話ではなく、物流の話なので。「『MIU404』『アンナチュラル』の映画を見た」ではまずいんです。「『ラストマイル』を見た」って思ってもらいたいし、かつ、あの頃の仲間が今も生きていることが胸アツで、(見た人に)間に合うんだ、絶望しない毎日を生きてほしい、というのがメッセージとして残ればいいなって。

■「会わないうちに“お母さん”に」UDI・4機捜との撮影は?

――UDIや4機捜のメンバーとの久しぶりの撮影を振り返ると?

塚原:同窓会みたいな感じでした。「わ~久しぶり~!」からの「じゃあね~!」って感じです。あっという間。

――『アンナチュラル』石原さとみさんと衣装合わせの時に、久々の再会にお互い泣きながらハグをされたというお話も伺いました。

塚原:会わないうちに“お母さん”になってる(笑)。素敵じゃないですか?

――絆がやっぱり深いんですね。2チームとの撮影はスムーズに進みましたか?

塚原:みんな、キャラクターを思い出すのに時間かかるかな? なんて緊張してたんじゃないですかね。UDIに至ってはセットを完全再現しているので、セットに入って衣装を着て、「わあ~」って言ってるうちに自然に(『アンナチュラル』のキャラクターに)戻っているなって感じでした。

――『ラストマイル』の中でも皆さん全然違和感がなくて。久しぶりに彼らに会えてうれしかったです!

塚原:私もうれしかったです。「どう? 仕事してたの、あんたたち?」って思いながら見てました。

■ドラマに続き主題歌担当する米津玄師は「キャストの1人」

――『アンナチュラル』『MIU404』に続いて、今回も主題歌は米津玄師さんです。

塚原:食事の場などプライベートで会ったことはあるんですが、「Lemon」や「感電」を作る時には会っていないんです。面識はもちろんあったんですけど、お仕事として会うのは初めてで。「どういう曲がやりたいですか?」とか「どういう曲にしましょうか」なんて、米津さんと喋る日が来るとは思いませんでした(笑)。

――今回直接お仕事の場でお話してみていかがでしたか?

塚原:米津さんと喋ったことでインスピレーションというか、すごく刺激を受けて現場の絵作りをしたので、「わあ、いいことあったなあ、会ってよかったなあ」って思いましたね。

――『ラストマイル』主題歌「がらくた」のサビの歌詞は、物語ともつながっている印象を受けました。初めて楽曲を聞いた時、率直にどう思われましたか?

塚原:「大事なものが詰まってるな」って感じがしました。映画ならではの、エンドロールが流れる間の時間をこの曲を聞いて過ごしてもらえるのは幸せだなと思いますね。あの曲を聞くだけでも映画館で見る価値があると思います。

――ドラマでは、毎度良いところでバンと曲がかかっていて、物語の1つの要素になっている印象でした。映画ではエンドロールとともに曲が流れます。

塚原:あまりそこには変わりがなくて。米津さんもキャストの1人って感じなんですが、テレビだったら、例えばタイトルベースという主題歌用の映像を作るよりはもっと作品に登場してもらいたい、作品の中で歌ってもらいたいからねじこむんです。でも映画は主題歌も含めて最後の味わいなので、ロジック的には全く同じことをやっているつもりでやっています。「読後感にどう作用するか」が同じなので。映画は、エンドロールまで見てもらってあの間合いとあの余韻まで含めた状態で“終わり”という文化なので、そういう意味ではまったく同じです。

――確かにエンドロール中「がらくた」を聞きながら、「ずっとここに居たいな」と思いました。

塚原:最後のキャストが今出演したなという感じがします、米津さんが歌い出すと。

■『ラストマイル』に込めた思い「すべての仕事に敬意を払う優しい世界であってほしい」

――この世界を再び見られることを楽しみにしているファンの方、『ラストマイル』でこの世界を初めて味わう方にメッセージをいただけますか?

塚原:基本的には(3作品は)まったく別の作品。「ラストマイル」(配送の最終拠点から客へ荷物を届けるまでの区間を意味する)って言葉自体、知らない人も結構いると思うんです。荷物を届けてくれる人たちの顔を覚えていない世界の中で、「お世話になってるな」ってすべての仕事に敬意を払う優しい世界であってほしいというメッセージを込めています。楽しく見てほしいし気軽に来てほしいけど、何か受け取ってもらえるものがあれば幸いです。(取材・文:小島萌寧)

 映画『ラストマイル』は8月23日公開。

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