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岡田将生、『虎に翼』で新たなチャレンジ「“クセがない”航一と真っ向から戦っている」

クランクイン! / 2024年8月17日 7時0分

岡田将生

 脂の乗った30代にさらに飛躍し、今もっとも目が離せない役者の一人となった岡田将生。NHK連続テレビ小説『虎に翼』の裁判官役も話題を呼ぶなど、観る者に「この人のことをもっと知りたい」と思わせるようなキャラクターを次々と生み出している。監督・塚原あゆ子×脚本・野木亜紀子×プロデューサー・新井順子の強力タッグで贈る映画『ラストマイル』では、豪華布陣の中でまた新たな表情を見せている岡田。20代前半は「この仕事を続けていけるのか」と働き方に悩んでいたと告白した彼が、壁を打破できたきっかけや、「クセのある役が似合う」と言われることへの本音。40代への展望など、心豊かに俳優業に挑んでいる現在地についてやわらかな笑顔で語った。

◆満島ひかりとの14年ぶり共演に緊張!「満島さんにどれだけ違った姿を見せられるか」

 本作は、ドラマ『アンナチュラル』&『MIU404』(どちらもTBS系)と同じ世界線上で物語が展開する(シェアード・ユニバース)、完全オリジナルのノンストップサスペンス。流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜、世界的なショッピングサイトの最大手から配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。やがてそれが、日本中を恐怖に陥れる謎の連続爆破事件へと発展していく。

 爆発的な人気を集めたドラマと世界観を共有する作品で、映画化が発表されるやファンから歓喜の声が上がった話題作だ。岡田は「塚原監督、野木さん、新井さんによるチームとは、きっと誰もが一度は組んでみたいと思っているはず。今回お声がけいただいて、本当にうれしかったです」としみじみ。『アンナチュラル』や『MIU404』の登場人物が出てくるたびに、岡田自身も「え!? 出てくるの!? 嘘!」と驚きながら脚本を読んだという。「最初にいただいた脚本は決定稿ではなかったので、『そういうシーンはカットされるのかな』という気持ちで読んでいたら、決定稿にもそのまま『アンナチュラル』や『MIU404』の皆さんのお名前があって。本当に驚きました」と笑いながら、「2つのドラマと同じ世界線ではあるけれど、『ラストマイル』には新たな気持ちで臨もう。塚原監督や満島さんと話し合いながら作り上げていこうと思っていました」と意気込みを振り返る。

 爆破事件の舞台となるショッピングサイトの関東センター長の舟渡エレナを演じるのは満島ひかり。エレナに振り回されながらも、共に事件解決に奔走する同センターのチームマネージャー・梨本孔役を岡田が演じている。満島とは映画『悪人』(2010)以来14年ぶりの共演となった。「満島さんの作品はどれもステキで、満島さんが出ることによって作品の色も変わる。そういった作品をたくさん観てきたので、またご一緒できたことは本当に光栄です」と喜びを噛み締めた岡田は、「『悪人』の頃、まだ僕は20歳でした。今年は35歳になるので、どれだけ違った姿を満島さんに見せられるかというのは、僕にとってひとつの挑戦だなと思っていました。だからこそ、いい緊張感の中で一緒にお仕事をさせていただきました」と感無量の面持ち。

 お互いの内面を知るごとに、エレナと孔の距離感が少しずつ変化していく過程も見どころだ。「エレナという役は、満島さんにしかできない役」と力を込めた岡田は、「2人で会話を重ねるシーンが多かったのですが、満島さんとだからこそ、エレナと孔の関係性を積み上げていけたんじゃないかなと思っています。エレナと孔の距離が少し縮まるシーンでは、満島さんの提案によって変化していった部分もあって。そのおかげで僕自身、孔に深みを持たせることができたように感じています」と並々ならぬ信頼を寄せる。

◆20代前半は「どこか壊れかけていた」


 塚原監督と野木氏、新井プロデューサーがタッグを組んだ作品の魅力は、「エンタメでありつつ、社会的な問題を僕たちに提示してくれるところ」だと分析した岡田。その言葉通り、本作でも連続爆破事件の謎がハラハラとする展開と共に描かれるだけでなく、日々心を込めて働く市井の人々の姿や、一方で過重労働が引き起こす問題も浮き彫りとなる。映画を観終わった後には、物語の余韻に浸ると同時に「働き方」について考えさせられる人も多いかもしれない。2006年に17歳で俳優デビューした岡田にとって、働き方に悩んだ時期はあるだろうか。

 すると岡田は「20代前半は、どこか壊れかけていたかもしれません」と告白。「次々と想像もしていなかったような大きな仕事をいただいたり、すごい方々とお仕事をご一緒するプレッシャーもある。きちんと立ち止まって考える時間も少ないし、どこかちゃんと息ができていないような、うまく人と会話ができていないような時期がありました。目まぐるしく変化していく環境を、うまく受け入れることができずにいたんだと思います。この仕事を続けていけるのだろうかと思うこともありましたし、そういう状況から目を逸らしたり、逃避しているような瞬間も多々ありました。自分のキャパって、意外と分からないものですよね」と苦しい時期を振り返り、「20代後半くらいから、少しずつそれが分かるようになって。自分のペースで役者業と向き合えるようになりました」と明かす。

 助けになったのは、家族や先輩の存在だ。「家族はいつも支えてくれましたね。あとは小栗旬さんや生田斗真さんなど、上の世代の方がいつも時間を見つけて会ってくださった。『一回、止まれ』という時もあれば、『走れ』とアドバイスをくれることもあって。頼もしい先輩たちが話を聞いてくれるだけでも、ものすごく心強かったです」と感謝しきり。

 「僕も少しずつ年下の子たちと共演する機会も増えてきた。先輩に支えていただいてきたからこそ、僕も若い世代の方たちが悩みを抱えていたら、気づいてあげられるような存在になりたいなと思っています。今の20代前半の役者さんたちって、悩みなども乗り越えていけるような姿を目にすることもあって本当にすごいな、頼もしいなと思うのですが、自分でも気づかないところでストレスを抱えてしまっている人もいるかもしれません。日本のエンタメ業界も働き方改革が進みつつありますが、そういった問題意識を持ったり、若い世代を支えていけるような意識を持つことも大事だなと思っています」ともがいた過去があるからこそ、しっかりと地に足をつけ、物事を俯瞰しながら歩みを進めている。

◆『虎に翼』で新たなチャレンジ「クセが強い役で、終わらせたくない」


 感謝や情熱がにじむ岡田の言葉からは、彼の人間力がひしひしと伝わる。その人間力が注がれることで、30代半ばを迎えた岡田は味わい深いキャラクターを次々と生み出している。本作で演じた孔は「人生にときめいていない」とエレナに言い放つが、なぜそのような男になったのかという背景が分かるごとに、どんどん魅力があふれてくるようなキャラクターとなった。また岡田が、主人公の寅子と交流を深めていく裁判官・星航一に扮している『虎に翼』では、航一が寅子にやさしさや笑顔を見せるたびに、彼に釘付けになった視聴者も多いことだろう。

 個性的な役までを演じ切り「クセが強い役が似合う」という評価を受けることも増えた岡田だが、「実は今、それが僕の中で課題になっていて。本作の孔もそうですが、等身大の役を演じることは僕にとって一番難しくて、怖いことでもあって。等身大の役を演じられる人は、本当にすごいなと思うんです」と吐露。

 「『虎に翼』の航一は、僕も『クセが強い』と感想をいただいているのを見かけたりしましたが、僕としては航一にはクセがなく、真っ向から戦っているつもりです。面倒臭い人間に見えても、そこにはいろいろな理由がある。“クセが強い役”というだけで終わるのではなく、もっと知りたくなるような人物像を作っていかなければいけないなと思っています。そういった意味でも、ものすごく挑戦的な役だなと。これまでできていなかったことに真剣に向き合って、やり遂げようとしている感覚がある。逃げずに新しい表現に挑戦していることが、40代につながっていけばいいなと思っています」と未来を見つめる。

 そして「『ラストマイル』という大作に呼んでいただけたことも、僕にとってはまるでご褒美のよう。今後への力になります」と目尻を下げた岡田。穏やかな笑顔を絶やさず、それでいて役者としてのやりがいと覚悟がみなぎる彼の姿に、こちらまで心が奮い立つような気持ちがした。(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)

 映画『ラストマイル』は、8月23日全国公開。

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