主演・井之脇海『ピアニストを待ちながら』ポスター&予告編解禁
クランクイン! / 2024年9月3日 18時0分
井之脇海が主演し、木竜麻生らが共演する七里圭監督最新作『ピアニストを待ちながら』より、予告編、ポスタービジュアル、スチール写真10点が解禁された。
本作は、『のんきな姉さん』(2004)でデビュー後、『眠り姫』(2007)、建築家との共作『DUBHOUSE』(2012)や「音から作る映画」プロジェクト『背 吉増剛造×空間現代』(2022)などを撮り、今年デビュー20周年を迎えた異才・七里圭が、世界的な建築家・隈研吾が手掛けた村上春樹ライブラリーの館内で全編撮影した最新作。2022年10月に早稲田大学にて45分版が初披露、翌2023年1月に舞台あいさつ付きで特別上映されたが、この度、61分の劇場公開版として生まれ変わった。
真夜中の図書館で目を覚ました瞬介は、なぜか外に出られぬまま、旧友の行人、貴織と再会する。いつまでも明けない夜、学生時代の演劇仲間だった3人は、かつて上演できなかった芝居の稽古を始める。それは行人が作演するはずだった「ピアニストを待ちながら」であった―。
瞬介を演じたのは、9歳からスタートさせた役者のキャリアと、大学で映画制作を学んだ経歴も持つ若手実力派の井之脇海。『東京ソナタ』(2008)で天才ピアニスト少年を、『ミュジコフィリア』(2021)でも現代音楽に目覚める学生を演じた井之脇は、本作でも吹き替えなしでピアノの演奏を披露している。
瞬介の大学の同級生・貴織役には、『わたし達はおとな』、『福田村事件』、『熱のあとに』などの話題作で爪痕を残してきた木竜麻生。瞬介の友人で演劇青年の行人には、『ミスミソウ』、『劇場版 美しい彼〜eternal〜』の大友一生。また、瞬介よりも上の世代にあたる謎めいた存在感を持つシングルマザーの絵美を『王国(あるいはその家について)』、『ナミビアの砂漠』の澁谷麻美、中年男の出目を『夜明けのすべて』、『蒲団』の斉藤陽一郎がつとめ、変化球のクインテットを奏でる。
予告編は、井之脇が奏でるピアノの旋律にのせて、“出られない図書館”の中で舞台の稽古をするキャラクターの姿や、「なぜ彼らは出て行かないいのか?」という意味深な問いなどが映し出され、最後は瞬介が「頭おかしくなりそう」とつぶやく姿で終了。本作の迷宮的世界観を凝縮させた一編となっている。
ポスタービジュアルは、グランドピアノを弾く井之脇の後ろ姿と、木竜と大友の美しい横顔を配置したもの。その上に、世界的建築家の隈研吾が手掛けた、村上春樹ライブラリーのエントランスの曲線を模したタイトルロゴと、木材をアーチ状に配したトンネル状の大屋根の一部を大胆にレイアウトしている。
また今回、演劇作家・小説家の岡田利規、映画評論家の荻野洋一、脚本家・演出家の関田育子から本作に寄せられたコメントが到着。岡田は「図書館という空間が演劇によって異化されるのを、この映画を見る者は目の当たりにする。そこで演劇のリハーサルが繰り広げられること。しかも真夜中に。それによってそこに結界が生じる。そこがまぎれもなく異界になる」と、本作の魅力を演劇作家ならではの視点で解説している。
そして、早稲田大学国際文学館開館3周年と『ピアニストを待ちながら』の公開を記念し、10月8日、物語の舞台となった村上春樹ライブラリーにて、七里監督とアメリカ文学研究者・翻訳家の柴田元幸による“映画と文学”にまつわる対談イベントの開催が決定。さらに9月28日より、シアター・イメージフォーラムにて七里監督デビュー作『のんきな姉さん』と、15年間毎年上映が繰り返された伝説の作品『眠り姫』が再上映。『のんきな姉さん』は、9月28日から10月4日まで、『眠り姫』は10月5日から10月11日まで、連日21時より1週間限定レイトショーとなる。
映画『ピアニストを待ちながら』は、10月12日よりシアター・イメージフォーラムにてモーニング&レイトショー上映。
岡田利規、荻野洋一、関田育子のコメント全文は以下の通り。
<コメント全文>
■岡田利規(チェルフィッチュ主宰/演劇作家・小説家)
図書館という空間が演劇によって異化されるのを、この映画を見る者は目の当たりにする。そこで演劇のリハーサルが繰り広げられること。しかも真夜中に。それによってそこに結界が生じる。そこがまぎれもなく異界になる。劇場でない空間が演劇によってまざまざと異化されるさまが、そのような演劇の上演そのものに立ち会う以上にそれを捉えた映画、つまり、この「ピアニストを待ちながら」という映画を見ることによって、よりまざまざと味わうことができるように思われるのは、しかし、なぜなのだろう?
■荻野洋一(映画評論家、番組等構成演出)
死の舞踏のフィニッシュが永遠に先送りされる。七里圭は現代映画をバロック化させた。ノイズと風景の反復によって、かつてここに誰かがいたはずなのにとブツブツ唱えながら「誰(た)が袖」を素描し続ける。「誰が袖」とはエンプティショットであり、七里映画にあっては、誰かが写っているショットも、本質的にはエンプティショットなのだ。エンプティショットがリフレインされ、延滞され、フットマークが貼り直される。
■関田育子(ユニット[関田育子]代表/脚本家・演出家)
『ピアニストを待ちながら』は、現今の社会を意識した実験的な作品であると同時に、遥か昔から問い続けられてきた「存在」の問題に、ある視座をもって応答する作品だと感じた。しかし、観客の目に映るのはユーモアに溢れたシーンの数々であるために、肩の力を抜いて鑑賞するのが得策です。笑ける余白のある時間を過ごしたい方におすすめです!
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