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チェ・ジウにとって“怖いもの”とは? 「それでも生きていかないと」幸せのための努力も明かす

クランクイン! / 2024年9月6日 7時0分

チェ・ジウ

 韓国ドラマ『冬のソナタ』『天国の階段』などに出演し、日本の韓流ブームの火付け役となったチェ・ジウが7年ぶりにスクリーン復帰した映画『ニューノーマル』が現在公開中だ。韓国ソウルを舞台に、6人の男女の絡み合う奇妙な運命が日常を一転させ、身近な出会いの裏に潜む恐怖と絶望を描いたスリラー作品の本作で、ジウは笑うことができないヒョンジョン役に挑戦。今回クランクイン!は来日したジウにインタビューを行い、これまでのイメージを覆す役柄への思いや、「怖くて見られないんです」と語るスリラー作品への本音、韓国トップスターとして君臨し続けるジウにとって“怖いもの”などを聞いた。

■イメージを180度覆すような役に挑戦!

――久しぶりの映画出演になりますが、撮影に入るまではどのような気持ちで過ごされましたか? また撮影中や、撮影を終えての気分はいかがでしたか?

チェ・ジウ:先日ドラマ『ブラックペアン シーズン2』(TBS系)にも出演したのですが、日本の方たちが私のことを覚えていてくださり、温かく迎えてくださったことに、本当に感動しました。映画は久しぶりなのですが、コンスタントに活動はしていて、常にいつ作品に出てもいいように心の準備をしていました。

ただ、『ニューノーマル』に関しては、これまでに演じたことのない役柄なので、撮影に入るまでは、「果たして私がこの役をうまく演じられるのだろうか」とか「この役をどんな風に表現したらいいんだろうか」と、心配したり不安に思ったりしていたんです。そんな思いがあったので、事前にチョン・ボムシク監督とたくさんお話をしました。

私の登場シーンは二人のシーンが多かったので、現場に入ってからは、相手役の方と狭い空間でリアルな雰囲気を出せるように心がけていました。心地良い緊張感が現場にあったので、リアルな空気感を出せたんじゃないかと思います。

この映画は私にとっても新しい試みだったので、撮影を終えてみて、「今回の挑戦は自分にとって良いことだったんじゃないかな」と思えています。日本の観客の皆さんにも、どんな風に受け入れてもらえるのか、すごくワクワクしています。新しい私の姿に良い反応があればいいなと思っています。

――映画の中でジウさんが演じたヒョンジョンという女性は、あまり背景が描かれていませんでした。ジウさんは、どのような女性だと想像してこのキャラクターを演じられていましたか?

ジウ:出演を決めた時点でもヒョンジョンに関する詳しい説明はなかったんですね。でも、ボムシク監督は私にフリッツ・ラング監督の1931年の『M』という映画をオススメしてくれました。監督は「この映画を見ればインスピレーションも得られるし、理解の助けになるのではないでしょうか」と言ってくださって。実際に『M』を見てみたら、「監督はこのような考えで映画を撮ろうとしているんだな」ということが理解できました。

おっしゃるように、劇中のヒョンジョンが現在に至るまでどんなことがあったのかという過程は描かれていないんですね。なので、監督とも話し合いながら、また私自身でも「ヒョンジョンの子どもの頃はどうだったんだろう?」「これまでに、こんな事件があったかもしれない」などと想像したり話し合ったりしながら人物像を作っていきました。

――今までのジウさんのイメージを180度覆すような役を演じられたと思います。監督から、なぜジウさんにヒョンジョンという役を演じてほしいのかということを聞きましたか?

ジウ:この作品は、スリラーものだと聞いていたので、シナリオを読む前は、どんなに怖いお話なんだろうとドキドキしていたんですね。でも、シナリオを実際に読んでみたところ、怖いだけではなくて、ユニークでウィットに富んだところもありました。各キャラクターをどんな方が演じるんだろうと楽しみなところもあって。でも、シナリオを読んでいたときは、まさか私がヒョンジョンを演じるなんて思ってもいなかったんです(笑)。

過去に私が演じてきた役とまったく違った役だったので、監督にも「私にはどうしても演じられないと思います。自信がありません」とお伝えしたのですが、監督からは「シナリオを書いている時から、念頭に置いていたから、ぜひやってほしい」と言われたんですね。監督としては、新しい私を引き出したかったそうで…。私も新しい部分を見せたいという気持ちはあったし、監督の過去作である『コンジアム』を見て、たくさんの人に愛される作品を撮っていると思ったので、監督を信じて演じてみようと決意しました。

――劇中のエピローグで登場人物たちが一人でご飯を食べるシーンが印象的でした。ジウさんは一人でご飯を食べることはありますか?

■チェ・ジウが「怖い」と思うものは?

ジウ:この映画で一番ポイントとなるキーワードは「孤立」だと思うんですね。そういう部分がエピローグに表れていたと思います。でも私は家に一人でいることは割と好きなんですけど、一人でご飯を食べるのを楽しめないタイプなんですよね。できれば家族と一緒に家ではご飯を食べたいし、仕事のときはスタッフさんと一緒に食べたいという気持ちがあって、なかなか一人でご飯を食べたというエピソードはないんです。

――ジウさんは、ご自身の撮影のとき以外でも、現場でほかの方の演技を見られることが多いと聞きましたが、今回もそのようなことはあったんでしょうか?

ジウ:今回は、他の方の撮影現場は見られなかったんですね。というのも、自分が出演しているシーン以外は極力、見ないようにという監督の考えがあったんです。監督の中にはきっと明確な意図があったんだと思います。だから私も自分のキャラクターを演じることに集中して、相手の俳優さんとだけ交流をして演じました。

実は『ニューノーマル』では、台本の読み合わせもなかったんです。出来上がった映画を見て初めて、それぞれのシーンがこんな風につながっていたんだと、驚きを持って見ることができました。

――監督からのオススメの映画以外に、この映画の準備のために見た作品はありますか?

ジウ:実は私は、スリラーやホラーといったジャンルの映画が怖くて、最後まで見られないんです。静かなところに、急に何かが出てくるようなシーンがあると、ドキっとして心臓が破裂しそうになってしまって。なので、監督の『コンジアム』も見てみたんですけど、怖すぎて最後まで見られなかったくらいなんです。監督にも率直に「『コンジアム』を見ようとしたんですけど、怖くて最後まで見られませんでした」とお伝えしました。

普段は、日本のアニメも見ますし、ヒーローものなんかも好きです。メロドラマやコメディーも好きなんですけど、本当にスリラーやホラーだけが怖いんです。

――ジウさんが日常で「怖い」と思うことはなんですか?

ジウ:この『ニューノーマル』という映画のイントロの部分にニュース映像が出てくるのですが、この映像は、実際に韓国で起きた事件を監督が編集したものなんですね。近年だとウイルスに接することを怖いと思いました。コロナと共に私達は3年間くらい過ごしましたが、生きている中でこんなことが起こるとは想像もしていませんでした。

最近はニュースを見るのも怖いですよね。以前だったらありえなかったような恐怖が日常になっています。そんなニュースを見て、自分たちもその事件を体験しているような気持ちにもなります。誰かがインターネットで殺害予告をしていたり、面識のない人に誰かが殺されたり。誰にとっても起こってほしくないことが起こっているのが現代だと思います。

それは、私にとっても非常に怖いことなんですが、それでも私たちは生きていかないといけません。だから、できる限り、幸せに感じるように努力をしています。子どもの成長を見守ったりすることに幸せを感じますし、自分の出演した映画が公開されることになって、その日を待っている今のような時間にもワクワクを感じます。

(取材・文:西森路代 写真:高野広美)

 映画『ニューノーマル』は現在公開中。

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