松坂桃李、『雪の花』での全編フィルム撮影「今までに経験したことがない緊張感、高揚感でした」<第37回東京国際映画祭>
クランクイン! / 2024年11月2日 18時10分
松坂桃李が、11月2日、第37回東京国際映画祭ガラ・セレクション部門招待作品として選出された主演映画『雪の花 ―ともに在りて―』の舞台あいさつに、共演の芳根京子、監督の小泉堯史とともに登壇した。
吉村昭の小説『雪の花』を小泉堯史監督が実写化する本作は、多くの人命を奪う疫病と闘った町医者の実話を描く本格時代劇。
東京国際映画祭で初お披露目となる本作。一足先に作品を観ようと集まった観客で会場は満員御礼。満席の会場を見渡しながら主演の松坂は「丹精込めて作った作品をこうやって皆さまの元に届けることができて嬉しいです」と感激の様子。芳根は「撮影から一年経ってとても早く皆さんに観てもらえるということで、今日観ていろんな方に広めていただけたら嬉しいです」、小泉監督は、「一本一本これが最後かなと思って作っていますが、やっと今日届けることができてほっとしています」と初披露の場を喜んだ。
実在の人物、町医者・笠原良策を演じた松坂。笠原を演じてみての質問が飛ぶと、松坂は「いろんな資料を読んで、それを時間をかけてゆっくり身体の中に入れて現場に入りました。小泉監督の元で良策を生きることは難しいことでもありましたが、いろんな人たちの手を借りてこの役を全うすることができました」と、撮影を振り返った。
小泉組初挑戦となる松坂だが、これぞ小泉組だと感じた瞬間を聞かれると「今の日本映画では珍しいですが、全編フィルムなんです。フィルムなので撮り直しが効かない緊張感が現場に漂っていて。その中でのお芝居は今までに経験したことがない緊張感、そして高揚感でした」と、小泉組ならではのエピソードを語った。
芳根は『峠 最後のサムライ』以来2度目の小泉組への参加。「一度目は緊張で頭が真っ白になってしまって…」と、あまり記憶がなかったそうだが、「今回は、現場にいる時間も前回よりも長かったので、しっかり残すぞと意思をもって挑みました!」と前回より気持ちに余裕をもって挑めた様子。さらに松坂は、「小泉監督は自然を味方にしていて…。天候を操れるのかな」と話し、その言葉に会場からは笑いが起こった。
映画『居眠り磐音』以来の共演となる松坂と芳根。前作に引き続き、今回も妻役として共演した芳根は松坂の印象を聞かれると、「前回も時代劇で和装の松坂さんを見慣れてしまっているので、今日が逆に新鮮というか(笑)」とジャケット姿の松坂を見ながら話し、「前作は結婚する約束まではしていたのですができなかったので、今回無事結婚することができてよかったです!(笑)」と、会場の笑いを誘った。
現場作りで譲れないポイントがあるか聞かれた監督は、「全くないですね。」ときっぱり。続けて、「普段通りにやっていて、スタッフも黒澤明監督の時から30~40年一緒にやっているので、逆にこういう場(舞台あいさつ)の方が緊張します(笑)」と、語った。さらに、一緒に登壇している松坂と芳根の印象を聞かれた監督は、「本当に素晴らしかったです。歴史上の人物を演じるということはその時代に対する想像力が必要になるのですが、それをきちんと持ってその人物たちを演じてくれました。現場で二人を見ることが本当に楽しかった」と、二人を称賛した。
配信ドラマ『SHOGUN 将軍』がエミー賞史上最多18冠を獲得し、歴史的快挙を成し遂げたことで国際的に再び注目されている日本の時代劇。その魅力を聞かれた監督は、「僕にとって時代劇という括りはあまりないんです」と、続けて、「ただ、(観る上でも)その時代の想像力をもってもらわないとその時代の人物は活きてこないと思うので、それをこの二人が生き生きと演じていてくれているので、ぜひ楽しんで観ていただきたいです」と、監督が日頃の作品に込める気持ちもあわせて語った。
この作品の魅力を問われた松坂は、「芳根さんが一段と輝くシーンがあるんです! 芳根さんが疲労困憊の中、ものすごい集中力で成し遂げたシーンで、それを是非皆さまには観ていただきたいです!」と自信をのぞかせた。芳根も「3ヵ月ほど練習期間をいただいて発表の場という気持ちだったので、終わって監督の笑顔を観た瞬間、本当にほっとしました」と、演じ終わった瞬間泣き崩れたという。
最後に松坂から、「この作品の中で描かれている愛や絆は、コロナの時代を経験した今だからこそ皆様に刺さるものだと実感しています。小泉監督の作品は画と音も本当に素晴らしくて、まるで自分もスクリーンに映し出された自然の中にいるかのような、そういう惹き込まれ方をします。ぜひ皆さん『雪の中 ―ともに在りて―』に惹き込まれてください!」とメッセージが贈られイベントは終了した。
映画『雪の花 ―ともに在りて―』は、2025年1月24日より全国公開。
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