『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』神山健治監督がハリウッド超大作に抜擢された理由とは?
クランクイン! / 2024年12月15日 12時0分
当時チョウは、実写化ではなくアニメ化での依頼に驚いたが、続けて制作期間がたったの2年かつ、脚本の用意がないという状態を重ねて聞かされ驚愕したそう。さらに、どのスタジオもクリエーターも3年先までスケジュールが埋まっており、完成には困難な道のりが予想された。そんな中、本作を引っ張っていく存在として神山監督に白羽の矢を立てたのだ。
■“映画の神様”が魔法をかけてくれた
チョウは「神山さんに白羽の矢を立てた理由はいくつかある」と語り、「アメリカは脚本の作り方がとても緻密です。日本でも90分の脚本を作ることをできる人は多いが、ゼロから脚本を作り、1本の映画として完成させられる人はあまりいない」と脚本制作の困難さを明かす。続けて「とりわけ日本のアニメ界ではモチベーションがとても重要です。だから、この作品は『絶対やりたい』という監督じゃないと任せられないだろうと思いましたし、神山さんはそういった野心をもっている監督です。神山さんはジャンルを問わない上にストーリーテリングの人だから、絶対に本作にふさわしいと思ったんです」と、神山監督への信頼をにじませた。
たとえ熱望してもタイミングが合わず、希望の監督での映画化が叶わぬことも多いのが映画業界。しかし、“映画の神様”が本作に魔法をかけた。普段はあまり電話に出ることがないという神山監督がチョウからの電話に1回で出ただけでなく、本作の打診をしたところ「やるしかないんじゃない?」と答えたという。この出来事についてチョウは「ほら、“映画の神様”はいる、という話をよくするじゃないですか。今回はまさにそんな感じでした。僕は絶対、そこに何かがあったんじゃないかと思っています。“映画の神様”が魔法をかけてくれたとしか思えないくらいスムーズに運んだからです」と振り返る。
一方、神山監督は打診された当時について「その頃は自分に『どう思う?』と相談されてるくらいの軽い感じで彼らの話を聞いていたんですが徐々に、彼らは『ロード・オブ・ザ・リング』をアニメで作りたい、しかも日本のスタイルで作りたいと思っていることが伝わってきました。そして、最初は実現不可能と思っていたわけですが、僕にとってもこんなチャンスはない。だったら具体的に映画としてどうやったら制作できるかを考えてみましょうという感じで企画に参加して行った感じです」と述懐。
実現不可能と思えた本作の制作の話はどんどんと動き出し、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作でも脚本で参加しているフィリッパ・ボウエンが本作のストーリーを執筆することにもなった。
チョウはボウエンについて「彼女はプロデューサーですが、脚本家でもあります。『ロード・オブ・ザ・リング』3部作を手掛け、トールキンの原作を知り尽くしているのはフィリッパです。原作に基づくアイデアもすぐ出てくるし、どのキャラクターがどこに出るなんていうのも一発。今回のヘルム王のストーリーにしようというのも彼女のアイデアだったし、ストーリーは彼女が創り出したもの。それを神山さんとやりとりしながら完成版に近づけていった」と、その才能に太鼓判を押す。
トールキンの原作を理解し、『ロード・オブ・ザ・リング』の〈中つ国〉の世界をジャクソン監督とともに創造したボウエンが紡ぎ出す、本作の中に息づく世界観にも期待が高まる。
アニメ映画『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』は、12月27日より全国公開。
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