"中秋の名月"など9月の手紙やメールで使いたい「季節の美しい日本語」
イエモネ / 2023年9月24日 18時35分
秋の訪れを感じるようになる9月。日本には、その季節に合った美しい言葉がたくさんあります。手紙やメールにその時季ならではの言葉を使うと、心が和みやさしい気持ちになれるでしょう。そこで、各月に使いたい言葉を3つずつ、和文化研究家の三浦康子がご紹介します。9月は「中秋の名月」「虫聞き」「秋涼」です。
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9月の美しい日本語~中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)
旧暦では7~9月が秋にあたります。秋の真ん中である旧暦8月15日の十五夜は、空が澄み1年で最も美しい月とされ、「中秋の名月」と呼ばれます。中秋の名月の日付は、旧暦に合わせて毎年変わるのでチェックしてみてください。
>>>今年の「十五夜」はいつ?お月見の由来やお供えするものは?
昔から、「花鳥風月」「雪月花」というように、月は風雅を象徴するもの。平安貴族が中国の風雅な「観月」の宴を取り入れて月見をするようになりました。
のちに月見が庶民に広がると、秋の収穫物を供えて実りに感謝する行事となって親しまれるように。中秋の名月は芋類の収穫祝いを兼ねているので別名「芋名月」といい、里芋やさつま芋、月見団子などをお供えします。事前に準備できないときは、里芋料理や月見団子をメニューに加え、食べる前に窓辺に置いてお月様を拝んでからいただくと、心豊かなひと時になるでしょう。
<例文>
今夜は中秋の名月ですね。天気が良く、美しい月が見られますように。
来週の中秋の名月、一緒にお月見をしませんか?
今夜は芋名月なので、里芋料理を食べようと思います。
9月の美しい日本語~虫聞き(むしきき)
「虫聞き」とは、秋の野山で虫の声を聞いて楽しむことをいいます。平安時代に始まったといわれており、貴族たちが虫の声を聞きながら酒宴を催し風雅を楽しんでいたそう。やがて虫聞きは庶民にも広がりました。
虫の声に心惹かれるのは今でも変わりません。「リーンリーン」と鳴くスズムシは、鳴く虫の王。「キリキリリリリ」と鳴くコオロギは万葉集に出てくるほど古くから文学に登場し、「ティッティリリ」と鳴くマツムシは、待つという言葉にかけて待ち遠しいシーンによく登場します。「ギーッチョン」と鳴くキリギリスには、はたおりという古名があり、「ガチャガチャ」と鳴くクツワムシは、馬の口につける轡(くつわ)の音に似ていることから命名されたそう。昔の人が虫聞きを愉しんでいる様子がわかります。
<例文>
久しぶりに帰省し、虫聞きを楽しみました。心安らぐいい時間でした。
虫の声に秋の訪れを感じるころとなりました。お元気でお過ごしですか?
今宵、一緒に虫聞きをしませんか?
9月の美しい日本語~秋涼(しゅうりょう)
「秋涼」とは、秋になって感じる涼しさや、秋の涼しい風のこと。「秋涼の候」は9月中旬から10月の時候の挨拶で、秋の訪れとともに涼しくなってまいりましたという意味で、「早涼(そうりょう)の候」「新涼(しんりょう)の候」も同じ意味です。
似たような言葉に、秋の清々しさを表した「清秋(せいしゅう)の候」、爽やかで過ごしやすい秋を表した「爽秋(そうしゅう)の候」「爽涼(そうりょう)の候」があります。いずれも、厳しい残暑がおさまり、過ごしやすい秋へと向かう安堵や喜びが感じられるでしょう。
「〇〇の候」は「〇〇のみぎり」「〇〇の折」に置き換えることもできるので、時候の挨拶に使ってみてください。
<例文>
秋涼の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
日ごとに涼しさが増し、秋涼という言葉がぴったりの時期になりました。
清秋のみぎり、いかがお過ごしでしょうか。
季節の移ろいを実感するこの時期は、風情を感じる言葉が心に沁みます。
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