ナシの栄養は?種類や保存方法も【専門家監修】
イエモネ / 2022年10月2日 7時30分
ナシといえば「秋の味覚」の代表格。早いものでは7月下旬から、遅いものでは10月いっぱいまで、夏から秋にかけてさまざまな品種をリレー形式で楽しめます。ナシは約88%が水分ですが、整腸作用や疲労回復効果のある栄養素も含まれているので、夏の疲れを癒やすのにもピッタリ。品種ごとの風味や食感の違いを楽しんで、自分好みの品種を見つけてみてくださいね。
【特徴】みずみずしさとシャキシャキ食感を楽しむ果物
ナシはバラ科ナシ属の植物で、大きく日本ナシ、西洋ナシ、中国ナシの3つに分類されます。この記事では、国内で最もポピュラーな日本ナシ(以下「ナシ」)について紹介します。
原産地は中国で、日本には弥生時代に持ち込まれたと考えられています。古くから日本人に親しまれてきた果物のひとつで、江戸時代には全国で栽培されるように。現在でも各地で品種改良され、さまざまな品種が栽培されています。
日本ナシは大きく「赤ナシ」と「青ナシ」に分けられます。「赤ナシ」は果皮が茶色でザラザラしており、強い甘みが特徴。「青ナシ」は果皮が黄緑色でツルツルしており、さっぱりした甘みが特徴です。どちらもみずみずしくシャキシャキした食感が魅力ですね。
主な産地は千葉県、茨城県、栃木県など。品種によっては7月下旬から10月頃まで楽しめます。
ナシの主な種類
■幸水
日本を代表する赤ナシ。重さ250〜300gの中玉。形は楕円形、果肉はやわらかく多汁、強い甘みが特徴。店頭に並ぶのは7月下旬頃からです。
■豊水
重さ350~400gのやや大きめの赤ナシ。果肉はやわらかく多汁、甘味と酸味のバランスのよさが特徴で、日持ちします。店頭に並ぶのは8月下旬頃から。
■南水(なんすい)
重さ350~400gの中玉の赤ナシで、なかには500gを超えるものも。果肉はやわらかく、酸味が少なく甘みが強いのが特徴で日持ちも◎。店頭に並ぶのは9月下旬〜10月上旬です。
■新高(にいたか)
重さ450〜500gの大玉の赤ナシ。なかには1kgを超えるものもあります。みずみずしく、風味豊かで酸味が少ないのが特徴。店頭に並ぶのは9月中旬〜11月頃です。
■二十世紀
鳥取県のブランドナシで、青ナシの代表品種。重さ300g前後の中玉で、果皮は黄緑色です。シャリシャリした食感、果汁の豊富さ、甘味と酸味のバランスのよさが特徴。店頭に並ぶのは9月上旬〜10月上旬頃です。
【選び方】横に幅広で色ムラがなく、ずっしり重いもの
形は丸みがあり横に幅広く、果皮はハリがあり色ムラがないもの、軸は太くしっかりしているものが良品。持ったときにずっしりと重みがあるものは、水分が豊富でみずみずしい証拠です。
赤ナシは表面に斑点が多くザラザラしていますが、熟するにつれてツルツルに。青ナシは熟すると果皮の色が緑から黄色に変わっていきます。
ナシは一般的に未熟なものはかたくて酸味が強く、熟するとやわらかくなって甘みが増すと言われています。追熟はしないので、シャキシャキ食感が好きな方は完熟の少し手前のもの、やわらかい食感が好きな人は完熟したものを選ぶといいでしょう。
【保存】新聞紙&ポリ袋で乾燥を防いで、1週間を目安に冷蔵保存を
ナシを保存するときは乾燥を防ぐことが重要です。1個ずつ新聞紙やペーパータオルで包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存を。約1週間保存可能です。軸を下にして保存すると鮮度落ちがゆるやかになります。
食べきれないときは冷凍保存も可能。ナシを水洗いして水気をしっかり拭いて食べやすい大きさに切り、皮をむいて芯を取り除きます。冷凍用保存袋に平らに並べて冷凍すれば、約1カ月保存可能です。
ただし、冷凍するとナシ本来のシャキシャキした食感はなくなってしまいます。食べるときは半解凍してコンポート風にしたり、スムージーに加えたりするのがおすすめです。
【栄養・効果】88%が水分。整腸作用や疲労回復効果も
日本ナシの可食部100gあたりのエネルギーは38kcalで、88%が水分。身体を冷やす食材なので、暑い日にピッタリの果物です。
ナシのさわやかな甘みは、糖アルコールの一種「ソルビトール」によるもの。ソルビトールは虫歯予防が期待できます。食物繊維による整腸作用もあるので便秘予防にも効果的ですが、食べすぎるとお腹を下してしまうことも。お腹の様子を見ながら適量を食べるようにするといいですね。
また、疲労回復効果が期待できるアミノ酸の一種「アスパラギン酸」なども豊富です。
【食べ方】生食がベスト。すりおろして肉を漬け込むとやわらかくなる!
ナシのシャキシャキ食感やみずみずしさを満喫するなら、生食が一番です。皮のすぐ下が甘いとされているので、皮は薄めにむくのがおすすめ。また、軸側よりもお尻の方が甘いとも言われているので、くし形に切ると甘みを均等に味わえます。
生食で食べきれないときはジャムやコンポートに加工する方法もありますが、料理に使う裏技も。
ナシにはたんぱく質を分解する酵素「プロテアーゼ」が含まれているため、すりおろして肉を漬け込むと肉をやわらかくする効果が。調味料に漬け込む料理を作るときに、すりおろしたナシも加えてみてください。肉は、牛・豚・鶏、どれでもOKですよ。
監修:食のスタジオ(https://www.foodst.co.jp/index.html)
レシピ開発だけでなく、コーディネートや撮影、編集、栄養アドバイスまで手がける食のプロ集団。健康・美容・介護食・離乳食などの専門レシピまであらゆるカテゴリーに対応。監修や編集を手がけた書籍は約100冊にも及ぶ。
栄養監修:内山由香
「食のスタジオ」管理栄養士、フードコーディネーター。女子栄養大学卒業後、食のスタジオにてレシピ開発、料理撮影、栄養計算等の業務を担当。作りやすく、子どもから高齢者まで食べやすい家庭的な料理やつくりおきレシピが得意で、忙しい人でも身近な食材で簡単に作れるレシピを多く開発している。『しっかり食べてきれいになる たんぱく質のつくりおき&らく旨おかず』『組み合わせ自由自在つくりおきシリーズ』(西東社)『朝10分!中高生のラクチン弁当320』(学研プラス)など著書多数。
[All Photos by shutterstock.com]
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