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昆布の栄養やだしの取り方、選び方や保存方法まで気になることまとめ!【専門家監修】

イエモネ / 2023年12月17日 7時30分

iemone.jp

昆布は和食に欠かせない食材。だし、佃煮、煮物、おでんの具材、昆布締めや昆布巻などの材料として、昔から日本人の食生活に浸透しています。でも「だしを取るのが面倒」「だしを取った後の昆布の使い道がわからない」などで手が伸びない人もいますよね。本記事では、だしの取り方の基本と簡易版、だしを取った後の「だしがら昆布」の活用法などを紹介します。



【特徴】不老長寿や子孫繁栄の縁起物。約9割が北海道産



昆布はコンブ科の海藻の一種。北海道沿岸を中心として、三陸海岸などにも分布しています。



日本では古くから食されていたようで、797年に編纂された『続日本書紀』に昆布の記述があるほど。朝廷へ献上されて神事や大陸との交易品などに使われたり、寺院で精進料理に使われたりしていたようです。



鎌倉時代には北海道と本州を結ぶ交易船で昆布が運搬されるようになり、やがて日本各地に広まっていきました。



昆布は「よろこぶ」との語呂合わせで、昔から縁起物としておせち料理などに用いられていました「養老昆布(よろこぶ)」と字を当てて不老長寿、「子生(こぶ)」と字を当てて子孫繁栄の願いも込められています。



現在でも国内生産の中心は北海道で、生産量の9割以上を占有。他には青森県、岩手県、宮城県の三陸海外沿いでも収穫されています。



昆布の収穫期は7〜9月ごろ。収穫した昆布をすぐ天日に干し、乾燥させたものが1年通して全国に流通しています。



昆布は生育する環境で特徴が変わるため、産地が銘柄になります。用途や好みによって使い分けてみるのもいいですね。



・昆布の主な種類

■真(ま)昆布



産地は函館を中心とした松前から室蘭までの沿岸。肉厚で幅が広く、色は淡褐色。上品な甘みの澄んだだしが取れます。最も代表的な昆布で、結納品などにも使われる高級品。だし、佃煮などに向いています。



■羅臼(らうす)昆布



産地は知床(しれとこ)半島東部の羅臼沿岸。茶褐色で幅が広めでやわらかく、色は茶褐色です。香りが高くてコクのある濃厚なだしが取れるのが特徴。料亭などでだしや椀物に使われる高級品です。



■利尻(りしり)昆布



産地は北海道北部の利尻、礼文(れぶん)、稚内(わっかない)などの沿岸。幅はやや細めでかたく、色は黒褐色。甘みとやや塩味があり、味が濃く香りの高いだしが取れます。すまし汁や湯豆腐に最適です。



■日高(ひだか)昆布



産地は日高沿岸。別名「三石(みついし)昆布」。幅は細く、黒みを帯びた濃い緑色です。やわらかくて煮えやすく、調理しやすいのが特徴。だし、食用のどちらにも向いていて手頃な価格なので、だし、佃煮、煮物、昆布巻など日常使いに便利です。



【選び方】よく乾燥していて、肉厚で色つやの良いものが良品



昆布はどの種類でもよく乾燥しているものが良品肉厚で幅が広く、色つやの良い緑褐色のものを選んでください



色が黒すぎるものや黄色がかったものは、味が落ちている可能性があるので避けましょう。



ちなみに、昆布の表面についている白い粉は「マンニット」と呼ばれるうまみ成分で、品質には影響はありません。



【だしの取り方】煮出す方法以外に、水出しでもOK



昆布はうまみ成分「グルタミン酸」から良質なだしが取れます。昆布だしはあっさりとして優しく上品な味わいが特徴。湯豆腐やしゃぶしゃぶなどの鍋料理、みそ汁やすまし汁などの汁物、お茶漬けやだし巻き卵に最適です。



基本的な煮出し昆布だしの取り方に加え、手軽な水出し昆布だしの取り方も覚えて、食生活に取り入れていきましょう。どちらも冷蔵庫で3〜5日保存可能。まとめてだしを取り、数日に分けて使うと便利です。



■煮出し昆布だしの取り方(水1リットル、昆布10g)

1.昆布の表面をかたく絞った布巾でさっと拭き、砂などの汚れを取り除く



2.鍋に水と昆布を入れ、30分〜1時間ほど浸け置く



3.中火にかけ、沸騰直前で火を止めて昆布を取り出す



時間がないときは、だしの風味は薄まってしまいますが水に浸けずに火にかけてもOK。また、昆布を入れたまま沸騰させるとぬめりや雑味が出てしまうので、必ず沸騰直前に取り出しましょう。



■水出し昆布だしの取り方(水1リットル、昆布20g)

1.昆布の表面をかたく絞った布巾でさっと拭き、砂などの汚れを取り除く



2.ポットなどの密閉容器に水と昆布を入れ、冷蔵庫で3時間〜一晩浸け置く



水出しの方がよりスッキリした味わいになります。昆布は刻んで浸けてもOK。一晩経ったら昆布を取り出しましょう。



【食べ方】佃煮、煮物、おでんの具材などに。だしがら昆布も食べられる



昆布は佃煮、煮物、おでんの具材のほか、正月料理の昆布巻や富山県の郷土料理である昆布締めなど、和食に活用されます。



だしを取った後のだしがら昆布ももちろん食べられます。刻んでしょうゆやポン酢で和えたり、佃煮や煮物やふりかけにしたり、みそ汁に加えたりして活用しましょう。



だしがら昆布が少量で使いにくい場合は、冷凍保存(後述参照)しておくと便利。だしを取るごとに昆布を冷凍し、ある程度の量がたまってから調理すると効率的です。



【保存】密閉容器で高温多湿を避けて保存。だしがら昆布は冷凍が便利



昆布の賞味期限は1年程度です。湿度に弱いので、開封後は使いやすい大きさに切って密閉容器へ。乾燥剤があれば一緒に入れておきましょう。直射日光や高温多湿を避けられる場所で保存してください



だしがら昆布の日持ちは、冷蔵庫で1〜3日程度。食べきれない場合は冷凍保存が便利です。



昆布の水気をしっかり切り、使いやすい大きさに切ってから冷凍用保存袋に平らに入れて冷凍を。約1か月保存可能です。使うときは凍ったまま鍋に入れて佃煮や煮物にしたり、みそ汁に加えたりしましょう。



【栄養・効果】食物繊維やミネラルが豊富。だしがら昆布にも栄養が



昆布(水煮の真昆布)の100gあたりのエネルギーは28kcal。日本人に不足しがちな食物繊維やミネラルを多く含む、栄養豊富な食材です。



昆布に含まれる食物繊維は、水溶性食物繊維「アルギン酸」や「フコイダン」。アルギン酸にはコレステロールや血圧の上昇を抑える効果、フコイダンには免疫力アップやアレルギー予防が期待できます。



ミネラルとしては、丈夫な骨や歯の形成を助けるカルシウム、貧血予防や疲労回復効果が期待できる鉄、むくみや高血圧予防に役立つカリウム、甲状腺ホルモンの材料となって発育や成長や代謝などを助けるヨウ素などが多く含まれています。



ちなみに、だしがら昆布にも約9割の栄養素が残っているそう。捨てずに活用して、余すことなく摂取したいですね。



監修:食のスタジオ(https://www.foodst.co.jp/index.html)
レシピ開発だけでなく、コーディネートや撮影、編集、栄養アドバイスまで手がける食のプロ集団。健康・美容・介護食・離乳食などの専門レシピまであらゆるカテゴリーに対応。監修や編集を手がけた書籍は約100冊にも及ぶ。



栄養監修:内山由香
「食のスタジオ」管理栄養士、フードコーディネーター。女子栄養大学卒業後、食のスタジオにてレシピ開発、料理撮影、栄養計算等の業務を担当。作りやすく、子どもから高齢者まで食べやすい家庭的な料理やつくりおきレシピが得意で、忙しい人でも身近な食材で簡単に作れるレシピを多く開発している。『しっかり食べてきれいになる たんぱく質のつくりおき&らく旨おかず』『組み合わせ自由自在つくりおきシリーズ』(西東社)『朝10分!中高生のラクチン弁当320』(学研プラス)など著書多数。



[All Photos by shutterstock.com]




https://iemone.jp/article/gourmet/atsushi_ishiguro_365834/

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