「七夕」の由来や飾りの意味は?願い事を笹に飾る理由や行事食も
イエモネ / 2024年1月24日 15時12分
【2024年1月24日更新】7月7日は「七夕(たなばた)」。「織姫と彦星が七夕の日だけ天の川で再会できる」ということは知っていても、なんで2人は会えなくなったのか、なんで笹飾りに願い事を書いた短冊を飾るのか、知らない人も多いのでは? そこで今回は七夕の由来、笹飾りの由来などを解説。七夕の行事食である「そうめん」についても紹介します。
7月7日は「七夕」。七夕の由来や楽しみ方を、和文化研究家の三浦康子さんに教えてもらいました。
七夕とは?
七夕(たなばた)は五節句の一つ。縁起のよい「陽数」とされる奇数が連なる7月7日の夕べに行われるため「七夕の節句」といいます。行事に笹を用いるので「笹の節句」と呼ぶことも。
七夕のルーツは中国の星伝説だと言われています。天の川の西岸に住む機織りの名手・織姫と、東岸に住む働き者の牛使い・彦星は、織姫の父親である天帝のすすめで結婚しました。しかし2人は仲睦まじくするばかりで、全く仕事をしなくなってしまいました。これを怒った天帝が、天の川を隔てて2人を離れ離れに。すると今度は悲しみに明け暮れて、働かなくなってしまいました。そこで、仕事に励むことを条件に、七夕の夜に限って再会を許すことにしたのです。七夕になると天帝の命を受けたカササギの翼にのって天の川を渡り、年に一回再会するようになった、という話です。
中国では星伝説の織姫と彦星の逢瀬を祝い、織姫にあやかって機織りなどの技芸の上達を乞う「乞巧奠(きっこうでん)」という行事が催されるようになりました。これが奈良時代に日本に伝播。日本古来の神様の衣を織る「棚機津女(たなばたつめ)」伝説と結びつき、現在のような形に変化していったと言われています。
7月7日の夕方を表す「七夕」は「しちせき」と呼ばれていましたが、「棚機(たなばた)」にちなんで「たなばた」という読み方に変わっていきました。
七夕飾りの意味は?
七夕飾りに笹竹を使うのは、笹竹が天の神様の依りつくところ(依り代)とされているから。願いを込めた飾りものをつるし、天に向かって掲げます。飾りには一つひとつ意味があります。
●五色(ごしき)の短冊:願い事や「天の川」などの七夕にちなんだ言葉や絵を書いて下げます。七夕のルーツを踏まえると、勉強や習い事などの上達を願うのがよいでしょう。「五色」とは中国伝来の陰陽五行説に基づく、青、赤、黄、白、黒のことです。
●吹き流し:織姫の織り糸を表しています。五色を用いて魔除けの意味も。くす玉や紙風船に、適当な長さに切った五色の紙テープを貼りつけてもOK。
●網飾り:魚を捕る網を表現。豊年満作大漁の願いを込めて飾ります。
●折鶴(千羽鶴):長寿のシンボルである鶴を折り紙で折り、長寿を祈願。
●紙衣(かみこ):紙の着物を飾ると、裁縫が上達して着るものに困らなくなるといわれています。
●財布(巾着):金運上昇を祈願。折り紙で折ったり、本物の財布を下げたりします。
●くずかご:「ものを粗末にしない」という意味。七夕飾りを作るときに出た紙くずを、折り紙で作ったかごに入れて下げます。
笹や七夕飾りは、七夕の夜のためのものなので翌日には取り外して。本来は川に流して清めるものですが、現在はもちろん流すのはNG。小さく切ってごみの日に出しましょう。願い事を書いた短冊をお焚き上げしてくれる社寺もあるので、調べて持ち込んでもいいでしょう。
そうめんを天の川に見立てて盛り付けよう
節句には旬のものを食べ、邪気を祓ったり無病息災を願ったりする風習があります。七夕の行事食はそうめん。暑さで食欲が減退するこの時期に、冷たくて食べやすいそうめんはぴったりですね。
古来は五色の短冊と同じく厄除けの願いを込めて、「青、赤、黄、白、黒」のそうめんをお供えしていたそう。今は、梅、シソ、ゆず、レモン、抹茶、オリーブなどを織り込んだ、風味豊かで華やかなそうめんも出回っているので、ぜひ楽しんでみてください。
監修:三浦康子
和文化研究家。日本の文化を今に生かす方法をさまざまなメディアで提案。「行事育」提唱者。著書に『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)他多数。
http://wa-bunka.com/
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