【専門家が解説】お盆休みの期間はいつからいつまで?お供えや迎え火についても
イエモネ / 2024年1月24日 14時50分
【2024年1月24日更新】お盆とは、先祖の霊を家に迎え、供養して感謝を捧げる行事。7月に行う地域もありますが、一般的な期間は8月13〜16日です。お盆の由来から、ご先祖様を祀る「盆棚」の作り方、キュウリやナスで作る「精霊馬(しょうりょううま)」の意味、13日の「送り火」から16日の「迎え火」まで、お盆について知っておきたい基礎知識を紹介します。地域や宗派、家によって、具体的な段取りや作法などは異なりますが、ご先祖様を供養して感謝するという心は同じですよ。
一般的な「お盆」の期間は8月13日〜16日。お盆の由来や過ごし方を、和文化研究家の三浦康子さんに教えてもらいました。
お盆とは?
お盆とは、先祖の霊を家に迎え、供養して感謝を捧げる行事。昔は亡くなった人の霊が7月の15日に帰ってくると考えられていました。それが新暦(現在の暦)では8月半ばにあたるため、この時期にお盆の行事を行うようになりました。
一般的なお盆の期間は、8月13〜16日。東京、横浜、函館などの一部では、今でも7月にお盆の行事をするところがあります。沖縄などは旧暦の7月15日です。
お盆の正式名称は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」。これはインドのサンスクリット語の「ウラバンナ」(逆さ吊りの苦しみ)、ペルシャ語の「ウラヴァン」(霊魂)からきた言葉だとされています。また、お盆は供物を盛る器を表しているという説も。
起源は、お釈迦様の弟子が、地獄に落ちた母親を救うため、7月15日に霊を供養したという仏教経典の話です。
お釈迦様の弟子の目連尊者(もくれんそんじゃ)は、他人に対する思いやりの心がなかった母が死後に地獄に落ち、逆さ吊りにされて苦しんでいると知りました。そこで、お釈迦様に母親を救いたいと相談したところ、「夏の修行が終わる7月15日に僧侶たちを招いて供養しなさい」と教えられました。その教えに従ったところ、功徳によって、母親は極楽往生が遂げられたそうです。
この話から精霊を供養する「盂蘭盆会」の行事が生まれ、日本には7世紀頃に伝わったとされています。その後、日本の祖霊信仰と融合し、日本独自のお盆の風習が形成されていったのです。
お盆には何をする?お供えするものは?
お盆の風習は地域や宗派、家によって異なることが非常に多いのが特徴。ここでは、一般的なお盆の習わしを紹介します。
一般的に、家に迎え入れた先祖の霊は、仏壇ではなく「盆棚」に祀ります。そのため、8月12日の夕方か、お盆の入りの13日の朝までに盆棚を準備します。
盆棚は家や宗派によって異なりますが、テーブルに「位牌」と「基本の五供(ごく/香、花、灯、水、食べ物)」と「精霊馬(しょうりょううま)」を並べれば略式の盆棚になります。花はキクやミソハギ、キキョウなど、食べ物は季節の野菜や果物、精進料理、故人の好物などがよいでしょう。
精霊馬とは「キュウリで作った馬」や「ナスで作った牛」のこと。ご先祖様の乗り物で、「行きはキュウリの馬で早くやってきて、帰りはナスの牛でゆっくり帰る」などと言われています。キュウリとナスに、脚の長さに切ったオガラ(麻の茎の皮をむいたもの)、または、割り箸を4本ずつ刺すのが一般的な作り方です。
13日はお墓参りをして、お寺で迎え火の火種をいただきます。そして、家の玄関前でオガラを燃やして合掌。その煙に乗ってやってくる先祖の霊を迎え入れるのが「迎え火」と言われる儀式です。
14〜15日は、家族や親族が集まり、僧侶を招いて法要を行います。また、親族で会食をして、先祖の話をするよい機会でもあります。お盆期間中、盆棚に供えた水は毎日交換し、お供え物は新鮮なものを維持しましょう。
16日は「送り火」。迎え火と同じ場所でオガラを焚き、煙に乗ってあの世に帰るとされる先祖の霊を送ります。また、昔から海や川の彼方にあの世があると考えられているため、海や川に送り火を流して「精霊送り(しょうりょうおくり)」を行う地域も。送り火の入った灯篭(とうろう)や盆棚の飾りを乗せた小舟を流して先祖の霊を送り出し、災厄も一緒に流すという意味があります。
今年は難しいかもしれませんが、例年ならお盆は帰省して、家族や親族と再会する人が多い時期。お盆の行事をしない家庭でも、先祖の話や親族の思い出話などを聞いて、先祖代々のつながりを感じてみてはいかがでしょうか。
監修:三浦康子
和文化研究家。日本の文化を今に生かす方法をさまざまなメディアで提案。「行事育」提唱者。著書に『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)他多数。
http://wa-bunka.com/
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