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「アマミノクロウサギ絶滅危惧の原因はノネコ」は正しいのか?沖縄、奄美大島のノネコ対策は科学的ではないという疑問

IGNITE / 2017年10月28日 22時0分

「アマミノクロウサギ絶滅危惧の原因はノネコ」は正しいのか?沖縄、奄美大島のノネコ対策は科学的ではないという疑問

絶滅危惧種である「アマミノクロウサギ」だが、その原因がノネコによる被害であるというのは本当なのだろうか?

「アマミノクロウサギ絶滅危惧の原因はノネコにあり、殺処分・安楽死を」というキャンペーンの根拠に対し、獣医師らが疑問を呈している。1000年以上も前から、ノネコとアマミノクロウサギは島で共存してきた存在だという。

奄美大島と沖縄の世界遺産登録をめざし「アマミノクロウサギを捕食する」として、ノネコの大量殺処分を計画している環境省だが、「根拠があやしい」と獣医師たちが疑義を表し、2週間で4万筆を集めた。10月31日(火)14時には記者クラブで提言記者会見が開かれた。

■本当に猫が原因なのか?
環境省発表の2016年希少種アマミノクロウサギの断定できた死因は、100%が交通事故(ロードキル)。2000~2013年の死因調査でも、犬猫捕食と断定された割合は数%にすぎない。

奄美大島に近い徳之島では殺処分ではなく、TNR不妊手術でアマミノクロウサギを増やした実績があり、不妊手術を検討する前に大量殺処分を実施してしまうことは、世界遺産登録機関であるユネスコの理念に反すると訴えている。

徳之島では地元3町が猫の繁殖防止策として、殺さずに不妊手術をして元の場所に戻す「TNR不妊手術」の取り組みを約1年にわたり実施した。

「TNR不妊手術」とは「トラップ(捕獲)・ニューター(不妊手術)・リターン(元の場所に返す)」である。この手術を受けたネコは耳をV字にカットして「さくらねこ」になってもらい、「さくら耳は愛されネコのしるし」という合言葉もあるくらい、それぞれの地域でみんなに可愛がってもらっている。

徳之島の全島に住む猫の70%が不妊手術済みの「さくらねこ」となった一方、アマミノクロウサギの生息数は増加し、生息域は東京ドーム210個分も広がった。2016年度末までに95%以上の猫が不妊手術済となり、2017年度も事業は継続中だ。

記者会見では「疑わしい科学的根拠について」しっかりと説明。そして「安易なネコの大量殺処分を告発し、代りにTNR不妊手術を提案」という理念のもと、署名活動を行っている。関心がある人はぜひ、目を通して欲しい。

『世界遺産を口実に、奄美や沖縄の猫を安易に殺処分しないでください!』署名のURL:https://goo.gl/zfDwXz
署名提出先:環境大臣、ユネスコ、IUCN(ユネスコの諮問機関)、沖縄県知事、鹿児島県知事、奄美市(奄美大島5市町の代表として)、大島郡龍郷町、徳之島三町ネコ対策協議会、外来ネコ問題研究会(猫の殺処分を要望しているグループ)

(田原昌)

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