京都「妙心寺」の塔頭「退蔵院」の庭園鑑賞
IGNITE / 2019年6月8日 8時0分
日本最大の禅寺「妙心寺」。妙心寺の山内には40余りの塔頭があり、そのひとつである「退蔵院」は屈指の古刹として知られる。
妙心寺はJR嵯峨線「花園駅」で下車し、5分ほど歩くと南門に到着。境内に入り、左手にある放生池を過ぎると「慈雲院」、その隣が「退蔵院」。
「退蔵院」には史跡名勝・枯山水庭園「元信の庭」や池泉回遊式庭園「余香苑(よこうえん)」などがあり、それぞれの庭の趣きを味わえる。
春は椿・木瓜(ぼけ)・藤・花水木・躑躅(つつじ)など、夏は花菖蒲・紫陽花・沙羅・水連など、秋には萩・金木犀やもみじの紅葉など、冬には山茶花(さざんか)・梅など、四季折々の花が楽しめる。
伺ったのは紫陽花の花と青もみじが美しい6月。
京都府の有形文化財に指定されている山門をくぐり、受付で拝観料を収め方丈へ向かう。
方丈には国宝に指定されている水墨画「瓢鮎図(ひょうねんず)」の模本が掲げられている。境内のあちらこちらに禅の精神を端的に表した瓢箪やなまずのモチーフがあるので、探してみるのもおもしろい。
方丈から見る「元信の庭」は、室町期に造られた枯山水庭園。背景には、やぶ椿、松、槇など主に常緑樹を植え、一年中変わらない美しさ「普遍の美」を表したという。
方丈を辞し回遊式庭園へ向かうと、春には妖艶に咲き乱れていたであろう枝垂れ桜の葉が豊かに茂っていた。
黒みを帯びた敷砂の「陰の庭」と白っぽい敷砂の「陽の庭」は物事や人の心の二面性を表すそう。
進む道の途中には東屋があり先に目を向けると鮮やかな青もみじが鑑賞できる。水琴窟、売店を経て昭和の名園「余香苑」へと到達する。
「ひょうたん池」を擁し、高低差のある庭園はどこまでも広く続いているかのように清々しく、眺めていると気持ちが浄化されるよう。
お茶席「大休庵」に立ち寄り、夏季限定の冷たいグリーンティーをいただく。退蔵院の枝垂れ桜をイメージして作られた紅白の桜のお干菓子は瓢箪となまずのイラストが入った懐紙に載せられ提供される。
雪見障子から見る庭園の瑞々しい緑を鑑賞しながらゆっくりと流れる時間を愉しんだ。
所在地:京都市右京区花園妙心寺町35
(小椚萌香)
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