絶滅の危機にある野生のジャイアントパンダと、彼らを守る飼育員との交流をとらえたフォト・ドキュメント
IGNITE / 2019年8月26日 13時0分
愛らしいフォルムとお茶目な動きのジャイアントパンダは、日本の動物園でも大人気。しかし、中国の山奥に住む野生のジャイアントパンダは絶滅の危機に瀕している。
ナショナルジオグラフィック誌で活躍する写真家が、中国・四川省の「中国パンダ保護観察センター」に写真家として初めて密着。
ジャイアントパンダと、その保護に取り組む人々の姿を3年にわたって取材した。
中国パンダ保護観察センターでは、パンダの繁殖、2歳になるまでの飼育を行い、その後野生に帰す活動を続けている。
本書には、センターで飼育されている赤ちゃんパンダや、パンダと飼育員がふれあう様子など、思わず頰がゆるんでしまうような可愛い写真がいっぱい!
一方で、とても難しいパンダの繁殖・飼育に、懸命に取り組む人々の姿を克明にとらえている。
こちらは、パンダの着ぐるみを着た人が赤ちゃんパンダを抱いている、ちょっと驚きの写真。写っているのは飼育員だ。
実は、着ぐるみにはパンダの糞尿のにおいが染み込ませてある。センターで生まれ育ったパンダは、最終的に野生に帰される。赤ちゃんパンダが人間に慣れすぎないよう、出来るだけパンダに近い格好をして保全に取り組んでいるのだ。体重測定などの健康管理はもちろん、餌の見つけ方や木の登り方、天敵から身を守る方法など、パンダが野生で生きるために必要な多くのことを教えている。
必死の保護活動によって、野生のジャイアントパンダの数は増えつつある。しかし、何もしなければ絶滅してしまう、危機的状況であることには変わりはない。
ここで、本書の「まえがき」から、著者の言葉を引用したい。
「世界の総人口が70 億人に達した今、私たちが心にとめておかなければならないことがあります。それは、人間も自然と共に生きる生き物だということです。
人間と動物は運命共同体。自然を守るということは、まさしく私たち自身を守ることにほかなりません。
命あるものをすべて大切にする。そんな世界を再び取り戻すことができないでしょうか?」
人里離れた山奥に棲む、野生動物としてのパンダに密着した1冊。パンダと飼育員との交流に心温まるだけでなく、動物と人間の関わり方について、深く考えさせられる写真集。
写真集『Panda Love〜知られざるパンダの世界〜』
●書誌情報
書名:Panda Love~知られざるパンダの世界~
著者:エイミー・ビターリ/著 市前奈美/訳
定価:本体2,500円+税
仕様:ハードカバー、オールカラー144ページ
発売中
https://www.shc.co.jp/book/10955
著者近影
●著者プロフィール
Ami Vitale(エイミー・ビターリ)
写真家、映画監督として、100を超える国々を訪問。世界の紛争地域や暴力がはびこる国に行き、つらい環境のなかでも強くたくましく生きる人々の姿を撮り続けている。
「現実を体験し、共感をする」ことをモットーに、泥を固めて作った小屋に寝泊まりしたり、戦地に住んだことも。ニコンアンバサダー、ナショナルジオグラフィック誌の写真家兼ライターとしても活躍。
https://www.amivitale.com/
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