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GNSSの測位情報を振動に変える「視覚障がい者向け歩行ナビゲーション」

IGNITE / 2021年6月17日 16時0分

GNSSの測位情報を振動に変える「視覚障がい者向け歩行ナビゲーション」

視覚障がい者の人たちの生活を大きく変える可能性があるシステムの開発が進んでいる。

■靴装着型IoTデバイス&ナビゲーションアプリ

視覚障がい者向け歩行ナビゲーションを開発し、誰もが自分らしく在れる社会の実現を目指す
「Ashirase」は、本田技研工業の新事業創出プログラムIGINITION発第1号スタートアップとして設立され、Honda及びリアルテックファンドからシードラウンドにて5,000万円の資金調達を行った。

今回の資金調達により、靴装着型IoTデバイス及びナビゲーションアプリ「あしらせ」を開発、2021年中に実証試験を実施、そこでの結果を活用し2022年度中に製品化を目指す。

「Ashirase」は、「人の豊かさを”歩く”で創る」、をミッションに掲げ歩行を通じて、人生を豊かにする機会に出会い、人の可能性を広げられる社会を実現する企業。

歩行は、自分の足で行きたいところに行くことができるモビリティ。さらに、身体的にも様々な病気の予防・改善につながるだけでなく、五感を多く刺激するため心理的にも創造性が豊かになるなど多くの効果がある。

誰もが歩きたいと思え、歩き続けることができ、リアルな世界に触れられる。「Ashirase」は、そのような「歩く」を創っていくことを目標にしている。

様々な課題がある視覚障がい者の単独歩行、「Ashirase」は3つのポイントに注目した。

一つは、歩行が出来ない、大変な思いをすることで、「外出が怖い」といった心理的課題を発生させていること。二つめは、安全確認とルート確認に追われながら歩いていること、そして、歩行時は聴覚に頼ることが多いため、音声ナビなどを使う聴覚を邪魔され、不安を感じたり危険に遭遇したりすることだ。

■世界初の振動によるナビゲーションシステム

「Ashirase」が開発している、視覚障がい者向け歩行ナビゲーションシステムとはどのようなものか紹介しよう。

衛星測位システム「GNSS」の測位情報とユーザーの足元の動作データから、視覚障がい者向けの誘導情報をナビゲーションアプリ「あしらせ」が生成。その情報を使い、白杖を持つ手や周囲の音を聞く耳を邪魔しないよう、靴装着型IoTデバイスで足への振動によるナビゲーションを行う。

靴装着型IoTデバイスは、多くの靴に使用でき、容易に取り換えることが出来るシューズアタッチメントデバイス。柔らかく、形状を保てる素材の採用しているので、履き心地は違和感がない。

直感的に理解できるよう、情報通知は振動の位置と振動させるテンポを組み合わせる。

ルート情報を足元から直感的に伝えることで、これまで苦労していたルート確認の作業から解放され、歩行者は安全確認に集中することが出来る。

自分自身で安全を担保しつつ余裕を持って歩けること。それが外出したいと思える気持ちや達成感を後押しでき、ひいては自立に繋がると「Ashirase」は考えている。

視覚障がい者が抱える問題をイノベーションで解決できるかもしれない「あしらせ」。早期の実用化を期待したい。

公式サイト:https://www.ashirase.com/

(冨田格)

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