横浜・港の見える公園「大佛次郎記念館」から錦繍の紅葉を堪能する
IGNITE / 2021年11月22日 14時0分
横浜・港の見える丘公園で文学の世界へ旅に出る。
■紅葉の季節だけ公開される和室
横浜・港の見える丘公園の中にある「大佛次郎記念館(おさらぎじろうきねんかん)」では、施設貸出のない日に限り、毎年紅葉の季節に和室を公開している。
大佛次郎は、明治30年横浜に生まれた小説家。
終生変わることのない愛情を故郷に寄せていた大佛次郎。昭和48年の没後、遺族から蔵書や遺品の寄贈を受けて、昭和53年「大佛次郎記念館」が開館した。
記念館は、代表作「霧笛」や「帰郷」などの舞台となった場所。建物は開港期の横浜絵にあるような洋風建築で、レンガタイルの赤、色ガラスの青、大理石の白は大佛と縁のあるフランス三色旗の色調だ。
時代小説「鞍馬天狗」で名を馳せ、ノンフィクション「パリ燃ゆ」、現代小説、随筆、戯曲など多岐にわたる文筆活動からライフワーク「天皇の世紀」に至る軌跡を、収蔵作品で紹介している。
「パリ鳥瞰図」の前で
■大佛次郎愛用の屏風「パリ鳥瞰図」特別公開
今年は、テーマ展示「パリ燃ゆ―名もなき者たちの声」と連動し、12月4日(土)5日(日)の2日間限定で、大佛次郎愛用の屏風「パリ鳥瞰図」を特別公開する。
こちらは、G.Peltierが描いた1920-40年代のパリ鳥瞰図(1959年版)を屏風に仕立てた一品。
大佛次郎が、1964年に文化勲章を受けた際、自慢のこの屏風の前で取材を受けている。
開催中のテーマ展示「パリ燃ゆ―名もなき者たちの声」
今年は、パリ・コミューン成立から150年の年。パリ・コミューンを舞台に描いた大佛次郎の渾身の一作『パリ燃ゆ』は、コミューンに参加した無名の人々を主役とし、大佛が“事実”と確認できることがらを「煉瓦のように積み上げた」作品。
『パリ燃ゆ』からの引用と、150年の時を経て、なお色鮮やかな版画や資料約60点から、名もなきパリ民衆の声を浮かび上がらせる。
お香と文学の香り漂う和室で、秋の絶景を堪能するひととき。大佛次郎が愛した空間で、しばし時を忘れて思いに耽ってみたい。
大佛次郎記念館
和室公開期間 :11月20日(土)~12月12日(日)
※和室の公開期間は変更となる場合がある
入館料:200円
公式サイト:http://osaragi.yafjp.org/etc/6487/
(冨田格)
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