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宗教画のようなモノクローム写真を展示|東京と京都で写真家・杉野信也の写真展を開催

IGNITE / 2022年5月16日 16時0分

宗教画のようなモノクローム写真を展示|東京と京都で写真家・杉野信也の写真展を開催

古典技法とデジタル技術が融合した世界観に没頭したい。

写真作家・杉野信也氏の写真展が、ライカギャラリー東京とライカプロフェッショナルストア東京にて5月13日、ライカギャラリー京都にて5月14日よりスタートした。

光るように像が立ち現れる、杉野信也氏ならではの写真作品

「Pilgrimage II Leica as Plenary Indulgence (巡礼Ⅱ 免罪符としてのライカ)」と題して3つの会場で同時開催される本展。カナダの広告映像作家の第一人者として名高く、テレビCMのディレクターや撮影監督などの分野でも活動を続ける写真作家・杉野信也氏が、「フォトポリマーグラビュール」という技法を用いて完成させたモノクローム作品を展示する。

雁皮紙に銀箔で裏打ちされたプリントは、最新のデジタル技術と古典的なフォトグラビュールを組み合わせた複雑なプロセスを経て完成へと導かれ、圧倒的な存在感を放つ。これまでに見たことのない、光るような像の立ち現れ方が印象的だ。

杉野氏の「ライカ」と異国への想い

巡礼とは、杉野氏にとって「確認の旅」にあたる。人々は信仰の確認やメッカに向かって模索という巡礼の旅に出る。杉野氏は子供の頃から常に、疎外感や異邦人的な感覚があった。そして、カメラファインダーに写る異国の風景、教会、聖画に、常に不思議な既視感と納得感があったという。

本展の一連の作品は、杉野氏の「異邦人」としての感覚と既視感を確認するための巡礼であり、同氏自身の宗教画であり、また模索の記録でもある。ヘッセが語る「破壊への渇望」、ジョイスが叫ぶ「絶対性の矛盾、死、贖罪への希望」など、歴史的な作家たちが訴えてきたものと相通じるものが、そこには確かにある。

また、今回の作品を撮り下ろしたライカは、歴史的な巨匠たちが名作を創ってきたツールであり、さらにモノクロームシリーズに至っては黒白写真しか撮れないという潔さを持つカメラだ。写真家にとっては向き合うのに覚悟のいるカメラで、広告写真の世界ではあまり使用されない。

それ故、杉野氏にとっての「ライカ」は、「自己満足や作品作りのシンボルとしてのカメラ(免罪符)だった」という。同氏はアーティストフォトグラファーとして出発したものの、生活のために商業写真家へ転身せざるを得ず、挫折感と自分自身を裏切ったような罪悪感に苛まれた日々を過ごした経験がある。その想いを救ってくれたのが、机の奥深くにしまわれていたライカだった。このライカと共に異国に赴き、自分のためだけの作品を撮ることが、「作家としての存在」への免罪符だったのだ。

東京、京都の2部に分けて作品を展示

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