河出書房新社からついに刊行!昨年急逝した作家・津原泰水さんによる最後の長編小説『夢分けの船』
IGNITE / 2023年9月26日 13時30分
昨年10月、58歳の若さで急逝した作家・津原泰水(つはら やすみ)さん。同氏が執筆した最後の長編作品『夢分けの船』が、10月12日(木)に、河出書房新社から刊行する。
作家の桐野夏生氏、書評・翻訳家の大森望氏、声優の斉藤壮馬氏らが推薦する、音楽と青春と幽霊が奏でる、切なくも美しい青春の物語だ。
舞台は現代、文体は明治、夏目漱石という新しい挑戦長編作品『夢分けの船』は、映画音楽を勉強するために四国から上京してきた修文(よしふみ)が主人公。
彼が引っ越した先は、幽霊が出るとの噂がある「風月荘」。そこにはかつて修文と同じく「音楽」という夢を追い続けて、自ら命を絶った住人がいた。同書は、音楽と青春と幽霊が奏でる、切なくも美しい青春の物語だ。
『夢分けの船』について、生前、津原さんはTwitter(現X)で、「『夢分けの船』は嘗て河出書房新社のウェブサイトに連載していた青春小説の完成版で、舞台は現代、文体は明治(新仮名)という試みです。本作のために明治文学に埋もれました。特に漱石。単に珍奇な試行というのではなく、言語表現の移ろいと共に消失してしまった感情表現を呼び戻す意図があります。」
また、「安易に現代の青春小説を漱石の文体でと始めたが、パスティシュではないから当然津原泰水が入り込む。何のためにもどかしい明治文体に変換しているのか分からなくなるが、書いた物を読み返してみると、つまらない恋が、身悶えするほどもどかしいんだこれが。」と記している。
執筆から15年。530枚にわたる長編小説『夢分けの船』は、2008年1月より、河出書房新社ホームページ内「WEBマガジン」で連載をスタート。2009年4月の更新を最後に休載後、7年の歳月を経て、執筆分を改稿の上『文藝』2016年秋季号に掲載し、連載を再開。その後、同誌の2020年春季号にて連載が完結した。
津原氏が急逝後、遺族と話し合い『文藝』掲載分を初出として、最低限の誤字・脱字・一部ルビを加筆の上で刊行した。装幀写真は津原氏も同行して、葛飾区の水元公園で撮影されたものだ。
作家・書評家・声優・全国の書店員より感動の声が届く桐野夏生氏は、「この風変わりで魅力的な小説は、いかなるジャンル分けも拒むであろう。孤高の作家、津原泰水がそうだったように。」
大森望氏は、「こんな青春小説、見たことない。日本語の天才が超絶技巧を軽やかに駆使して書き上げた、21世紀の『坊つちやん』」。
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