メルセデスが築き上げた安全哲学の実証 ― スマート『フォーツー』とベンツ『Sクラス』衝突試験【動画】
IGNITE / 2014年8月20日 17時34分
先日発表された新型スマート「フォーツー」と、メルセデス・ベンツ「Sクラス」を使用して行われた衝突試験の動画が公開された。メルセデスが安全技術に関する研究開発を始めたのは1939年。開発部門内にパッシブセーフティの専門部所を創設し、「自動車の衝突安全性」に関する研究に着手した。
1959年には現在にも通じる本格的な衝突実験を開始、1969年には実際の事故現場に急行して人間や車両の被害状況を調査し、事故原因を含めた様々な事実を分析・研究する事故調査活動が始まった。現在まで3,000件以上もの事故調査を行い、貴重なデータを数多く蓄積している。実際の事故現場で入手したデータから明らかになったのは、小さい車と衝突した場合、相手に深刻な被害を与えている実態だった。
そこで生まれたのが「コンパティビリティ(共生)」という思想だった。「大きな車は、万一の際により小さな車に与える衝撃を低減するためのボディ構造を備える。小さな車は、衝突時の衝撃をより効率よく吸収し、かつキャビンの変形が生じにくい極めて堅牢なボディ構造を実現する。」今では当たり前となったこの考え方を、メルセデスはいち早く取り入れた。
今回の衝突試験で使用した「Sクラス」の車両重量は、2,308kg。一方の「フォーツー」の車両重量は1,124kg。車両重量が倍以上も違う2台を、50km/hの速度で、50%オフセットクラッシュの試験を行った。結果として、Sクラスはもちろん、スマートも衝突によるボディのダメージはフロント部分でとどまり、キャビンが大きく変形することはなかった。
Sクラスが、小さい車と衝突した際に「相手へ与えるダメージを低減する」ボディ構造を持っていることが、今回の衝突試験の結果に大きく貢献しているだろう。
だからといって「フォーツー」の安全性が低いわけではない。キャビンをヘルメットのように包み込む鋼鉄製のトリディオンセーフティセルが、あらゆる方向からの衝撃に備える。クラッシュテスト後も、何事もなかったようにドアを開けることができる。またエアバッグを始めとしたいくつもの安全装備が乗員をしっかりと保護している。
「フォーツー」にも、メルセデスが長年築き上げてきた安全哲学が受け継がれていた。
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